支配の厄災 3
そんなシスの叫びを聞いた上でテイワズことへイドも自分の答えというか、意見というのを述べ始める。
「であれば俺も一緒だ。俺はこの国の王だ。だからこの国を守るために何もしないわけにはいかない。それにお前も最低限の支援しかしない気だろう?俺も一緒だ。ただ見物しようと思って来ただけのこと。コイツらが負傷しようと、死にかけようと、実際に死んでしまっても手は出さんし俺は助けん」
いやいや、まるで対岸の火事を見る野次馬みたいなその行動もそれはそれでどうなんだが……と思うトーゼツであった決して声にして言うことはなかった。
「お前らもそれで良いだろう?俺は手を出さんし、邪魔はしない。命令もすることはない。ただついてくるだけ」
それに対し、シスは何か言いたそうであったがすぐさまミトラが「確かに問題はないな、それでは見物人としてよろしく頼む」とシスの言葉を遮る様に答えるのであった。
アナトの考えも分からなくはない。この勢いのままシスを喋り出すと延々と言い合いになりそうだったし、トーゼツ達もこれ以上は何も言及したり、追い返す必要はないと感じた。
敵ではないし、何もしないとのことだ。であればへイドの言うことを聞いておけばとりあえずその場は丸く収まる。
シスはアナトに対し何か言いたげな表情をしているが「さぁ、飯に戻るか!!」とアナトは焚き火の元へと戻り、瓶の中で塩漬けにされていた魚の身を焼き始める。
やはり保存するためにあの手この手は尽くしているが、まだ保存技術の進んでいないこの世界では一ヶ月もてば良い方で、この魚も焼けている匂いはあまり美味しそうな匂いはしない。それでも安全に食べれはするだろう。
他のみんなも口の水分は奪われる乾パンを食べている。強いて美味しいものといえば燻製にされたジャーキーやスルメなどがある。が、やはり新鮮な釣り立ての魚や狩り立ての獣肉をこの場で調理し、出来立てを食べることに比べれば美味しさは半減だ。
「さぁて、では一緒に昼食でも食べるとするか、継承者よ」
「はい!」
そうしてへイドたちも焚き火の輪の中に混ざり込むと彼は手に魔力を込め、空間に穴を開ける。それはまるでトーゼツの武具を収納している指輪のような穴であった。
そしてへイドは手を突っ込み、取り出されたのは二つの赤くて新鮮そうな林檎だった。そしてそのうちの一個を継承者と呼ぶ魔術師の少女へと渡して食べ始める。
この二人……我々よりも良い物食べてやがる!!と皆の目線が釘付けになる。
それに少女の方は気づいたのか、一瞬、林檎を食べるのに躊躇したが「どうした、食べないのか?」と全く気づく様子のないへイドの言葉に押されて彼女もまた食べ始める。
やはり、これが最高神もとい国王と、この地で生きる神と人の格の違いってやつなのか……と思い知らされるのであった。




