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再戦 4

 支配の厄災はことサルワは手に入れた刃の厄災の核である剣を強く握りしめ、眺める。


 「やはり、この力は人間の持つべきモノではない。我が兄弟よ。私のモノになれ!」


 サルワは自分の体に厄災の核を突き刺す。


 すると、その剣はパリッ!とまるでガラスでも割れるような音と共に粉々に砕かれ、全ての破片がサルワの中へと取り込まれていく。


 「くッ、くくくくくッ!良いぞ、これが兄弟の力か!!」


 どんどんサルワの放っていた厄災特有の嫌な気配が増していく。狂気に塗れた、生命が本能から拒絶するような、そんな気配が。


 「はははははッ!これで私はまた一歩、目的近づいた!」


 サルワは心の底から喜び、嗤う。


 そして、数秒後、しばらくして落ち着くと倒れているミトラへと意識を向ける。


 「さて、この程度のやつ。放置していても問題なかろうが念の為、殺しておくか」


 そうして、彼女は魔力を練り込み、右手に集めると一本の大剣を具現化させる。


 それは刃の厄災が使っていた剣をに酷似……いいや、全く同じ形の剣であった。


 「さて、兄弟よ。お前の剣で、お前を殺した仇を私が──」


 「させるかァ!!!!」


 そこにまるで爆弾でも落ちてきたかのような、建物すらも吹っ飛ばす突風がサルワのみを狙って襲いかかってくる。


 しかし、突風というその形のない攻撃をサルワはその剣で強く弾き飛ばそうとする。だが、予想以上のパワーで上手く弾き飛ばすことが出来ず、その突風は周辺へと散っていく。


 砂埃が舞い、周辺の視界が悪くなる。


 昼間というのに太陽の光をさえぎ、暗くなっていく。


 サルワは四方八方、何処から攻撃が来ても良いように強く警戒する。


 その攻撃は、四方でも八方でもない。


 「絶大槍術!」


 そこに居たのは、凄まじい量の魔力を槍に纏わせ、突きの構えを取っている女。


 「やっと来たか、アナト!!」


 サルワは嗤い飛ばしながら、アナトに対し、その攻撃を受け止めるように剣を構える。


 「〈エキシティウム・ペネトレイト〉!」


 その槍は全てを貫き、破壊するかのようにサルワに向かって突き進んでいく。


 そして、ガキッ!と魔力を纏った刃と絶大級の術がかけられた槍の激しくぶつかる音が響く。


 誰がどう見ても、アナトの槍の威力が圧倒的で、魔力で覆っただけの剣で受け止められるはずがないのは明らかだ。しかし──


 「ッ!?」


 アナトはその違和感を確かに感じる。


 自分のかけた術や魔力が乱れ、狂い始めているのに。


 そして、サルワの剣がそのまま槍ごとアナトを押し飛ばす。


 (この感覚……またか…)


 押し飛ばされながらアナトは考える。


 この異様な感覚は、初めてサルワと戦った時と同じ感覚。


 あの時は色んな事が起こりすぎて冷静な分析が出来なかったが、今であれば分かる。厄災と何度も戦ったことのある彼女だからこそ理解できるモノでもあった。


 飛ばされながら態勢を立て直し、地面に着地する。

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