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隠された真実 6

 ミトラもまた捕まえた学生を利用して目的の部屋に到着していた。


 そこは中央区の実験・魔術記録保管室である。


 トーゼツが向かった記録保管庫は普段行っている取引や事務報告などが主なモノだ。しかし、魔術学の発展を名目に設立されているメイガス・ユニオンにとって最も重要なモノは生み出した新たな魔術に実験によって生まれた魔術兵器である。


 故にソレらの資料は別の部屋で記録されているうえ、記録保管室が自由に出入り出来るのに対し、こちらは必ず施錠されている。さらに中央区は会長室や会議室と言った重要な部屋があり、多くの重鎮たちが行き交う場所でもある。そのため、常にとは言わないものの多くの監視の眼があり、侵入がより難しいモノとなっている。


 だが、ミトラは鍵を容赦なく壊して記録を確認している。そしてトーゼツ同様、学生を見張り役としてドア付近に待機させていた。


 資料を入れている棚にはそれぞれすぐに見分けられるように棚の側面に札が付いていた。『生命実験区』、『魔具開発結果』、『厄災研究成果』……など様々な研究結果、資料が分類されて棚ごとにある。


 そんな中、部屋の奥にある異常な棚。


 それは名札がなく、何の研究結果、資料がまとめられている棚なのか分からない。しかし、棚には鉄格子が設置されており、開けるには鍵が必要だった。


 きっと、この部屋の中で最も漏れてはいけない情報があるに違いない。


 そう思ってミトラはこの鉄格子の鍵も壊し、中のファイルを読んでいた。

 

 「こ……れは…………!」


 ミトラの表情は驚いているというか、それでいて恐怖しているというか、いけないモノに触れてしまったような雰囲気を纏っていた。


 「一体、メイガス・ユニオンは何の目的でこんな──」


 ミトラの欲しい情報ではない。しかし、とんでもない情報ではある。


 これは調和神アフラに報告すべきだろう。


 そのように考えていると


 「ァッ!!」


 部屋に響く苦しそうな声。そのあとにドサッ!と何かが床に倒れる音と振動。


 ミトラはすぐさま持っていたファイルを懐に入れて、足音を消しながらも少しでも姿を隠すように棚の裏に回ってしゃがみ込む。


 「うーん、やっぱ侵入者がいるなァ」


 ミトラとは異なり、足音と気配を消すこともせず、どんどん奥に入ってくる何者かの気配。


 ソイツはミトラの隠れている棚までやってくる。


 見た目的には十七か、十六歳辺り、トーゼツと同じくらいの年齢に見える。しかし、エルフであるため実際の年齢はもっと上かもしれない。そして、その溢れ出る威圧感からして四大聖レベルの実力者であるということが分かる。


 「禁書棚の鉄格子が開いてるなァ、やっぱココが目的か」


 男は無理やりこじ開けられた鍵を観察し始める。


 「刃で斬られた跡……剣か何かか?しかし、この格子は魔鉱石で作り上げたモノ。そう簡単に壊されるわけがねェ。侵入者は四大聖か、同等の力の持ち主……」


 男はぶつぶつと呟きながら冷静に状況を分析している。

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