外界の者 4
トーゼツをここまで案内してくれたんだがら、テントに誰がいるのか知っているはずであろうミトラが少し困惑しながらも、ベスに尋ねる。
「起きたトーゼツにアナトを会わせようと思ったんですけど……師匠、彼女は何処に行ったんです?」
それを聞いてトーゼツは姉貴も生きていたのか、と安堵する。
自分の姉であり、冒険者の頂点、神代の終末者とも呼ばれるアナト・サンキライ。彼女の実力をもちろん知っているトーゼツはまさか死んでることはないだろうと思ってはいた。だが、次の瞬間には何が起こるのか分からない戦場で、もしかしたら……なんて考えが心の隅にあったため、とてもホッとしたのであった。
「あぁ、アナトか。アイツは明日、スールヴァニアで始まる列強の代表と地方代のギルド長の間で行われる会議のために出てる。しばらくは帰ってこないだろうな」
世界情勢が大きく揺れ動いており、情報錯綜している今だからこそ列強の代表が集まる重要な会議が行われるのだろう。そして戦場の中心にいた冒険者最強のアナトが出席するのは至極当然の話だ。
しかし、そうなるとここにいる人たちはどうなるのだろうか?住んでた場所である神都はもうない。皆が信頼できる、心の支えになるアナトは会議のためにいなくなっている。命が助かったモノの、あれほどの地獄を見た後だ。避難者全員の心が不安定になっている。
「まっ、安心しろ、この避難所は俺に任されている。俺だって昔jは傭兵の組織を束ねていたんだ。それなりにここをまとめてみせるさ。それよりもトーゼツ、お前が起きた時のためのアナトから伝言も預かっている。お前に任務がある。それは──」
大きく視点は変わり、そこは会議の開催地であるスールヴァニア.、その首都エムノドレス。その首都の中央にある神であるテイワズの居住場所である城の中の一室。明日、会議が行えれるようセッティングされたその会議室に三人。
これまで冒険者ギルドは世界中に置かれている組織であり、国同士の争いなどには参加しないものの、災害や魔銃による襲撃、または犯罪者によるテロなどの取り締まりは行なっており、国々とは協力関係という立場になってた。が、それも調和神アフラというバックに大きな力がある者がいたから成り立っていた。
今回を機に世界中の国、軍隊が四大聖の職を持っている者や、実績け経験を持つ強力な冒険者のスカウトを行い、自国の強化を行う可能性が捨てきれない。また冒険者ギルドとの協力関係を切り、メイガス・ユニオンに鞍替えする国もいる可能性がある。なんとか増強をて弱っている冒険者ギルドを再起させたいのに、列強に見捨てられるというこちらの不利になるような事は避けねばならない。それが今回の冒険者ギルドと列強の会議なのだ。
そんな重要な会議が始まる前に一度、冒険者側でもよく話し合っていた方が良いだろうということで集まった三人だ。他にも二人ほど読んでいるのだが、まだ来ていないようだ。




