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隠された真実 14

 トーゼツとシャルチフ……お互い、戦闘態勢に戻り、睨みあう。


 どちらが先に動くか……。


 ダンッ!と床を蹴り上げ、動き始めたのはトーゼツの方だった。


 「っらァァ!!」


 魔力を纏わせたその剣を、思いっきり上から下へと斬っていく。


 「ふんッ!」


 しかし、シャルチフの炎と魔力を纏わせた拳がその刃を防ぎ、はじく。それと同時にぶわりッ!と炎が舞い上がり、周囲に熱を放射していく。


 トーゼツは咄嗟の判断で一気に空気を吸って肺にため込む。その直後、トーゼツの視界は赤一色に染まり、世界が炎に包まれる。


 当たり前だが熱には姿、形などない。避けるどころか、防ぐことも出来ない。トーゼツは魔力を身に纏い、炎からは守る。だが、その熱からは逃れられない。


 (この熱量……吸うだけでも肺が燃えてなくなるかもな!!)


 やはり、咄嗟の判断とはいえ空気を吸って正解だった。


 だが、この状態も永遠に続きはしない。


 トーゼツも……熱を放っているシャルチフ自身も。


 ここは体内の酸素を無駄にしないためにも、トーゼツは炎の世界の中、動くのを止める。


 どんな攻撃が来ても良いように、武器だけは構え、警戒は解かず、ただひたすら耐える。


 一秒……五秒……十秒……


 炎は止まらない。


 「…………ッ!」


 トーゼツはひたすら耐える。


 一秒が十秒にも感じてくる。


 だが必ず、奴は動く。


 今はその瞬間を逃さないように構えろ!


 三十秒………一分!


 ぶわり、とまた炎が舞い上がる。だが、先ほどは広がるように舞い上がったのに対し、今回は跳ね除けられているような炎の動きだった。


 炎の海を搔い潜り、跳ね除けて飛び出てきたのは、拳を構えたシャルチフだ。


 トーゼツは剣を下げ、上から斬り上げる形で拳をはじこうとする。しかし──


 「ふんッ!」


 ガァンッ!!!と強い衝撃を刀を通してトーゼツの腕へと入ってくる。


 「硬ッ!!」


 明らかに魔力を纏っているだけの拳じゃない。中級……いいや、上級レベルの術をかけている。


 「くッ!負けるか……!!」


 異常な硬さに驚いてしまったが、退くわけにもいかない。なんとか足に踏ん張りを効かせ、迫りくる拳と鍔迫り合いのように拮抗状態に持っていく。


 (魔力を纏わせているとは言え、この刃の硬さ……刃こぼれしている様子もない。一体、何だ?ただの魔鉱石で造られているわけでもなさそうだ)


 シャルチフはそのように刃に拳をぶつけながら、疑問に思っていた。


 (まさか……神代の遺物(アーティファクト)か?)


 ならば、納得がいく。


 (剣を叩き壊してやる事で戦意喪失させてやろうかと思っていたが……ちッ!面倒な相手だな!!)


 お互いの攻撃が拮抗していたこの状態に対し、シャルチフはここで拳の力を入れる角度を変え、トーゼツの刃を逸らす。


 「ッ!」


 思いっきり剣に力を入れていたトーゼツは、急に逸らされた事で大きく態勢を崩す。


 その瞬間を、シャルチフは逃さない。


 ボンッ!と拳をトーゼツの腹部めがけて強く放つ。

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