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天変地異 5

 アムシャはアナトの発動させた術の威力に感嘆しながらも、最も驚いたのはサルワに対してであった。


 (ほう?これほどの術を権能のみで防ぐのか)


 しかし、何を支配してこれほどの力を防いでいるのか。


 それは簡単な話、エネルギーだ。


 アナトのこの光は圧縮された魔力が破裂し、爆発することで生まれたモノだ。光は凄まじい熱量と質量、そして魔力を持っている。そしてそれらは全て「エネルギー」として括ることが出来る。


 熱エネルギー、運動エネルギー、そして魔力エネルギー……。


 光エネルギーも、もちろんあるだろう。とにかく、サルワはきっとそれらのエネルギーを全て支配することで跳ね除けているのだ。


 (もちろん、生まれ持った権能だけで防ぐのは難しかろう。術のように肉体、脳に負担がかかるだろうし、魔力も消費する。魔法陣、詠唱を必要とする術に比べれば消費魔力量は微力だろうが、それでもこれほどの力を防ぐとなれば──)


 サルワはアナトよりも圧倒的に弱い。それは一目見てわかっていた。しかし、それが現在の話。ここから先、新たな厄災の力を手に入れた時。戦いの中で学び、成長した時……。


 それはアナトを越えられる力となる。


 「良いねェ、面白い!!もっと俺にお前らの力を見せてくれ!!」


 そう言ってアムシャは魔法陣を展開し、術を発動させる。


 「絶大魔術〈マギア・リプルーシオ〉!」


 その瞬間、膨大なエネルギーを含めた光がアムシャを中心に退いていき、最終的にアナトの発動させた絶大魔術〈ギガ・ブラスト〉が掻き消えてしまう。


 「へぇ、この術を無効化してしまうっていうことはアムシャかどうかはともかく、神に等しい力を持っているのは確かなようね」


 「当たり前だ。俺はお前らよりも強い」


 二人は口角を上げ、笑う。


 自分と同じ強者。


 対等に戦える相手。


 本気を出しても壊れないモノ。


 自分の望んだおもちゃが目の前にあるというこの幸せに共感し、笑い合っているのだ。


 それに対し、サルワは自分の実力不足を感じていた。


 あれほどの絶大魔術を放てる力はない。そして、その力を掻き消す絶大魔術も持っていない。自分はこの二人に比べれば圧倒的格下。


 それが事実であり、頭で理解していて、それでもなお──


 「舐めやがってェェェェェェェェェェ!!」


 それは屈辱の叫びであり、実力不足である自分への怒り。


 その瞬間、アナトとアムシャの体は浮遊感を覚え、宙を舞う。いいや、二人だけではない。周囲の地面、建物、全てが浮き始め、上空へと放り出される。


 もちろん、アナトもアムシャも魔力を用いて抵抗しようとする。のだが、なぜか肉体から発している魔力が安定せず、抵抗も無駄なようでその力から抜け出すことは出来ず、空中に安定して浮く地面を見つけてそこを足場にする。


 またもやまるで空中都市のような世界をサルワは作り出すのであった。

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