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再会 6

 一体、目の前にで女神ゼンルジシスを自称するこの女の隠していることは何なのか。それを探るためにアナーヒターはさらに追度、質問を重ねていく。


 「だとしてもなぜそのような提案をしたの?ゼンルジシスはわざわざ人間社会から離れて生活しているほどに人との関わりを避ける女神。この国の歴史でも登場してくることはなかなか無い。そんな貴方が自分からそんな提案をする?」


 そのように言われて、弁明しようとするが少し口をこもらせるゼンルジシス。やはり何か言いたくないことでも抱えているのだろうか?


 「…そりゃ…うーん、えっとね…………」


 「なんだ、やっぱり隠している事でもあるみたいね。早く喋った方がお互いのためじゃない?」


 そういわれて、観念したのか。「はぁー」と軽くため息をするゼンルジシス。


 「分かったよ、全部話そうとなるとだいぶ長くなっちゃうけど、仕方ないか。君たちも分かっているかもしれないけどあと二日、三日もしないうちにエルドノーンを超えて支配の厄災がこちらに侵攻してくるでしょ?そして一ヶ月以内にはここを通過してそのまま首都へと進むと予測されている。本来であればこの厄災は私たち神々が対処する案件じゃない。人類が片付けるべき問題だと私は思っている。だからいつも通り隠れてひっそりと生活してようと思ってた。でもこの辺りは私の管轄……と言うよりも神域と言った方が分かりやすいよね。ともかくその場所を通過すると言うもんだから、それは見過ごせないと思って動こうと思ってた。そこに冒険者である君たちに遭遇したから、君たちを利用して、なおかつゼンルジシスとバレずに冒険者本部に潜り込み、優秀な冒険者に厄災討伐を任せられないか?と思ったの。それでトーゼツにより接近するために釣りに行かないか?と誘った、これが全てよ」


 ……その口調に表情、目線……心理学者ではないし、完璧な判断は出来ない。しかし、なんとなくではあるものの嘘は言っていないということを三人は感じるのであった。


 「……まぁ、分かったよ」


 アナーヒターは完全に警戒心を解き、トーゼツも少し落ち着き、エルドに関しては何も起こらなかったことに「ふぅー!」と思い出したかのように深く呼吸をし始める。


 「全部アナタの口から聞いた所だから本当かどうかは分からないけど、信じるとするよ」


 そのアナーヒターの言葉に「信じてくれるのか、ありがとう」と感謝の気持ちをハッキリ述べるゼンルジシスであった。


 「しかし、俺の隣を一緒に歩いていたのが女神ゼンルジシス様だったなんてな。驚きでしかないな」


 「きっと人生で一度あるかないかの奇跡よ。とても光栄なことだと思うことね」


 相変わらず彼女は笑顔であった。


 トーゼツは神と会うのはこれが初めてではない。しかし、どの神も一癖ある者たちであった。人を見下す者、岩のように何も反応しない者、人を所有物と認識している者……。


 しかし、どうやら彼女は違う。


 人と対等とあろうとする、良い神のようだ。

 

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