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特異課 14

 次から次へと、人間の急所をべスは確実に狙っていきトーゼツを殺していく。そのたびにトーゼツは自身の固有技能である『不屈の魂』で蘇る。


 だが、それで意識が返って来た瞬間には次の一手で殺されていた。


 (何が……起こって…?)


 途切れ途切れの意識の中、べスの動きがただの戦士のモノではない事に気づいていた。こんなもの、一般的な戦闘術ではない。人を殺すためだけに鍛え抜かれたこの技術……そう、これは──


 (暗殺術!!)


 それしか考えられない。


 でなければ、こんな動きに、的確な急所を突いた一撃……出来るわけがない。


 「はっはっはァ!本当に不死身だな、なんだこりゃ!?」


 まるで人を殺す事が楽しいかのような、喜々とした声をあげながらもその剣を振り回すのを止めなかった。また殺し方もただ剣で刺すだけではなく、時には首を絞めたり、次の瞬間にはうなじを掴み脊髄を引きちぎって殺したりもした。


 どれだけ殺し方のレパートリーがあるというのか。


 ……それだけか?


 トーゼツも何度も意識を失っているし、防御も出来なければ、反撃も出来ていない。しかし、魔力で身を覆って最低限の守りはしている。


 それを術を使わず、時には素手で?


 何かがおかしい。だが、トーゼツは気づけない。


 そうこうしているうちにいつの間にかべスからの猛攻撃は止まっており、トーゼツは倒れていた。


 「もうここら辺で止めたらどうですの?この戦いに終わりはないでしょうし、仮に最後までやるとしたらべスの魔力切れを起こしてアナタの負けになりますわよ」


 そうしてエイルが二人の間に入り、杖を暴れていたべスの方へと向ける。


 べスも激しい動きをしていたためだろう。より一層呼吸を荒くし、全身から汗が噴き出ていた。さらに両腕は血まみれであり、その眼は獣のようにギラギラしていた。


 まだ落ち着かないようで、獲物を見るようにエイルを見続けていた。が、それも時間が経てば収まり、ようやく冷静になってきたようだ。


 「……そう…だな。ははッ!久しぶりに思う存分、殺しまくれたぜ。それにトーゼツ、お前も俺に並ぶほどの充分な化け物じゃないか。これから期待しておくぜ!」


 そういってべスはふらふらと立ち去っていく。


 「まさか、べスがあそこまでやっちまうとはな。久しぶりに絶大魔術の持続使用を見たぜ」


 ポットバックは帰っていくべスの背中姿を見ながら、ボロボロで倒れこんでいるトーゼツへと近寄っていく。


 「…絶大……魔術だって?」


 「あら?気づいていなかったの?」


 トーゼツの言葉にエイルが反応する。


 「べスは途中から肉体強化系の絶大魔術〈ヴァイブラント・ヴァ―ブ〉を使っていたのよ」


 「……それをずっと?」


 「ええ、十分以上は使っていたんじゃないかしら?」


 信じられない。


 絶大魔術は脳に負担がかかるうえ、魔力の消費も激しい。だからこそ、一度でも発動させるのは難しいし、連続使用するのは四大聖レベルの戦士しか出来ない。


 それを、持続使用?


 しかも、剣聖に成れる器とは言えど、ただの剣士が?


 トーゼツはべスが一体、どういう人物なのか。性格どうのこうではない。なぜ、彼ほどの強い人物が特異課の課長で、剣背に成れていないのか。何かを考えているのか。この戦いを通してより不明瞭になっていくのであった。

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