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里帰り 3

 中に入り、ホテルのエントランス、ロビーを彷彿とさせる現代風の部屋が広がっていた。


 設置されているいくつかのテーブルとソファには、冒険者、魔術師らしき恰好の者たちが複数人居た。またトーゼツ達がやってきたのを視認した途端、全員がこちらへと近寄ってくる。


 「厄災討伐おつかれェ!」


 「さすがはミトラさんだ、アンタなら三度目もやり遂げられるって信じてたぜ!!」


 「こちらニュース・チェッカーの記者なんですが……!」


 と称賛の声に質問の声と共にあちこちからアナトへと押し寄ってくる。


 また魔術師の恰好をした集団はアナーヒターへと寄って


 「五年近くも失踪していて心配していたんだぞ!!」


 「アンタのおかげで色んな計画が事実上、凍結状態なんだ!」


 「今頃帰ってきて一体、どういう事なんだ!!」


 アナトとは打って変わってアナーヒターの方はあまり良い感じでは無さそうだ。


 疑惑に疑問、または暴言を吐く者もいた。


 しかし、二人はそれら寄ってくる者たちに動じず、歩みを止めることなく進み続け、その後ろから追いかけるようにトーゼツも進んでいく。


 玄関であるホテルのロビーのような場所を抜け、廊下に来てもついてこようとするそれらの集団を徹底的に無視して三人は逃げ込むようにエレベーターへと入り、上のボタンを押す。


そして二人は――


 「「ダルイわぁ~~」」


 と息ぴったりで溜息をつく。


 「いやいや、私はともかくお前のアレに関しては、過去のお前のの行動によるものだろ?」


 アナトはアナーヒターに向けてそのような言葉を送る。


 実際、彼女が失踪していなければあんなに色んな人へと迷惑をかけることはなかっただろうし、問い詰められることにもなっていない。


 「私無しでは回らないような事をしているアイツらもダメでしょ」


 アナーヒターは自分に非が無いように立ち振る舞い、反省の意もないようだ。


 そうこう話していると、チーン!というベルの音と共にエレベーターは停止。ドアが自動で開く。


 「俺はここに残っておくよ。俺は呼ばれたわけでもなければ、アフラに会う理由も無いしな」


 そういってトーゼツは残ろうとする。


 まぁ、彼の言っていることは間違っていないし、付き添いという理由で神々の頂点へと立っている調和神アフラへと面会するのはなんだかしのびない。


 それに……トーゼツはあまり神々に対して良いイメージを持っていない。


 テイワズやシスも神々ではあったが……地方神、土着の神という事でまだ自分の中では許せていた。しかし、相手が正真正銘、世界で信じられている神。


 つまり、トーゼツに才能がないと見限り、『職』という祝福を与えなかった存在の一柱ということである。


 そんな存在と対面するというのは……自分の怒り、憎しみなどと言ったモノを抑えられるかどうか分からない。と言ってもさすがに対面一発目から殴りに行くなんて事はしないが、どうしても態度には出てしまうだろう。

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