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再戦 2

 グランドルはすぐに間合いを詰めるようなことはせず、動きを止めるが、いつ攻撃が来ても良いように武器だけはしっかり構え、視線はミトラへと向いていた。


 (素早い動きに、あの良い眼。確実にこちらの動きを読んでくるな。さすがは剣聖!これほど楽しい戦いは久しぶりだ!ははッ!!!)


 グランドルは楽しそうに嗤う。


 それに対し、ミトラはまたどのように攻めれば良いのかを考えていた。


 (やっぱあの四本の剣がうざったいわね)


 やはりどんな状況でも、手数が増えるという事はその分、取れる選択が増えるということでもある。


 横から攻めるか、上から攻めるか。下から斬り上げても良いし、一本は守りとして置き、残りの三本で攻めまくる。他にも多くの選択が取れるだろう。


 だからこそ、そこから弱点も生まれるものだ。


 (選択肢も考えなければ生まれない。そして生まれた選択肢のどれを取るのかも考えなければいけない。つまり思考数も増える。だったらその分、動きも遅くなる。迷いも生まれる。だったら攻め方は一つ!)


 ミトラは足に魔力を込め、自分から取った距離を一気に詰める。


 (スピードで翻弄する!)


 ミトラは突きの構えを取る。


 グランドルは両手の剣で受け止める構えを取り、もう二本でカウンターをするように動かす。


 しかし、ミトラは突く直前で動きを変え、今度は上から大きく振り下ろすような構えを取りながらサイドステップで後ろへ回るように動く。


 そこにカウンター用に動かしていた剣ですぐさま攻撃して後ろへ回らないようにするのだが、それを一本は素早く避けて、もう一本は構えていた剣を振り翳し、強くはじいて対応する。


 そして振り下げた剣を今度は振り上げるようにしてグランドルへと攻撃する。


 だが、防御の構えをしていたグランドルは二本の剣でその振り上げた剣を受け止めようとする。


 しかし、その振り下げた剣はグランドルに掠ることなく空振っていく。


 (一体、何がしたいんだ?)


 正面から来たかと思えば、背後へ回ろうとするし、剣の構えも途中で変える。


 その動きにミトラは迷いがなく、まさに目にも止まらぬ速さと言えるものだ。だからこそ、どのように攻めれば良いのか。どのように守れば良いのか、グランドルには選択できなかった。


 そのように戸惑っているその直後


 「ッ!?」


 グランドルの腹部に強い衝撃が襲いかかる。


 剣へとグランドルの意識が集中していたため、その攻撃を喰らうまで彼は気づかなかった。衝撃がやってきた腹部にミトラの足が深く減り込んでいた。


 (剣はブラフか!?)


 そのままミトラは強く蹴り上げ、グランドルの足は地面を離れ、体が宙を舞う。


 先ほどのように、態勢を崩しているグランドルをカバーするように二本の剣が身とr田に向かって飛んでくる。しかし──


 「絶大剣術〈ケレリタス〉!」


 ミトラの詠唱開始と共に剣に凄まじいほどの魔力が集中し始める。


 それは一筋の光。進む先にある全ての障害を焼き切ってしまうかのような明るく、鋭いその光が襲ってきていた二本の剣を真っ二つに斬っていく。


 そしてその光を構えた状態でミトラは態勢が崩れたままのグランドルへと接近する。


 (どう来る!?)


 まだ両手に剣がある。


 しかし、そのまま魔力を纏わせてミトラの剣を防いだとしても先ほど真っ二つに斬られた剣のように、この二つの剣を簡単に斬られてしまうだろう。


 (どの選択肢を取れば良い!?!?)


 避ける。


 無理だ、ミトラの方が速い。


 (どうすれば!?!?!)


 もう選択する時間はない。


 「俺は……一体、どうすればぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!??!!!!」


 そんな迷い、ミトラには無かった。


 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 そのままミトラは絶大剣術〈ケレリタス〉で剣ごとグランドルを斬るのであった。

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