表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/17

【013】トワイライト、実はやらかしていた!

「」は台詞。””は思い・心の中の台詞。『』は名称・擬音・その他

トシゾウ達は馬車交易の旅の途中レイアード領内を通る。そこは信州に似た景色の奇麗な高原。そこでトワイライトは10年前にスイッチが入りアル事をやらかしてしまった。その過去が明かされる。

トシゾウの感想は「ああーあ、結構やりたい放題やってるじゃん!」

 夜が明けて日が昇り少し遅れて皆が目覚めて朝食を取る。

昨夜はお守りのお陰で誰一人魂が抜ける被害者は出なかった。だがそれぞれ妙な夢を見た。

マヤもドラゴンゾンビと戦う未来を予知夢で見たが、綺麗サッパリ覚えていない。まあ、事が強烈なだけに知らない方が良いのかも知れない。

身支度をし終えて、トシゾウ、トワイライト、そらちゃん、亜里砂は凍結保存『アイスコフィン』を行った部屋を訪れた。

ポルトス、Temper、マヤは四人が行くの何となく付いて行き、美しい娘の氷漬けを目にして「え?」と頭上に『?』を生やした。

一応目は覚ましたが、頭の回転が十分でない朝に宿屋の別の部屋で娘の氷漬けを見付けたんだ『?』が当然出る。

トシゾウが昨夜此所でこの娘を『アイスコフィン』で氷漬けした経緯とその前後の事を簡単に説明してマヤ、ポルトス、Temperも事情を理解した。

 マヤはこの『アイスコフィン』の少女を見てから目眩がして気分が悪くなった。顔色も悪い。

マヤは昨晩もよく寝たし、原因が分からないのでマヤが元居た部屋に戻り少し休む事にした。

マヤが部屋から出て行って暫くしてからトワイライトが片膝をついて

「おお、神よ!」と態とらしく感嘆する。”何度見ても美しい”と思ったのだろう。

亜里砂が渋い顔して突っ込もうとした寸前で、トシゾウも片膝をついて「おお、神よ!」と言いながら真似をする顔は半笑い。少しふざけている。

亜里砂は「え?」と意表を突かれた顔をする。”トシさんあんたもするの?”

