再会 15
それは最高神テイワズが住む城の門の前。
そこには多くの人々は門の向こう側にいるであろうテイワズへと叫んで何かを訴えているのであった。
「おぉ、今はこんな風になっているのか」
それを訴える人込みから離れて見ているのはシスであった。
「テイワズであればあの厄災を簡単に追い払えるだろうし、たくさんの人たちがアイツに立ち上がって討伐してほしいと考えているんだろうけど……」
しかし、王として君臨しているものの、テイワズが動こうとする気配は全くない。やはりテイワズも他の神々同様、人類発展を促進させる過干渉にならないようにしているということか。
となるとなんでこの国の王に成っているんだ?と感じてしまう所だが……。
「まぁ、王として君臨しているのは他国の抑止力としてでもあるからなぁ」
スールヴァニアと戦争するということは、王であり神であるテイワズを敵に回すことと同義だ。
仮に他国に攻め入られたとしてもテイワズが動くことはないだろうが、可能性がある以上、周辺諸国はテイワズと戦うことも想定しなければならない。
初代のテイワズ……つまり正真正銘、真の神であった頃の彼は平和主義であった。争いをなくし、不作が続けば土地を蘇らせ、雨を降らせた。権力争いが起きればそこに介入していたという。
そんな初代も王に成る気はなかったが国民からの王になることをこれらの理由から願われた。初代がどのような判断をしたのか、今のこの状況を見れば誰であろうと分かるだろう。
「おっ、いたいた!シスが一番だったのね」
手を振ってシスへと近づくのはアナーヒターであった。
「アナ―……じゃなくてメユーが二番目だね」
思わず本名を言いそうになったが、とちゅで慌てて口を閉じて言い直す。
「残りは二人か……トーゼツの方をミトラは追ってたみたいだけど大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ」
トーゼツの事をかなり心配しているメユーだったが、シスの方は気楽な表情であった。
「あぁ!良かった、無事だったんですね!」
メユーに遅れてやってきたのはエルドであった。
さて、あと残るはトーゼツただ一人。彼と合流したらいったん、首都から出ようと三人が考えていた最中
「おーい」
これはトーゼツの声だ!
三人は声の方向を見る、そこには……
「えーっと……なんというか…」
歯切れの悪い、まるで言い訳するかのような口ぶりのトーゼツは、荷物を持つかのようにアナトに担がれていた。その隣に少しばかり苛立っているミトラがそこにはいた。
「とりあえず、すまん!」
トーゼツのその謝罪は、自分が悪くないと思っているような声色であった。
「さて、ちょっと話したいことがあるし、とりあえず一緒にギルドにでも行こうか?アナーヒター。……いいや、今はメユーちゃんだったかな?」
アナトの挑発かのような言葉にアナーヒターもまた怒りとまではいかないが、明らかに機嫌の悪そうな顔になる。
「そうだね……私は話したいことはないけど、付き合ってやるよ」
そうして皆、アナトとミトラにギルドへと連れて行かれるのであった。