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最後の砦 2

 アルウェスの方から恐れることなく、ダンッ!と地面を強く蹴り上げ、鎌を大きく振り上げながら調和神アフラの元へと駆け寄っていく。


 しかし、アルウェスは気付けば地面へと倒れ込んでいた。


 「かッ、ァァ、!?」


 口と鼻を強く地面にぶつけたのか。一気に血を吹き出し、床を真っ赤に染め上げる。


 「よく、私に近づけると思えましたね」


 調和神アフラは何事もなかったかのように、歩き出し、倒れているアルウェスへと接近する。


 「ははッ、何をしたか分からないけど、この程度じゃあ──」


 次の瞬間には、後方へと吹っ飛ばされ、乗ってきたエレベーターのドアに背中をぶつけていた。


 「かハァ!!」


 一気に肺から空気が抜け、脳の思考が一時的にとはいえ止まってしまう。


 何が起こっている?


 これが、調和神アフラの能力なのか……?


 「魔力をぶつけているだけですよ。驚くことも何もない。貴方たち人間にも魔力球や魔力弾と言った技があるでしょう?」


 困惑しているアルウェスを見下ろしながら、まるで学校の先生のように説明するアフラ。それほどまでに余裕はあるというのか。


 「魔力をこね回し、形を与え、まるで弾丸や球体にして放出する技。術でもなく、ただのエネルギーの形で発射させるその技は誰でも再現可能な簡易な技でありながら、込める魔力量によっては抵抗すら出来なくなる。まさに今の貴方がその身を持って実感しているでしょう?」


 彼女は体からまるで海のように波を立てて放たれている魔力を説明していた通り、こね回し、巨大な球体の形へと変化させる。


 これこそ、本当に無慈悲な攻撃である。


 絶大級の魔術。才能による固有技能。そんなモノではなく、誰でも出来る、基本の技。それだけで相手を圧倒させるというのは、それだけで圧倒的な実力差があるというのを嫌でも理解させられる。


 だが──


 (そんな事、分かったうえでここに立ってんだ!こっちも何も考え無しじゃないんだぜ!!)


 アルウェスは見下ろしいているアフラに対し、下から上へと、くるりと鎌を回し斬る。


 アナトは魔力を右手に集約させ、その鎌による斬撃を防ごうとしたその時──


 「……?」


 アナトの手は、引き裂かれていた。


 そこからは血が噴き出すことなく、肉がはみ出ることもなけれえば、骨すら見えない。ただ、引き裂かれた断面が明るく輝いていた。


 それは、形の無いエネルギーの光。


 「知っているぜ。神っていうのは、人の想いが集まったエネルギー。そこから想いに指向性が与えられることによって意思が発生し、魂を獲得した存在。それが神だってな。そして、肉体もまた想いの力を魔力に変換して造り出した肉体。つまりだ。肉体そのものが魂と同等と言っても過言じゃあない。俺の持つ死の厄災の能力は『魂を刈り取る』だ。まぁ、魔力を刈り取れるようになったりするまでには能力や俺自身を成長させる必要があったんだが……そういう面倒な話はやめておこう。とにかくだ……神のアンタと俺の力じゃあ相性が悪い」

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