それに合わせてポルトスもほぼ無表情に近い顔でトシゾウに倣い「おお、神よ!」と声を合わせる。

亜里砂は更に「ええっえー?」と困惑し「ブルータスお前もか?」と自分の目を疑った。

Temperはクスクス笑っていたが、自分もコントに参加する気は無かった。見て笑っている方が楽しい。

Temperは笑っているが、それほど面白くもない三文コントを終わらせたのは宿屋の女将だった。

「朝から、バカやってるねぇ」と女将が”楽しそうだね”と呆れながらやって来た。

「バカやっている暇有ったら知恵を貸しておくれよ。実はねココは宿屋なんだよ」と真剣に順序立てて説明を始めようとした。

「知っているよ」とポルトスは口を滑らした。が、女将に睨まれて『シュン』と大人しくなった。

気を取り直して女将さんが「宿屋はね食事を提供するか、客を泊めるのが仕事。氷漬けの少女を置いておく・・・」と語尾が言い淀んだ処にトシゾウが

「場所じゃ無いな。」とトシゾウが言葉を継いで考えているせいか無意識に右手で顎を摘む。

「それに、氷漬けの少女を置いて居るとなると変な噂が立ち客が減るわね。」と亜里砂が捕捉をする。

ポルトスが「元から客いねぇし、いいんじゃねぇ?」と言いかけて、また女将さんに睨まれてシュンと小さくなった。

トシゾウは思案している時の顔付きで「なるほど、女将としてはこの少女を何処かに移した方が有難いわなぁ。」と女将の方を見る。

女将は無言で頷く。

「女将、この少女を預かってくれそうな当ては有るのか?」

「未だ此の事は他には話して無いよ。そもそもこの村にはこの宿屋にパン屋、八百屋と教会しかないんだよ」

「パン屋に預けると・・・」とトシゾウは考えながら喋っていると、

亜里砂が「カーネル・サンダースだね」とネガティブな答え。

「八百屋だと・・」

「不釣り合い極まりなし、気味悪がられて捨てられるね。」更にネガティブ。

「って事は残るのは教会か?」

「しかないんじゃない?、寄付金積んで聖母様の横にでもヒッソリ置かして貰えば?」と亜里砂もそれしか無いって考え。

「ではその線で事を運ぼう。女将、この娘の父親の残した金が有っただろう。何処だ?」とトシゾウは問う。

「それだよ。」と女将は机の上に置いてある金袋とその前に置いてある硬貨達を指さした。

トシゾウは金袋の乗せてある小さめの机を部屋の真ん中に持ってきて

「後腐れの無い様にココで精算しておこう。トワイライト残金を確認してくれ。」

言われてトワイライトは金袋に入って居る硬貨と外に出ている硬貨の枚数を読み上げる。

「金貨67枚と銀貨32枚だ。結構あるな、一般人の持てる金額じゃない。ドコゾの姫様かも知れないが、今となっては調べようもない。」

とトワイライトは感想を述べながら硬貨を机に並べた。

トシゾウは「順序立てて経費を精算してしまおう。先ず女将この娘の宿泊代金は?」と女将の方を向いて質問する。

「もう貰ったよ。袋から硬貨が出ていただろ、毎日料金はソコから引いて於いた。」と女将は宿泊料やその他はもう引いてあると告げた。

「では、次に亜里砂だな。ミスリルチョークなど使った物の経費は幾ら?」

「あのチョークね金貨2枚と銀貨5枚だったかしら・・。」と亜里砂はミスリルチョークの値段を言う。

「では、術の施行とで金貨7枚と銀貨5枚を受け取って。」

とトシゾウは私見、私情を挟まない様に心がけて、金額の見積もりに誤差はあるが公平を意識して指示をしていく。

亜里砂が金貨7枚と銀貨5枚を受け取った。

「次に女将だが、娘の父親に成り代わり術の施行を依頼してこの娘の命を救った。父親なら金貨5枚ぐらいは呉れるだろう。」

とトシゾウはニコッと女将に微笑み金貨を受け取る様に勧めた。

「私はこの娘の事をあなた達に『見て欲しい』と頼んだだけだよ。それに親子揃ってこの宿で死んだとなると目覚めが悪いじゃないか、それであなた達に頼んだだけだよ。」

「女将が『見てくれ』と頼まなければこの娘は確実に死んでいた。あなたは頼んだ、そして娘は生きている。父親の頼み、仕事はしたんだ。受け取ってくれないと亜里砂や私も貰えなくなる。頼む。」

とトシゾウは女将に理屈で畳み掛け、反論が出ないうちに話しを次に移す。

「次に、トワイライトだが良い衣装を作ってくれた。あの姿なら教会の片隅に置いて貰っても見劣りしないだろう。材料費込みで金貨5枚で足りるか?」

トシゾウの言う内容は尤もだが、金額の見積もりはいい加減でザルだな。

トワイライトは笑顔半分と苦笑い半分を混ぜた様な笑顔で

”生地の値段なんて覚えている訳無いだろう。それに半分は暇みて加工しだヤツだし、元々道楽でやった事なので使った費用を補填されるとは思っていない”と思いながらも

「金貨1枚でいいかな。原価計算できんよ(笑)」

とトワイライトは笑って誤魔化す。だがトシゾウは容赦なく

「あれだけの仕立てで金貨一枚な訳無いだろう。生地は良いし、きつい処無く体にピッタリ合うオーダーメイドだった。着た感じ心がピシッとする良い職人の仕事だったよ。」

と実際に着てみたトシゾウの感想はトワイライトの縫製・仕立師としての腕の良さを評価している。そして

「それに、仮に教会に預かって貰うとしてあの服装だと違和感ないって言うか、まあ映えるだろう。グッジョブって言って良いね。なので金貨10枚と言いたいところだが、5枚で我慢しろ」

