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隠された真実 4

 チャミュエルはさらにトーゼツへと説明を続ける。


 「私も出来る範囲で調べてみましたよ。越権行為に懲罰レベルの違反まで犯して、それでもなお彼らについて分からなかった」


 「だからこそ、俺の……いいや、俺たち冒険者連合の力も借りたい、と」


 ようやく最初に彼女が言っていた事が理解出来てくる。


 敵対組織の所属の彼女が、個人的な目的が一緒であると言っていたのはそういう事だったのか、と。


 納得は出来た。彼女の目的も分かった。しかし──


 「だからと言って今、ここでお前を信用するほど愚か者じゃない」


 トーゼツは一切、警戒を解かない。


 チャミュエルは嘘を言っている感じでは無かった。だが、全ての事を話したわけじゃないだろう。何かしら罠である可能性だってある。


 「確かに信用しきれないかもしれません。しかし、私と同盟関係を結べば確実に手助けができます。私の持ち得る権限を使えばここから安全に脱出も出来るでしょう」


 「メリットがあるのは理解している。だが、俺個人の判断でお前と同盟を結ぶかどうかは答えられない。ゆえに取引だ。悪くないだろう?」


 「ほう、取引ですか」


 チャミュエルはトーゼツのセリフに予想外の行動を取った、少し意外な事をしてくるものだなと驚く表情をしていた。


 同盟関係を結びたいと思って近づいてきたのはチャミュエルからだ。だからこそより信用して貰うために取引を持ち掛けるのはチャミュエルからのはず。


 しかし、トーゼツの方から彼女に取引を持ち込んだ。つまり……


 (アナタは信用していない。しかし、利用価値は大きいと思ってくれている!)


 もしも、チャミュエルを利用、同盟関係を結ぼうという考えが全くなければ取引を持ち込む必要はない。いや、もしかしたら一切、話し合う事もなく攻撃を開始していた可能性だってあるのだ。


 ほんの少しかもしれない。しかし、明らかにトーゼツが前向きに考えているのは確か。


 「ふふっ、良いでしょう。取引としますか。では具体的に何をすれば良いのでしょうか?」


 そのように催促するチャミュエルだったが、トーゼツから出た次の言葉も『取引』という言葉の意味を知っているのか?と疑わざるを得ないような発言だった。


 「そうだな、まずお前の持っているそのファイルを無条件で見せろ」


 「……それに私に何のメリットが?」


 「何せ、お前が事前に持っていたファイルだ。であれば、何かしら偽造している可能性もある。今回行う取引はお前との同盟関係を結ぶにあたって信用出来るかどうかの取引だ。だからこそ、そのファイルは無条件で見せる事が絶対条件だ。ここまでは良いか?」


 取引として見るのであれば、トーゼツに優位な破格の条件だ。だが、トーゼツの言っていることも一理ある。


 そう思ったからこそ、チャミュエルはそれを許容する。


 「……良いでしょう。では、次に何をすれば?」

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