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特異課 10

 べスは最初の方こそトーゼツに搔き乱されてしまった。戦いというのはいかに自分のやりやすい雰囲気、流れに持っていくのも大事だ。そして、その流れをトーゼツに掴まれてしまったのだ。


 今、トーゼツが近距離戦へと移行しようとすることでその流れに変化が起こり始めつつある。


 (次の流れはどちらが先に一撃を入れるか、だ!確実にトーゼツの攻撃を捌き、カウンターで強い一撃を入れ込む。そこから俺の流れへと持ち込んでやる!)


 だんだんとトーゼツとべスの距離が短くなっていく。


 二十メートル、十五メートル、十メートル……。


 まだ、だ。距離が遠い。


 まだ……。


 来たッ!


 トーゼツは自身の攻撃範囲内まで来ると、その低くしていた姿勢を一気に起こしながら、腰をひねり、腕を回していく。その動きはまるで竜巻のようであった。


 そして、竜巻の動きに合わせて持っていた双剣もまた、鋭くトーゼツの体を中心に回転していく。


 最初こそは剣で全ての一撃をはじいていたが、回転していくたびに速くなり、また遠心力を持った双剣はどんどんパワーを増していく。そしてとうとう、べスは態勢を崩してしまう。


 トーゼツはそのチャンスを逃すまいと回転を止め、一気に右から左へと横へ斬りかかる。しかし、崩れた態勢からその刃を逸らし、素早く後方へと下がる。


 (追撃が当たらなかった!)


 トーゼツは悔しがる、が


 (カウンター出来なかったか!)


 べスもまた自分の狙いが出来なかったことに悔しがっていた。


 べスは天性の肉体能力と感覚で。トーゼツは経験と鍛錬から身に着けた技術と根性で拮抗していた。だが、その拮抗状態が破られるのが時間の問題でもあるのはお互い分かっていたことであった。


 「上級剣術!」


 詠唱を始めたのはべスであった。体外から魔力が漏れ始め、剣へと集約していく。


 「そう来るよな!」


 トーゼツはその詠唱を中断させるために斬りかかる。が、トーゼツは腹部へと強い衝撃が奔ると同時に一、二メートルほど後方へ飛ばされる。


 どうやら蹴りを入れられたようだ。トーゼツは術が付与されていく剣と詠唱しているべスの方に意識が向いてしまっていたた、すぐに反応できなかった。


 そして、詠唱が終わり、術が発動してしまう。


 「〈瞬時断絶しゅんじだんぜつ〉!」


 速度と魔力を刃に乗せた、脅威の一撃であった。光の如く速さで一気に空間を駆け抜け、トーゼツへと斬りかかる。しかも、一度だけではない。何度も、何度も、何度も……!まるで玉ねぎをみじん切りにするかのようにトーゼツへ斬りつけていく。


 (一度の詠唱で術の連続発動!)


 剣術で押し込んでくるという一手は予測できたが、まさかここまでやってくるとは思っていなかったトーゼツは、剣ではじくことも、逸らすことも、避けることも出来ずに一身に技を受けてしまう。

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