トワイライトは縫製の腕を評価してくれたのが嬉しくて笑顔で「5枚でも多いぐらいだ」と軽く了承する。

トワイライトの信条として『お金に好かれようと思うなら、如何に多く集めようと苦心するのではなく、お金にとって使われ甲斐がある使い方』を心がけている。

”この美しい晴姿を見る事が出来たんだ、生地や材料、お金も満足だろう”と勝手な理屈で納得している。商人経験者の哲学なのだろうか?。

「で、俺も低レベルとはいえ魔術の『幽体離脱・憑依』を使ったから金貨1枚貰おう。それでどうだ?」とトシゾウは一応の精算案を示した。

女将、トワイライト、亜里砂と昨夜に『アイスコフィン』に関わった者達は娘の持っている金貨が欲しい者は居無いので反論無くトシゾウのザルな言い値のまま決まった。

それぞれが精算分を差し引いて、金袋に残っている残額が金貨52枚と銀貨27枚だとトワイライトが勘定して報告する。

先ずトシゾウは「すまんが、長く立っていると足が痛くなってくるんで座らせて貰うよ。」と言って椅子を引き寄せて座る。

そして一同で残額をどう分散するか話し合った。

取り敢えず、資金を分散させる事にした。投資で言う『分散投資』って手法である。

商人の経験のあるトワイライトが相場格言で「卵は一つのバスケットに盛るな」って言葉がある事を言った。資金を分散させておけば何かトラブルがあっても最低どれか一つ娘に資金が渡る筈だ。何ヶ口に分散させる様に提案し了承された。


結果残額から、教会へ金貨20枚を寄付する。かなり高額の寄付になるので神父も快く快諾してくれるだろう。神父にはこの娘の側にいるのだから、好意的であって貰う為である。

そして金貨6枚と銀貨9枚を教会と宿屋がそれぞれ預かり、娘が目を覚ましたら当面の生活資金として渡す。そしてお城のトワイライトの知り合いで信用の措ける人に金貨20枚と銀貨9枚を預けて、受け取りに行く様に書いた手紙を渡す。

お金を各袋に分けてその一つを「目覚ましたら渡してね」と宿屋の女将に渡した。

トシゾウ達は娘の数少ない持ち物と氷の棺桶を皆で抱えて宿屋から教会に運んだ。

宿屋を出て村の中心の広場に行くと教会があり、教会からはドワーフの村人がゾロゾロと何人も出てきた。

朝の礼拝が終わったのだろう、教会から出たドワーフ達はバラバラの方向に帰って行く。

教会の正面の戸を開けて中に入ると神父さんが出てきた。

トシゾウは神父さんに経緯を説明しすると、神父は快く承諾し

「神の像が乗ってない台座が有るのでソコに乗せると良い」と言ってくれた。

この村は入植し出してまだ9年なので教会の神の像も揃っていない。その空の台座に氷の棺を乗せてから、亜里砂が氷の形状を台座に合わす様に修正魔法を掛け、氷の棺は台座に形を合わせて様になった。

設置場所にしても普段は暗がりで目立たない位置だが、朝の礼拝時には朝日が当たりキラキラしてドワーフの村人を見守る女神の様に見えて神々し写った。

ドワーフの神父は「この娘の事は気になっていた」と娘が目覚めた後に渡す金袋は預かってくれたが、「寄付を貰わなくてもこの娘が目覚めるまで面倒は見る」と神父の矜持だろう生真面目に寄付金を受け取る事を拒んだが、『寄付は信仰行為だ』と理屈を捏ねて渋々受け取って貰った。

神父も寄付が無くてもそれ位の面倒を見る事は聖職者として当然と自分の中での思いがあったに違いない。

あと、トワイライトから娘が目覚めたら『レグルスのお城で信用の措ける人が残金を預かっているから取りに行く様に』と書かれた手紙を神父に預けて、教会を後にした。

宿屋に戻るとマヤの体調は良くなっていた。

その後、宿屋の女将に見送られて馬車の車列が村を発つ。昨日酒場に居たドワーフ二人がトシゾウ達を認識し右手を上に軽く手を振りニッコリ笑って見送った。

”また来いよ”と言いそうな笑顔だった。

村を出て左右を山肌に挟まれた谷間の様な山道を進む。十数分で十字路があり、十字路の横に標識が立てられてあった。

来た方向には『サブラ』と書いてあり、右折する道、左折する道共に村の名前が2個3個書いてあったのでトシゾウは

”山岳地帯の割に村がそこそこ点在しているんだなぁ”と感心した。

トシゾウは未だ知らないが、ドワーフは魔石や鉱石が採れる洞窟や廃ダンジョンを鉱山に開拓運営し、ソコから取れる鉱物を精製したり金属を加工したり製品化する等の得意分野で生計を立てている。

