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再戦 6

 ガラガラ、と瓦礫がどんどん落下していくその最中──


 ドォン!と目の前にあった瓦礫が砕け散ったかと思えば、一本の剣先がアナトの顔前へと現れる。


 砕けた瓦礫の破片でより一層、視界が悪くなる。だが、戸惑うこともなく、向かってくる剣を簡単に槍でいなし、サルワがいるであろう場所へと瓦礫の破片ごと勘で蹴りを入れる。


 「ちぃッ!いないか!!」


 そこには一本の剣しかなく、どうやら刃の厄災の力で遠隔操作していたようだ。


 アナトは空を蹴ったことで足で大きく態勢を崩す。


 その機を狙っていたのか、後ろから今度こそ剣を握りしめたサルワが後方から急接近してくる。


 「油断したなァ!!!」


 思いっきり斬り上げようとしたその時……


 「ッ!?」


 サルワの頭に強い衝撃と熱が襲いかかる。


 それは、アナトの後ろをついてきていた杖であった。


 炎を纏った一本の杖がサルワに殴りかかってきたのだ。


 「な……んだ、このパワー…は……!?」


 魔力を纏い、身を守る、厄災の力で杖の魔力の流れを操作し、威力を弱めている。のにも関わらず、その杖の殴り込む力は収まらない。それどころか、どんどんその力は増していく。


 「油断したのはどっちだったのかなァ!!」


 そしてとうとう耐えきれなくなったサルワは吹っ飛ばされ、そのまま強く地面に叩きつけられる。


 「かァッ!!」


 サルワは口から勢いよく赤くて、熱い大切なモノが溢れ出す。


 一体、どれほどの力だったのだろうか。サルワが落ちた場所を中心に地面にクレーターのような小さな窪みが生まれる。


 さらにそこに追撃としていくつもの業火に燃える炎の球がサルワに向かっていく。全ての炎の球はサルワに接近すると大きく破裂し、何度も爆発音が響き渡る。


 爆煙と舞い上がる土煙で何も見えなくなる。だが、あれほどの爆撃を耐え切れる者など、そうそういない。それでも、アナトは油断することなく、槍を構えてサルワの居るであろうクレーターの中央に向かって強く薙ぎ下す。


 ぐちゃりッ!と生々しい音と共に槍を受け止める影があった。それは体全身が火傷に血だらけ、ボロボロの姿になりながらも魔力を纏わせた右腕で槍を受け止めているサルワであった。


 魔力で守っているというのに、その槍はしっかり肉に食い込み、骨にまで到達していた。


 「はぁ…はぁ……!」


 激しい痛みと、消耗していく体力。


 先ほどあった怒りや、他者を見下す嗤いなどはもうそこになく、サルワにあるのは苦痛の表情であった。


 「満身創痍だな」


 それに対し、アナトは余裕の表情。


 「まだまだ……私も本気は出してねェぞぉ!」


 また何かを支配したのか。


 今度は右から抵抗できないほどの力でアナトは吹っ飛ばされ、しかし大したダメージはなく、吹っ飛ばされながらも空中で腰をひねり、腕を回し、器用に態勢を立て直して綺麗に着地する。

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