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神都 9

 この前まで厄災討伐で別の冒険者ギルドに居たために、この街のギルドもとい、冒険者ギルド連合本部がとても資金面から見ても、人材的な面で見ても力があるんだなぁ……と思い知らされる。と同時にこの慣れた空気に触れることでようやく自分の居場所へ帰って来れたと感じるのであった。


 知り合いも何人かいるようだが、今はもうとにかく自分の部屋で休みたい。


 ミトラはその待機スペースに受付を過ぎ去り、廊下を出るとそこからすぐ左手にある階段を登り始める。


 このギルドの三階にある個室が彼女の部屋である。


 ミトラが冒険者ギルドという仕事場にある部屋暮らしというのは、家を買う金がないとか、この辺りの物件価格が高すぎるとか、そんな理由ではない。


 剣聖であり、どんな事態でも対応できるほどの実力を持っているミトラは冒険者ギルドに住む事を義務付けされており、実際、何度か緊急任務に行かされることもあった。


 (私の休みの間に何か起きなければ良いんだけどな)


 一年ほどまえなんか、ぐっすり寝ていた夜中の三時に叩き起こされたこともあった。


 その時はドンドン!と自分の部屋のドアが破られるんじゃないかと思わされるほどの強いノックで、彼女は驚きのあまりベッドから転がり落ちて、強く頭を打ってしまった。


 ちなみにノックした奴はポットバックであった。


 「まじ許せねぇ」


 あの時の記憶を思い出してしまい、彼女自身知らぬ間にポツリ、と呟く。


 そうして三階の廊下へ出て、自分の部屋のドアを開ける。


 そこはとても簡素な部屋。


 彼女自身、もっと色んな家具とか服を買いたいと思っているが色んな任務で世界を飛び回っているため、そんな暇はなく、休みの日は自堕落しているので、結果、この部屋でこれ以上物が増えることはないだろう。


 そうして倒れるようにベッドへと入り込み、今日を終わらせるミトラであった。



 「—以上が研究結果の報告となります」


 それは調和神アフラの居るあの上下が黒く、右と左は無限に広がる空の部屋。


 一柱の前には三人の魔術師が研究結果の報告をしていた。


 その結果を聞いてアフラは「はぁー」とため息をつく。


 「やはり厄災が放つ狂気の除染は無理なのでしょうか?」


 テルノドを主軸に行われている研究とは、厄災が放つ狂気に関するものであった。


 厄災と聞くとその異常な強さが注目されがちなのだが、一番危険なのはそれらが放つ狂気である。


 心を安定させることが出来るほどに強い心の持ち主しか狂気に抵抗することしか出来ない。だからこれまで厄災討伐に向かった者は単独が多かった。パーティで立ち向かう冒険者も居たが、それも三人、四人と言った少数パーティ。


 強制的に単独もしくは少数で挑まなければならない状況になるのがあの厄災討伐を困難にさせている要因の一つなのだ。もしもあの厄災を軍勢で挑むことが出来れば……。

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