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再会 8

 人の時代の訪れ……。


 トーゼツも多くの国を旅してきて、色んな神に会った事がある。


 それはスールヴァニアのように王のように支配者として君臨している神、森の中で慎ましく暮らす神。傲岸不遜で人間をおもちゃのようにする神。


 そして……人々から忘れ去られ、存在意義を失い果てた神。


 神はもう絶対的なモノではなくなった。しかし、未だにこの世界に残る神のほとんどは人間の力、技術、知識を凌駕する存在で到底、敵わないと思っている。


 しかし、シスの言葉を聞く限り、神から人へと変遷することを了承……というか願っている神が多数派のようだ。だが本当に人類は神に頼らなくても繁栄していけるのだろうか?


 厄災だけではない。地震や火山の噴火と言った星の災害、生命の進化によって生まれる新たな病原菌や未知のウイルス。そして、利権に思想、憎しみで始まるモノ。人が生み出す恐怖である戦争。


 これらに人がまみえた時、人は神への祈りを信じざるを得なくなる。


 人の信じる心、想いには力が宿る。


 その想いが渦巻き、形を得る。それにより新たな神が発生するだけだ。


 「……なぁ、本当に人の時代ってのが来るのか?」


 トーゼツはさらに質問をする。


 「俺たちは神という存在を超えて、その先へ行けるほどの力を持った生き物なのか?」


 その真剣な眼差しに、しかしどのような意図があってそのような質問をするのか。いつも前だけ向いて、諦めずに進むだけのトーゼツが、神に人類の可能性を問いただす。そのことがエルドとアナーヒターには分からなかった。


 しかし、シスには何かしらの意図が伝わったのだろう。


 彼女は誰であっても安心させてしまうような笑顔で、迷わず答える。


 「言っただろう?私たち神は人の想いから生まれた。つまり、神を生むのは人だ。そんな人の可能性なんて無限大に決まっているだろう?」


 それを聞いたトーゼツは「…そうか……そうなんだな」となんだか安心したと同時により強い確信を得た表情へと成った。


 (そうさ、人の可能性は測れない。だから君は諦めずにただひたすらに走り続けるんだ。君に職はないけど、神の祝福に頼らなくてもさらにその先へと到達出来るよ)


 この質問は才能が無い。神に認められなかった哀れで可哀想な人として見られてきたトーゼツが、自分が進んできた道というのは間違っていなかったと思えるための質問であったのだ。


 そして、その答えはしっかりとシスから貰うことが出来た。


 「ありがとう、シス」


 「良いってことよ」


 結局、最初から最後までトーゼツの質問の意図が分からなかった二人は『一体、なんだったんだろう?』と首を傾げるばかりであった。

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