山岳地等の食料等の生産には向かない土地に住んでいるが、領主側の輸送隊が週に1度2度回って来て食料や酒、日用品と、産出した鉱石・宝石、精錬した金属、鍛冶で造った品々と交換する。

そういった物流が一応機能していてドワーフ達は自分の得意な事・好きな仕事をして機嫌良く暮らして行けている。

率直に言ってこの地域は『人間が余り好まない地形』なのだが、物流さえ機能していればドワーフにとって都合の良い地域なのである。

さっきの標識の有った十字路から馬車で十分位行くと『ココから先ドワーフ自治区』の看板をトシゾウは見た。”へぇー、そうだったんだ・・”と理解した。

更に山道を小一時間掛けて進む。心持ち登り道に成り峠に差し掛かり、そして峠の頂上に到達する。

頂上付近は無人の休憩所が有り、有事には狼煙を上げて情報の遣り取りをする為の狼煙の設備を備えている。

狼煙の設備といっても今は平和な為領民が草花を植えていて花壇に成っている。小さい可愛い花がポツポツと咲いていて峠を抜けて行く風にたなびき揺れている。

 馬車の列が休憩所に近づいて通り過ぎると大きくユッタリ右にカーブしていて、曲がりきると進行方向左側の視界が開けてレイアード領の高原地域が眼前に広がり迫力のある景色が見る者を圧倒する。

道は山岳地帯を抜けて盆地の内側の斜面に出たのだ。

トシゾウも「おおお」と風景の急変に思わず言葉が漏れた。(EXP+50)

トシゾウ以外にもポルトス、マヤ、亜里砂、Temper、皆高い山から見下ろす景色に目を奪われる。

景色の基調はヨーロッパアルプスの高原、傾斜も緩くなだらかな斜面は草原でポツポツと羊飼いが羊の群れを連れている。更に下に下ると森もある。

高原風景の斜面を下った遙か先に緑の絨毯上にラピスラズリの宝石を置いた様な紺碧色の湖がありコレも美しい。

その宝石の様な湖の右湖畔に石造りの優雅な城が佇んでおり城を囲む様に広がる街並みは屋根を少し暗いオレンジ、壁は明るいベージュ色で基調を統一されている。


進行方向右側は山の稜線側で大きな石や岩肌がゴツゴツしていて険しい斜面を成している。

盆地の外壁を成している山々の内側の傾斜の緩い処を選んで道は通っており、ぐるーっと回る様に道は続き徐々に下る下り道が続く。

盆地の真ん中に紺碧の綺麗な湖がありその畔にお城が建っていてそのお城の周囲が町になっている。続く道はそのお城の有る町『レグルス』に道は続いている。

馬車の車列は1時間半掛かって下って行きその町に到着した。時刻は11時半。

トシゾウ達は酒場で昼飯を食べて腹ごしらえをする事にした。その間にトワイライトは

「用事と『氷漬けの娘』の所持金を預けに行ってくる」と告げて別行動を開始した。

一応トシゾウは「13時迄に帰ってこれるよな!」と声を掛けた。

「ああ」とトワイライトは手を振りながら言い残して走って酒場から出ていった。

トワイライトは馬車から書類等が入った鞄を取り出し雑踏の中に消えていった。

 トシゾウはこの町を見てオガミ領の州都『マスリ』よりも住民がかなり多いと感じた。

後で理解するのだが、オガミ領は辺境の僻地だから敬遠されがちなので仕方ないのである。

ここ『レグルス』は貴族の居城がある町としては普通より少し多めな人口なのである。そこそこ賑やかな町って印象である。

 20分の後お城の裏門にトワイライトは現れた。

裏口にも衛兵は居て、トワイライトが来るのを認識して敬礼をする。トワイライトも敬礼で返礼して顔パスで通過する。

裏門から城内に入り続く通路を早足で歩いている途中に横から二十代位の女性の仕官がサッっと横に着き歩き出した。

女性の姿はスーツに近い制服のズボン姿で髪は肩よりやや長め。歩きながらトワイライトに話し掛けて、トワイライトは歩みを止めて少しの間話しをしてから手に持っていた鞄と金袋を女性仕官に渡した。

