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里帰り 6

 これでアナーヒターへの処罰が下った所でアフラの意識は次にアナトへと行く。


 「それでは次に今回の任務、支配の厄災討伐についてです。ひとまずアナタ達は厄災を討伐することに成功しました。おめでとうございます」


 「そんなお世辞やら御託やらは要らないんだ。ひとまず……これからどうするのか?情報公開するつもりなのか?アレが何なのか知っているのか?全ての……そっちの見解を聞いておきたい」


 アフラは討伐成功なんて言っているが、それに対しアナトの表情は険しく、難しいものだった。それから感じるものはやはり、アナトは勝った気分ではないということだけだった。


 「そうですね、それでは冒険者ギルド連合としての話をするとしましょう。まず、アレらの情報は公開しません。するとしてもローブの者たちまでです。支配の厄災の情報を流すとなると世界にどのような影響が出るのか、分かりません」


 まぁ、そのように出るのは誰でも考えれば予想出来ることだ。


 ローブの者たちも充分、怖いがまだ人間だ。それに戦って分かるのは確実にアナトよりも弱い。やはりギルド連合にアナトという強い切り札がある以上、それほど強い混乱は起きないだろう。


 それより危険なのは……支配の厄災だ。


 どんな条件下ならば厄災が人体を乗っ取り復活できるのか、分からない。だが確実に分かるのは、厄災は倒したあとも復活可能であるということだ。


 つまりこれまで人類が倒した全ての厄災が生きているという可能性が生まれてくるということだ。


 さらにスールヴァニアでは支配の厄災が討伐されたから治安、経済、政治がようやく元に戻って安定してきている。それなのに討伐出来てませんでした!となるとどうなることやら。


 そう考えれば支配の厄災の情報だけ伏せておくのは必要なことだろう。


 「そしてここからは一部に人間にしか知られていない情報となります。当事者であるあなた達には説明しておく必要があるでしょう。のちほどエルドとミトラの二人にも伝えておくとします」


 一瞬で場に緊張が奔る。


 知られていない情報……その言葉だけで今からアフラの話す内容がどれほど重要なものなのか……。普通の冒険者であるトーゼツには予測出来ないことであった。


 「説明するためにも事前の知識として厄災……いいえ、我々(・・)の説明を改めて行なっておくとしましょうか。私たち神々は人の想いから生まれています。原始の人々は火を獣や魔物を払える道具として敬意を向けると同時に、火事を恐れてもいました。作物に恵みをもたらす雨を奇跡としながら、洪水に恐怖していました。そんな想いが集まり、形作られたのモノが時には神、悪魔、精霊などと呼ばれるようになり、我々が生まれたのです。しかし、所詮は想いの集合体。エネルギーはあれど実態はありません。そのため今の私は想いの力その一部を具現化させることでここに立っています」


 それは既に魔術学の世界では知れ渡っていることだ。だからこそ、そのような想いで生まれた神々が世界を支配していたという神代があったという事に賛否両論あったりもする。


 それに力を失い、自分の肉体をも具現化出来なくなった存在がシスやテイワズと言った神だ。


 人間の肉体に記憶と力を継承させた、神と人間のハイブリッドだ。


 「厄災も同様です。あれらは元々、人の死や病、災害などの全ての恐れから生まれてしまった悪神から生まれた悪魔。つまりは人の想いから生まれているのです。しかし我々と違う点が一つあります。彼らには肉体となる『核』があるのです。と言っても生命のように血が流れ、肉で出来た体ではありません。その想いが宿っている『モノ』があるのです。厄災を間近で見たアナタ達なら思い当たる節があるのではないでしょうか?」

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