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特異課

 そこは冒険者ギルド連合本部の二階。


 階段を登って出た廊下から右手へ進むと、そこに『特異課』と部署名が書かれた表札が飾られていた。


 その部屋の前に立つ影が一人。


  「ここが特異課、ね」


 調和神アフラの言われた通り、訪れてみたトーゼツは丁寧にノックをして確認する。


 「入ってもよろしいですか?」


 「おう、入りな」


 ドア越しから聞こえてくる男の声。


 許可は貰った。トーゼツはドアノブを回し、部屋へ入ろうとしたその瞬間だった。


 顔のすぐ左横を何かが通りすぎ、後ろの廊下の壁へと突き刺さる。


 それは一本の矢であった。


 「……は?」


 突然の事で頭が真っ白になる。


 あともう少し左にいれば矢に直撃して死んでいた。というか、俺は入る許可をもらったよな?


 何が……どうなって……あれ?


 「あァ?一瞬アイツかと思ったけど、誰だアンタ?」


 それは弓を持った、サングラスをかけてアロハシャツを着た男であった。一目見て部外者かな?と思ってしまうが、弓のほかにも刀を背負っており、冒険者なんだなというのが一応認識できるレベルであった。


 「ア……アンタこそ何者なんだ!?急に矢を放ってきて!!」


 部屋に入ってきたのはトーゼツだ。用があるのもトーゼツ。ならばこちらから名乗るのがセオリーなのだろう。しかし目の前にいるこの正体不明のわけわからん男の思考が読めず、怖すぎて自分から尋ねてしまった。


 「おぉ、そうだな。尋ねる前に自分か名乗っておくべきか」


 グラサンのアロハ野郎はそういって自分から名乗り始める。


 「連合本部特異課ポットバックだ、よろしくな!」


 「あぁ、よろ……しく?」


 全く持って相手の思考が読めない。


 次第に考えるのが面倒になってきたトーゼツはもう考える事を完全に捨てきってしまい「よろしくな!!」と改めて元気よく挨拶する。


 「良い返事するじゃねェか!気に入ったぜ、とりあえず入りな!」


 「あぁ、入らせてもらうよ!」


 なぜ自分がこんな場所へ来たのか。そんな事もとっくに忘れてしまいながらも、もうこの魔訶不可思議な状況を面白く感じ取ることしか出来なくなってしまっていた。


 その時だった。


 「おっと、見ない顔だな」


 トーゼツに続いて特異課の部屋に入ってくる人影があった。


 それは四十代か、五十代くらいの男であった。


 整えられていない無精ひげに少しばかり酒の匂いがする男。しかし、見た目だけで言うのであればポットバックのようなラフすぎる恰好に比べれば、いくらかマシなものであった。


 「コイツは誰だ?」


 男はトーゼツの顔を確認してすぐさま目線をポットバックの方へと切り替えて、トーゼツが何者なのかと尋ねる。


 「そういえば名前と用を聞いてなかったな。忘れてたぜ!アンタ、何者なんだ?」


 そういわれて忘れていたことが頭の中で一気に蘇り、ハっとする。


 「そ、そうだな!俺の名前はトーゼツ・サンキライ。調和神アフラの勧めでここにやってきたんだ!」

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