表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/646

刃の厄災 7

 ミトラは、足を崩す。


 それは、戦いに疲れたからなのか。それとも体に無茶を効かした痛みからなのか。それとも、もう動く様子の無い化け物の姿を見て安堵したものなのか。


 「はぁ、はぁ!!」


 深く、喜びながら呼吸を繰り返すミトラ。しかし—


 「良い、とても素晴らしい剣術だ」


 その声は、彼女を再び絶望の淵へと叩きつける。


 刃の厄災の切断面から、血管のようなもの黒い線が触手のように動き、飛び出し、断面を接着し、繋げ合わせていく。ねちゃねちゃ、と気持ち悪いほどに。


 そうして、数秒後、首と胴体の繋ぎ合わせに完了した化け物は、がちゃり、と鎧の音を立てながら、なんとも無かったかのように、立ち上がる。


「この我が危険だと思うほどにはな。だが、体を切断した程度では我の肉体が滅びることはない。仮に切断して殺すのであれば、再生が難しいほどに細切れにしなくてはな」


 ミトラは崩れていた足を震えながらも、無理やり立たせ、痛みで門節しながらも、剣を持って構える。


 「魔力量は最初の半分以下。肉体も負傷している。魔力による肉体能力向上ではカバーしきれないほどのものだ。それをお前は分かっているはずだ」


 刃の厄災は問う。


 それは、賞賛に近く、それでいて理解できないこの状況への問いかけであった。


 どんなに不利でも、戦いの意志を見せてくる彼女の心の強さ。負けると理解していながらも、まだ勝てると信じているその眼差し。それは刃の厄災も感嘆するほどのものであった。


 しかし、なぜそこまで頑張るのか。何がミトラを突き動かしているのかという疑問。


 その二つを、彼女へと問いかけたのだ。


 「……簡単なことだよ」


 彼女は、無理やりにでも口角を上げ、笑う。


 「結果は死ぬかもしれない。もしくは、勝つ可能性が少しでも残っているのかもしれない。でも、これだけは言える。結果がどうあれ、それで諦める理由にはならない」


 それを聞いた刃の厄災は―


 「ハハハハハハハハッ!良いなァ、良いことだ!誠に良き心構えの剣士よ!!剣士に限らず、多くの戦士の者と戦ってきたが、ここまでの心構えの者は初めてよ!」


 刃の厄災は、右手に魔力を集中させる。


 「今の我は気分が良い。せっかくだ、我の技を受けて逝け!」


 集中した魔力は、徐々に剣の形へと変化。そのまま具現化されていく。


 それは、先ほどまで使っていた大剣とは違い、一本のロングソード。


 そこからさらに、そのロングソードへと魔力が集まりだす。


 「我は刃の厄災。剣を恐る想いから生まれた悪魔。その恐怖を、その身に刻め!!』


 大きくその剣を振りかざし、一気に振り下ろす。


 まだ、ミトラとの距離はある。剣が届く範囲内では決して無い。しかし、彼は止まらない。


 「〈エスターブ〉!」


 それは、刃から放たれる漆黒の斬撃。


 地面を削りながら、それでいて速度は変わらず、真っ直ぐミトラへと襲いかかってくる斬撃であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