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神都 11

 次の日の朝。具体的には十時頃だろうか。


 まだ疲れが完全に抜けきっていないうえに、久しぶりの自分のベッド。ということでまだミトラは深い眠りについており、まだ目覚めも昼近くになるだろう。


 邪魔が入ることがなければ……。


 コンコンッ!と軽いノックが入る。


 「すいませーん、いますか〜!」


 一つの声が響く。


 寝ているミトラの瞼がその声で反応し、ピクピクと動く。が意識はまだ戻らず、夢の中へと再び溶けようとしていた。


 「部屋に戻ってるって聞いてるんですけどー!もしもし〜!!」


 再びコンコンッ!とノックされる。しかも最初のよりも大きめのノックだ。


 それにより、ようやく意識が完全に夢の中から抜け出され、この現実世界へと戻ってくる。しかし、体はまだうまく動かない。その朦朧とした中でミトラは「はい、もうすこ…し、待ってて」と言う。


 その声を聞いて、まだコイツ、寝ていたなと悟ったそのドアの先にいる者は「下の受付で待っておくから、あとでね!」と言ってコツコツと立ち去る足音が響いてくる。


 一分ほどベッドでうずくまりながらも、このままじゃあまた寝てしまいそうだな。となってのそのそと動き始める。


 顔を洗い、身だしなみを整えている最中、「誰なんだろう、聞いたことのない女の声であったな」と自分を尋ねてきた者のことを考えるも、思い当たることはなかった。


 約十分という女性にしては異常なほどの速い身支度を済ませて彼女は一階へと向かう。


何も予定のなかったはずの日の来客。一体、何者で、何の用事なのか。もしも大したことなくすぐに終わるようなものであれば、二度寝しても良いなぁ、なんて思って階段を下りていると、もう一階の受付及び待機室へと到着していた。


 待機室にいる者たちは昨日見た時よりも少なかった。やはり昼食の時間には早いし、大抵の冒険者は何かしらの依頼を受けているのだろう。


 これはほかのギルドと大きく異なる点かもしれない。


 多くの地方ギルドでは入ったばかりの新人や実績のない冒険者パーティの多くが待機所で依頼が来るのを待っている事が多いが、本部にいる冒険者は全員が上級に熟練、天才と呼ばれるような冒険者が集まっている。そのため他のギルドに呼ばれたりすることも多く、依頼が回ってこなくて収入がない。なんてことはそうそうある話ではない。


 それでも待機室にいる冒険者はミトラのように休みであったり、しばらく働かなくても問題ないほど稼いだ奴ぐらいだろう。


 さて、そんな人が少ない時間帯であるからこそミトラは自分に用がある人物が何処にいるのか。すぐに気づくことが出来た。


 (あれは知らない顔だな。多分、あの人が私を呼んでいたのかな?)


 よく出入りしているこのギルドで見かけない女性が待機室の椅子に座り、テーブルをはさんで誰かと話している。その相手はちょうどその女性の影になっていて見えない。


 ミトラはその女性へ近づいていき、そして―


 「うわッ!」


 思わず声が出てしまう。というのも、その女性の話し相手が自分の苦手なポットバックだったからだ。

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