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支配の厄災 10

 支配の厄災はさらに具現化させたセプターにその黒くて禍々しい魔力を纏わせていく。


 「言うことを聞かないこの肉体に、君たちが勝利することを願っているよ」


 敵でありながら……狂気を振りまき、多くを破壊、破滅させた相手が自分たちの勝利を応援しているという何とも言えない不思議な事にどう対応して良いのか、皆、分からなかった。


 だが、トーゼツは「だったら、お前の願い通り、やってやるよ!」と豪語し、指輪の力で一本の剣を取り出す。


 それに合わせて、アナーヒター、エルド、ミトラは武器を構えて戦闘態勢に入る。


 「私たちは約束通り、基本見てるだけ。回復の支援ぐらいはするけど、直接介入することはないと思ってね。それじゃ、健闘を祈るよ!」


 そういってシスとヘイド、そしてヘイドの継承者である少女の三人は支配の厄災から距離を取り始める。これは事前に決まっていたことなので驚く要素はない。のだが……


 「じゃ、私も任せたよ~」


 そういって一緒に下がり始めたのはアナトであった。


 「「「「はぁ!?」」」」


 思ってもいなかったアナトの行動に四人は驚くのだが、支配の厄災は問答無用で攻撃を開始し始める。攻撃の瞬間を見ていなかったためセプターによる攻撃なのか、それとも魔術を使用したのか、分からない。とにかく強い爆風が襲い掛かり、その衝撃で四人全員が吹っ飛ばされる。


 トーゼツは直前に魔力で体を覆い、身を守る。


 それでもなお、ジュワッ!と熱い風で皮膚が焼け、髪が少し焦げる。だが、致命傷というわけでもなければ、油断していたわりにはかなり相手の攻撃に耐えきった方である。


 爆風によって舞った土と爆煙で共に攻撃を喰らった三人がどうなったのか、分からないがトーゼツがこの調子なのだ。ほかに三人もきっと身を守れたに違いない。それよりも―


 「テメェ、どういうことだよクソ姉貴!」


 トーゼツはアナトへと指をさし、怒りを込めて怒鳴りだす。


 「お前が戦闘参加しないってのは聞いてなんだが!?!?」


 「そりゃあ、私が参加したらイージーゲームになっちゃうでしょ?」


 「いやいや、それは―」


 このように会話している間も、支配の厄災は問答無用で追撃をしてくる。


 セプターの先で狙いを定め、振り下げる。攻撃そのものは見えない。しかし、その殺気、敵意から何かが来ると察知したトーゼツはすぐさま回避するように走り出す。


 トーゼツが立っていた場所がボンッ!と強く爆発する。


 「見えずとも避けるか……さすがは私を殺しに来たつわものよ!」


 どんどんセプターを振り回し、トーゼツめがけて爆発させていく。見えない攻撃を必死に避けていく。


 「ちぃッ!容赦ねぇなぁ!」


 もうアナトに対して何か思考したり、話しかける余裕はない。戦闘の方に集中した方がよさそうだ。しかし、攻撃しようにも見えない爆発攻撃に避けるので精いっぱい。


 さて、どうしたものか。


 そう考えている最中、初撃で未だに視界を塞ぐ爆煙を押しのけて支配の厄災に攻撃する影が飛び出てくる。


 それは杖に水圧カッターのように凄まじい速度の流水を纏わせたアナーヒターであった。


 杖先で上から下へと強く打ち下ろす。


 支配の厄災はトーゼツへの攻撃を中止し、セプターを掲げてその杖の攻撃を防ぐ。


 バチュンッ!と流水がはじけると共に硬いモノ同士がぶつかる音が混ざり合った不思議な音が響く。

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