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天変地異 4

 サルワはセプターでアムシャからの剣撃を受け止め、はじき返す。そして、一歩、前へ出てよりアムシャとの間を詰めるととすぐさま魔力を込めたセプターで反撃を繰り出す。


 剣は近距離武器。しかし、セプターよりもリーチがあるうえ、振り回すにはある程度、適切な距離を取るのが必要。だがこれほどの超近距離であれば剣は使えない。だが、サルワの持つセプターであれば別。


 「無粋?そんなのは知らん!!結果だ。結果が全てだ!私さえ勝てばそれで良い!!!」


 そうして魔力を纏ったセプターをフルスイングするのだが、アムシャはそれを軽く避けて見せる。


 しかし──


 グシャッ!と体の中に痛みが響く。


 気づけば、背後から鋭い刃が突き刺さり、貫通して胸部へと先が飛び出る。


 「なに?」


 アムシャは冷静に背後を確認する。


 地面から一本の剣のような刃がまるで植物のように生えてきており、その刃がアムシャの背中を突き通していたのであった。


 (コイツ……厄災にしては少し違和感があると思っていたが──)


 悪神から解放されただけではない。何かが混じっている。


 (刃の厄災と混じっているのか!?)


 さらに、突き刺さっている刃が体内で破裂し、カケラが内臓をズタズタに裂いていく。そこからカケラが植物の種のように成長し、新たな刃となって体を串刺しにしていく。


 肩、首、背中、腹……とあちこちから刃の先が飛び出す。


 通常の人間であれば死んでいるだろう。仮に生きていたとしても苦痛で意識を失うはずだ。しかし、アムシャは何とも無いようで、その両目でギロリとサルワを見下す。


 「良い一手だが、まだまだだな」


 バキン!と体から飛び出る刃が全て破壊され、傷口がすぐさま閉じていく。


 その回復力はサルワの支配の能力に負けないレベルであった。


 いいや、それ以上。


 あっという間に回復したかと思えば、サルワの右頬から衝撃が奔る。それはアムシャの裏拳。とてつもない速度で繰り出される拳であった。そして、次に首、腹部とその拳が放たれる。


 「ッ!」


 首をやられ、上手く呼吸ができない中、今度はみぞおちへと攻撃が襲いかかる、肺に残っていた空気さえも飛び出してしまう。


 思考が上手く出来ない。


 その中で、アナトの術の準備が完了してしまったようだ。


 彼女の手の中には、一球の光があった。それはとてつもない量の魔力を強制的に圧縮させた球。今にも破裂しそうなその光は彼女の詠唱と共に──


 「絶大魔術〈ギガ・ブラスト〉」


 破裂し、周囲を光に変えていく。


 アムシャはバリアを展開しながら飛び退き、サルワから離れていく。


 しかし、サルワはまだ痛みと酸欠で思考が鈍く、抵抗しようにも魔力でバリアも展開出来ない。


 爆発はもうすぐそこまで来ている。


 あと数メートル。二秒も経たず光に飲み込まれる。


 その瞬間


 「くッ、くそがァ!!」


 ようやく復帰したサルワは慌てて『支配の能力』を用いて光を退かせる。

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