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神都 13

 アナトはまさに最強の冒険者。生きた英雄。


 自分があんなに一人じゃあ手足も出なかった厄債の討伐を見事、単独で達成させた者。それは武の天才という言葉では収まり切れない存在。


 まさに人間を超えた者……異常なナニカ。


 次の任務が一緒だったため、近いうちに会うのは確定していたがまだ二日、三日の話だと思っていた。それに今回はさすがに自分からアナトへ挨拶しにいかないといけないだろうと考えていた。


 それは冒険者として先輩だから、というのもある。しかし、それよりも自分が心から憧れ、尊敬している相手だからこその考えであった。


 だが、なんとアナトの方からこうして来てくれたのだ。


 その事実がよりミトラを緊張させ、どんどん表情が強張り始める。それを見て「はははッ!」と笑いだすアナト。


 「何を緊張しているのか知らないけど、とりあえず今日は軽い挨拶と顔合わせに来ただけだし、少し任務について聞きたいことがあったから来ただけさ。そう固くならないで」


 そのように本人に言われたところですぐに緊張がほぐれるわけではない。


 「まぁ…そうですね……とりあえずは…初めまして?」


 何を喋れば良いのか、途端に分からなくなってしまい、変な感じに挨拶をするミトラであった。


 「まぁ、話していればその固まった心と体はほぐれるか。さて、すぐに仕事の話をした所だけど少し気になることがあってね。その質問を先に良いかな?」


 ミトラはその質問が何なのか、ある程度、察してしまう。


 それは刃の厄災討伐に関連するものだろう。


 あれがミトラにとって最も大きい実績であり、きっと歴史の中で永遠に残る名になるほどの出来事だ。そして、彼女の強さがどれほどのものなのかを証明するものにもなる。


 あれは本当は単独ではない。しかし、昨日、調和神アフラが言っていたように討伐に一役買ったというのは事実。


 であれば、アナトが知りたい事となると厄災討伐関連のものになると簡単に予測出来る。


 「ある程度、アフラから聞いているけどアナタの単独撃破ではないのよね?だったら手助けをした人が誰だったのか、少し気になっててね」


 「ああ、それは術聖アナーヒターとトーゼツ・サンキライという冒険者なのですが……」


 その時、アナトの表情に少し変化が現れる。


 それがどのような感情から出てくる表情なのか。ミトラには分からなかった。


 いいや、そもそも一つの感情で構成されたものなのだろうか?


 驚きもあれば、嬉しさも混じっていて……そして懐かしさがそこにはあるような…………?


 というか、名前を聞いてこの反応。もしかして—


 「もしかしてアナトさんはあの二人を知っているのですか?」


 アナーヒターの事は知っていてもおかしくはない。何せ現在は行方不明となっているがその前まではこのギルド連合本部に所属していた術聖だ。


 ならば会っていてもおかしい話ではない。


 しかし、トーゼツの事も知っているとなると……。

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