そして二、三言葉を掛けてから”じゃあ”って感じに手を挙げて女性仕官を残して歩き出す。

トワイライトは『氷漬けの少女』に渡す金をこの町の衛兵隊長に預かって貰う様に頼んだ。

女性仕官はトワイライトに敬礼をしてから反対方向に歩き去った。

そして廊下を更に少し歩くとトワイライトの左側の壁が途切れてその廊下から外側の中庭・庭園に出られる様になた。

トワイライトは廊下から庭園に降りて真ん中方向に伸びる小道を辿り、庭園の真ん中にある|東屋≪あずまや≫(休憩所)に近づいた。

 |東屋≪あずまや≫の周囲には警備の近衛騎士が数名居るのだが、優秀な騎士達で護衛対象の気分を害さない様に木の陰等の目立たない場所に居て警護している。

トワイライトは気配を消さずに進み、東屋に顔を出した。

「お待たせしました」とトワイライトは挨拶をする。

待っていたのは、貴族の服装で親しそうな視線を送る若い夫婦。年齢は両方三十代前半に見える。女性の方が女性らしい高めの声で

「ライトちゃん。久しぶり!元気してた?」

「姉ちゃんも元気そうだね。義兄さんも恙なく。」とにこやかに話すトワイライト。

義兄さんと呼ばれた男の方も嬉しそうに

「ふふん。紅茶を楽しんでいたから大丈夫だ。この庭で飲むと美味しい。・・・しかしこの城は良いなあぁ。中庭はお洒落で、空気は美味しい周囲の景色は美しい。水も美味い。」

と褒めちぎる義兄は相当この城を気に入っている様だ。そしてべた褒めな一端は自分の居城ではない事も理由の一つ。

『隣の芝生は青く見える』(自分の持っていない物の方が良い様に見える)効果なのだろう。

「義兄さんは根っからの芸術家だから、この城の周辺の良さが十二分に楽しめられるのでしょうね」

とトワイライトは好意的なニコやかな表情で義兄の長所を褒め暖かい視線を送る。

義兄の方も見るからに自分に懐いていると感じる義理の弟を可愛く思っている。

「そうだな。朝は霧を纏う湖畔を眺めて食べるサンドイッチが美味しい。夕方は山に沈む夕日と夕焼け空をバックに少し暗くなって灯りのポツポツ灯る城が映えて相性抜群、最高の絵を眺めて楽しめる。流石は元伯爵の居城」

と此の城とその周辺をこよなく愛している口ぶり。そこに姉ちゃんが口を挟む。

「この人ったら、最低必要限の執務や決済を済ましたら、残務を私に丸投げして先月からココで絵を描いたり、景色眺めて楽器を弾いたり、自分一人だけ楽しんでいるのよ!。可愛い妻をほっといて・・」

と苦情の内容を言っているのだがニコニコしいるので半分のろけ。夫の事を良く理解していてそういった処嫌いじゃないので”しゃーないなぁ”と許しているってところだろう。

 一月前に義兄のレイアード子爵は自分の本城で二ヶ月分の政務を一ヶ月で何とかこなし、妻に後の細かい事その他は押しつけてこの城に逃げる様にやってきた。

妻の方は政務の後処理や仕分けの後に役人への指示、帳簿の確認等の処理をキッチリ終わらせて4日ほど前に到着した。

事実上レイアード領の治世を担っているのはこの子爵夫人で政治経済に関して一流の腕前である。

本人も貴族の夫人として屋敷に収まってボーッと・・・いや優雅に生きる事は性に合わない。バリバリ仕事をこなしていくタイプで人使いも上手く、現代の日本で言えば『優秀なキャリアウーマン』と呼ばれる人達である。

