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隠された真実 17

 ……どうにも意識がハッキリしない。


 目の前には二人の男。


 一人は炎を纏った老人。もう一人は……どうやら若い人族のようだ。


 何故、そうなっているのか。この状況を知らないのか、それとも知っているが、ただ思い出せないのか。とにかくお互いを殴っている。


 体中が痛い。ヒリヒリして、熱を持っている。


 本当、どうしてこうなってしまったのか。


 自分は何でこんな所にいるのか。


 どうして……


 どうして…………



 自分はセレシアの中でも地方の田舎で生まれた。


 学校もなく、魔術を学べるような場所も無かった。しかし、セレシアはエルフ至上主義と同時に魔術の才能、実力で評価する魔術才能評価社会でもあった。ゆえに自分のような身分の存在が、このセレシアで生き残るだけで必死だった。


 エルフ以外の種族が奴隷の身になることも多い仲、自分がエルフである事が唯一の救いだった。しかし、それでようやく最低限の生活が送れる程度の救いでしかなかった。


 そんな自分が魔術に触れたのは、村に小さな商人が訪れた時だった。


 父と母がコツコツ貯めていた貯金で買ってもらった魔術書。親も魔術を覚えていれば、きっと今後役に立つからと思っていたから買ってもらえたに違いない。その時の年齢は確か十歳前後だったはず。


 それには基本の術しか記載されておらず、まさに初心者向けの本。今、思い出せば六、七歳向けの魔術書だったかもしれない。


 それでも、自分はその基本の魔術書を読んで、勉強して……なぜ、自分はあの時、必死になって魔術書を呼んでいたのか。それはきっと、あのまま死ぬのが嫌なんだったと思う。


 あの村に居た子供の中で、本にかじりついていたのは自分だけだった。だから、多くの奴らが馬鹿にした。無駄な時間だと。意味のない知識だと。


 そして五年前、都会でもやっていける!そんな言い訳で田舎の家を飛び出した。


 親に楽な生活をさせたいという気持ちもあった。村の奴らを見返したいとも思っていた。色々な気持ちで飛び出したが……こっちの生活も楽なモノじゃなかった。


 村とは違い、同級生が競争相手。いつも見比べられ、才能が無いやら、田舎出身だからと言われて、それでも喰らいついて……それで…………。


 自分は何がやりたかったのだろう。



 一つの言葉が頭の中でこだまする。


 『誰を信じるのかは勝手だが、自分の想いだけには裏切るな』


 自分の想い……か。


 親に楽をさせたい?


 村の奴らを見返したい?


 誰かに認められたい?


 組織に忠誠を誓いたいのか?


 英雄と共に居たいのか?


 いいや、違う。


 俺のやりたい事は──


 俺の……大事なモノはッ──!



 そこで完全に意識が回復する。


 目の前にいるのは、侵入者であるトーゼツと、会長のシャルチフ。


 焦げた白衣を捨て、立ち上がる。


 自分のやるべき事は決まった。

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