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支配の厄災 11

 その後もアナーヒターは退くことはなく、そのまま魔力で腕の筋力を増強させながら強く杖を押していく。が、支配の厄災も負けじとセプターを強く握りしめ、ガチガチガチッ!と鍔迫り合いのような状態になる。


 「魔術師が近距離戦で自ら来るとはな!?」


 ククククッ!と激しく笑いながらも、二人はぶつかる杖とセプター越しに睨みあう。


 「術聖の私をそこらの魔術師と一緒にしないで欲しいかな!!」


 と強気で言うが、結局は近接戦闘()出来る魔術師であって、近接戦闘を得意とする魔術師ではない。やはり基本は遠距離、支援を得意とするアナーヒター。ジリジリと押し負けていく。


 このまま押し合いを続けても負けるのは確実。


 ならば―


 アナーヒターはわざと杖を持つ力を弱め、魔力量も下げる。いいや、それは弱めるというより、ゼロだ。力を完全に抜いてしまったのだ。


 凄まじい力を加え続けていた支配の厄災はそれは簡単にアナーヒターを吹っ飛ばす。


 だが、それこそアナーヒターの計算であった。


 「絶大魔術!!」


 支配の厄災の足元に半径二メートルほどの魔法陣が展開される。


 「これは―」


 「〈光縛こうばく〉!」


 魔法陣から光の触手が飛び出し、支配の厄災へと向かう。脚、腕、首と体全体を稼働させるために必要な個所にぐるぐると縛りつく。


 「この程度の魔術か」


 支配の厄災はその触手をブチブチブチッ!と紙でも破くかのように簡単に壊していく。絶大魔術と聞いてどれくらいの拘束なのか、と警戒していたのだが想定していたモノよりかなり効力はなかった。これではまるで上級魔術レベルだ。


 「ッ、上手く発動しないか!!」


 消えかけの爆煙の中で、汗をだらだらと滝のように流しながら悔しがっているのはエルドであった。


 厄災の戦いの中で、最も緊張しているのは彼であった。


 ここに居るのは、神に術聖、剣聖。そして冒険者として自分の指標になるトーゼツ……。


 自分だけがこの場にふさわしくない。


 だからと言って逃げていいわけじゃない。


 彼のように……諦めずに前へ進みたい!


 だからこそ、絶大魔術を発動させたかったのだが―


 「くそッ!」


 魔力量が足りないのか?魔法陣の構成を考え直すか?それとも別の要因か!?


 あの時……あの街で……あの龍を倒した時の事を思い出せ!!


 エルドは再び杖を構えて同じ魔術を発動させようとするのだが


 「二度目は効かん!」


 支配の厄災はセプターを素早く振り下ろし、彼を爆発させる。


 「くッ!」


 エルドは〈光縛〉発動のために体内から集めていた魔力で咄嗟に中級レベルの防御魔術を無詠唱で展開する。ドーム型のバリアがエルドを中心に現れて彼を守るのであった。


 「いいや、タイミングばっちりだ。エルド君!!」


 その言葉と共に、支配の厄災を背後から強く右から左へと薙ぎ斬る刃があった。


 「いつのまにッ―!」


 それは完璧な気配消し。


 そこに居たのは剣聖ミトラであった。

 

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