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メイガス・ユニオン 11

 予想していなかった事が起こったミトラは混乱し、戦闘態勢が崩れる。また継続発動させていた上級魔術〈陽纏ようてん〉を停止させてしまう。


 それを機とみなしてエルフの少女は素早くリロードを行うとさらに魔力を纏った弾丸を二発、発射させていく。


 ミトラは危険な状況であると分かっていながらも、この頭の中の混乱を抑えるため深呼吸を行う。


 (落ち着け……落ち着け…!)


 何が起こっているのか、分からない。あの弾丸に何が仕込まれているというのだろうか?すぐさま分析し、このエルフの少女を倒す糸口を見つけ出さなければならない。しかし、それは一旦置いていくとして、今は向かってきているこの弾丸だけは対処しなかれば!


 ミトラは両手に力を入れ、剣を持ち直す。


 避ける、という選択肢はない。


 弾丸は魔力による遠隔操作が行われているのだ。躱しても、逃げても、追いかけてくるのは明白。ならば剣で防ぐ、はじく、斬ると言った事をしなければ対処は出来ない。


 ミトラは凄まじい集中力でその弾丸を察知する。それは眼に頼った見切りではない。戦士としての勘、生物として危機察知能力を全活用したものであった。


 カァン!と硬いものが斬られ、逸れていく音が二つ聞こえていく。


 「へぇ……さす、が……剣聖」


 「はぁ……はぁ……!」


 なんとか当てたが、この戦いが続くのは精神的にも肉体的にもキツイ。


 とにかく、今やるべきなのは──


 「ッ!」


 ミトラはふとももの銃創に指を突っ込む。


 世の中には痛覚遮断させる魔術があるがそれは上級魔術であり、剣聖であるミトラが使えるレベルの術ではない。ここは痛みをこらえるしかない。


 そうして取り出したのは、傷口に入っていた弾丸であった。


 「これは……魔鉱石か!?」


 確かに、魔鉱石によって加工された弾丸ならこの威力に説明がつく。魔力伝導率も高いし、術も仕掛けることが出来るはず。


 だが、魔鉱石をこれほど小さく加工するのは不可能のはず。仮に出来ても、大量生産できるはずがない。ミトラは使っている剣も魔鉱石で出来たいわば魔剣だ。しかし、職人が時間をかけて手掛けたものであり、小さく加工しなければならない弾丸よりも制作は簡単だ。


 (いいや、もしかしたらメイガス・ユニオンの技術か?)


 可能性なら充分にありえる。


 公表していないだけで、魔鉱石加工技術を持っているのかもしれない。


 ……まぁ、冒険者ギルド連合、魔術師連合にも公表していない技術、知識があるのだが。


 「まぁ、種と仕掛けが分かれば良い。何も分からない方が怖いからな」


 そういって、取り出した血まみれの弾丸をハンカチで丁寧に包むとポケットに入れる。あとで魔術師連合の誰かに見せれば誰がどのように造ったのか、分かるかもしれないからだ。


 「それじゃ、気を取り直してやってやるか!」


 ミトラは剣により一層、魔力を纏わせてエルフの少女へと挑んでいくのであった。

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