死の厄災 14
アルウェスはトーゼツの放った〈ドライブス・オーバー〉に対し、魔力でバリアを展開し、身を守ろうとする。無論、絶大剣術の〈ドライブス・オーバー〉をただのバリアで守れるはずがない。それを理解しているこそ、魂一つ分を消費してバリアを展開するのだ。
そのバリアは通常よりも大きく、硬いバリアであった。
が、無残にも簡単にバリアは破壊され、しかし透かさず鎌でその双剣を受け止めようとするのだが、一瞬で鎌の刃が砕け散る。それでも全く威力が落ちることはなく、アルウェスの纏う魔力の膜など無いも同然のように突き進み、それは深い一撃を与えていく。
「ッ!!!!!!!!!」
アルウェスは耐えようとする。
「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」
それに対し、トーゼツはどんどん力を入れ込み、アルウェスへと刃を突き立てていき、それは胴体を貫通し、刃先が背中へと現れる。それでも双剣を持った腕の力を弱めない。
ザァン!と肉を断つ音と共にアルウェスは吹っ飛び、血をまるで噴水のように巻き散らしながら後方へ吹っ飛ばされていく。そこから後方にあった建物の壁にその背中を強くぶつけるもなお、その壁を壊してさらに吹っ飛ばされていく。
ボンッ!ボンッ!ボンッ!といくつもの建物が瓦解しながらアルウェスはさらに飛んでいく。
「はぁ……はぁ……!」
トーゼツも自分の中にあった魔力を全てではないのだが、かなりの量を消費した反動でその場で倒れる勢いで態勢が崩れ、座り込んでしまう。
「エルド……その力って…」
光を放ち、アルウェスの鎌を防いでいたエルドの姿を間近で見ていたミトラは理解する。彼の使っているこの力は魔術ではなく──
「そうだよ、ミトラ。俺の固有技能だ」
トーゼツのように……エルドもまた自分だけの力を獲得する事が出来たのだ。しかも、このような──いいや、こういう絶望的でピンチなタイミングだったからこそ目覚めたのだろう。
エルドは自分の新たな力を試すかのように光を生み出し、動かしてみる。
それはまるで触手のように動き、その長さ、大きさが自在に変化する。またその光は分離することも出来るようで、光の球体をラジコンのように操作してみせる。
そのエルドの力をトーゼツ、ミトラ、ロームフの三人は興味津々、興味深そうな眼で眺めていた。
「自由自在の光の触手、か。便利そうだな」
ロームフは感じた事をただ述べる。
「色々と応用が効きそうじゃないか?」
攻撃手段にも、防御にも持ち得そうだが、場合によって索敵なんかも出来るかもしれない。そのように考えたミトラはそのように言った。
「へぇ、良いな。魔力消費少なそうだし、燃費の良い能力そうじゃないか」
今回のように、激しい戦いが続けば魔力切れによって戦闘継続不可能になることがある。しかし、この能力ではそのような事態にはならなさそうだとトーゼツは思っていた。




