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メイガス・ユニオン 4

 ミトラはその木の札に魔力を送り、魔術を発動させる。すると、付与されていたのは連絡系統の魔術だったようだ。誰かの声が木の札から聞こえてくる。


 『緊急要請だ、ミトラ。来ちまったようだぞ』


 「……マジですか。噂をするとってやつかな」


 どうやら会話の流れからしてメイガス・ユニオン絡みの事が起こり始めているようだ。


 一体、何が起こっているのか。聞きたい所だが、とりあえず──


 「その声、べスか?」


 木の札からしている声にとても聞き覚えのあったトーゼツが尋ねる。


 『ん?その声……トーゼツか!』


 まさか、こんな所でもう一人、知り合いが関わっていたとは。


 それと同時に今回のメイガス・ユニオン関連の事件はとてつもない事が起ころうとしているのではないか?とアナーヒターは予測する。


 なにせ、剣聖であるミトラ・アルファインにあの特異課の課長、べス・デルヘットが加わっているのだ。本部の中でもトップクラスのパワーが二人もいる。きっとこの二人を抜擢したのはアフラだ。


 (アフラがこれほどの人選……かなり警戒しているわね。何が起ころうとしているのかな?)


 アナーヒターは興味が沸き始める。


 『他にそこに誰か居るのか?っていうか、そこは何処だ?もし人の多い場所だったら離れてくれ。ここからは機密情報だからな』


 「だってさ、トーゼツとアナーヒターはどうする?」


 トーゼツとアナーヒターはこの件に一切、関係がない。部外者である。それにかなりの面倒ごとに成りうる案件だ。だがそれでもこれ以上、首を突っ込みたいというのであれば──


 「まぁ、関わる必要はないだろ?それにこの件、アフラが人選してるんでしょう?めっちゃ気になるけど、呼ばれてない任務に加担するつもりはないね」


 アナーヒターはそのようにきっぱり述べる。


 「ということだ。まぁ、俺たちにもやるべきことがあるしな」


 「そうですか。じゃあ、私は聞かれないように人気のない路地裏にでも移動するとしようかな」


 トーゼツとアナーヒターの言葉を聞いたミトラは木の札を持って立ち去っていく。


 それを見送った二人は再び何処へ向かうか、と旅の話し合いへと戻る。



 場所は変わり、そこは神都を囲っている二百メートルもある外壁。


 この外壁が何故、あるのかは未だに分かっていない。学者の間では元々、神の住む場所と人の住む場所を区分けするためのものであると言われていたり、また単純に防壁なのでは?という意見もある。


 調和神アフラは何なのか、分かっているのだろうが人間の成長を望む彼女は自分たちで考え、予測し、当てろと言ってその答えを述べることはない。


 そんなデカい外壁の上に立つ二つの影があった。


 一人はスーツ姿のトランクを持った男。もう一人は刀を持った、和洋折衷な服を着た男であった。


 「ちッ、タッグはアンタとか……今回の任務、分かっているよな?」


 スーツの男が言う。


 「ぁっているが、お前も俺がどうして雇われてやったのか、理解してるんだろうなァ?」


 「もちろんだ。だから念のために聞いただけで、特別期待はしてないよ」


 「そうかい、そうかい!なら勝手に動かせてもらいますぜ!」


 そういって外壁から飛び降りていく。


 「ったく、結局俺が頑張らなきゃいけないのか。陽動チームと奪取チームに分かれたのにな。実質、奪取チームは俺だけか。」


 そうして、スーツの男は魔力を纏うと一瞬で何処かへ消えていく。

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