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メイガス・ユニオン 5

 路地裏に移動して話を聞いたミトラは強く周囲を警戒しながらも、本当にここまで来るのか?と疑問を思いながら街中を歩いていた。


 一体、今回のメイガス・ユニオンに関する事件がどのようなものなのか。それを知るために少しばかり時間を戻すとしよう。



 それは路地裏で連絡している時であった。


 『改めて言うが今回の件は調和神アフラの管理する神代の遺物(アーティファクト)の略奪からの防衛作戦となっている。何を盗もうとしているのかは不明だが、神代の遺物(アーティファクト)が保管されている神具保管庫に潜り込もうとしているのは確かな話だ』


 神具保管庫はミトラも聞いたことのある場所だった。


 神代の遺物(アーティファクト)のほとんどが現代の魔術学で再現できないものが多い。その中でもさらに特殊なモノを調和神アフラが収集し、管理しているという。その場所が神具保管庫だ。


 噂によると起動するだけで世界を滅ぼす可能性のある兵器もあるという。


 だが所詮は噂。その神具保管庫も何処にあるのか公表はされていないし、アフラがプライベートで収集している物品だ。その存在自体も眉唾ものだった。


 剣聖になった時、実在していると知った時は彼女もかなり驚いた。都市伝説の類かと思っていたため、まさかそんな場所があるとは。


 「分かってるよ。侵入者を神具保管庫に近づけないこと。そして生け捕りにすることを前提とした計画を立ててるんだよね」


 『その通りだ』


 やはり、死んだ人間を生き返らせるレベルの回復術は恐ろしいものだ。


 本来、生け捕りというのはかなり難しいものだ。抵抗する相手を無力化しなければいけないからだ。やりすぎては死んでしまうし、甘すぎれば逃げられてしまう。


 だが、エイルが居れば殺した所で問題はない。


 復活させたのちに、情報を聞き出すなり、拷問にかけるなり、色々な事が出来るのだから。


 「それで?連絡してきたのは一体?」


 ミトラの言葉にべスは作戦内容を簡潔に話し始める。


 『外壁巡回チームのリーダー、アナトが怪しい人物を外壁の外側で確認したっていう話だ。確認できた人数は四人。その後、二組に分かれて消息は不明。街中に侵入した可能性がある。警戒レベルを引き上げろ。怪しいものが居れば即、殺せ。以上だ』


 そうして、べスの方から勝手に連絡が切れる。


 「……入られたのかよ」


 この作戦にはあの最強の冒険者、アナトも関わっている。


 だが、アナトは『最強』なだけでもある。単純なバトル、戦闘には必ず勝利をもたらすだろう。だがそれは万能ではない。


 今回のような場合、戦いが重要ではない。まず入れさせないことであり、逃げられてはダメであるということだ。決して戦って勝つことではない。


 要するに適材適所、今回の作戦にアナトは向いていないということだ。


 「いいや、まだ可能性だって言ってたから本当に入られたかどうかはまだ不明だな。それに人選どうのこうの考えても仕方ないしね」


 今回の人選はアフラが決めたことだ。


 あの調和神アフラがアナトが必要だと思ったのなら、戦闘が発生する可能性が高いのだろう。


 「私のやれることをやるか」


 そうして、ミトラは路地裏を出て巡回を再開するのであった。

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