こういった人達は現代日本ではまだ活躍の場は少ないなりにも有るが、ここ異世界ではほぼ出番がなく能力とエネルギーを持て余し夫とぶつかってトラブルも増える事も有るだろう。

だが、この夫婦はお互いの得意を認識して頼り上手くやって行っている。

 夫の子爵閣下は政治や行政などには興味もなく不得手で出来れば関わりたくない人。

子爵閣下の興味や費やす時間は絵画を書いたり絵画や美術品の目利き、音楽や楽器と食事やファッション等の文化・芸術方面が得意な人。

一方諸経費の計算、税収入等の銭勘定や行政に関わる事は苦手な上に避けている。

軍事・防衛・安全保障に関しては以ての外、鳥肌を立てて逃げてしまう程の嫌い様で、筋金入りの文化人である。

その仲の良い夫婦が久しぶりに弟の顔を見る為に中庭でユッタリ紅茶を楽しみながら待ってて居てくれたのだ。

 義兄と姉がわざわざ顔を見るために待ってて居てくれた事が嬉しくてトワイライトはにこやかな笑顔のまま丁寧にお辞儀をした。

「義兄さん。わざわざ出迎えてくれるなんて・・・有り難う。」とトワイライトは礼を言いながら好意・親しさの現れだと感じていた。

「なあに、可愛い義弟が顔を出すんだ。近くにいるんだから会いに来て当然だろう。で、何だっけ?『王立アカデミー』の推薦状だったか?」

と子爵閣下は時間がタップリあり好きな事をやってストレスがないので気前が良く、自分でトシゾウ、マヤ、ポルトスの推薦状を書いて持って来てくれた。

トワイライトは一応恭しく推薦状を受け取り丁寧に礼を言った。

「有り難う御座います 義兄上」

「なに、これ位お安い御用だ。それより丁度昼だサンドイッチもある食べて行くが良い。」

と脇に置いてある小さな机の上に大きめのお皿がありサンドイッチが一杯盛ってある。

トワイライトもサンドイッチは好きなので

「ではお言葉に甘えて頂きます。」と空いている椅子に座ってサンドイッチをつまみだす。

「あ、コレ義兄さんの作ったサンドですね。」とトワイライトの表情が驚きの混じった笑顔に変わる。

「お!判るか?」

「他の人が作ったのと全然味が違います。料理人より上手い。超美味いです。」

「そうか。そうか。ふふん」と作った甲斐があると得意げな義兄のクリストフ。

そのクリストフ・レイアード子爵は何かを思い出した顔をしてにこやかに喋る

「そういえば、10年前ゲシタム伯爵を撃破した日にもこのサンド食べて朝出撃して行ったよな。」

「そうでしたっけ?」トワイライトはとぼけていない。真剣に覚えていないのだ。

「ああ。我が家の命運を担って行ってくれるんだ。『勝ってくれよ』と祈念しながら作った事を覚えている。」

「そうですか・・多分・・、その時は戦の事で頭が一杯で気付く余裕が無かったと思います」

「ああ、そうだな大変だったなぁー」と二人ともシミジミしている。

横で姉が「じゃあ紅茶入れるわね。」と紅茶を煎れ出す。

それを見てトワイライトは思い出した様に持っていた袋を姉に差し出し

「あ、忘れてた。これ『ミコライウ』の紅茶。エルフが造った名産の紅茶。」

「え?あの超美味しいやつ?」と姉も良い紅茶が手に入ったので嬉しそう。

姉は貰った袋の中を覗き込み「うわ。こんなに一杯!」と御機嫌度が増す。

煎れて貰った紅茶を飲みながらサンドイッチを頂き、トワイライトは”何と優雅な昼食。有難い。”と思う。

トワイライトが美味しそうにサンドイッチを食べている様を見ながら、義兄のレイアード子爵はユッタリと紅茶を飲みながら話しかける。

「少しは城に居る(泊まる)のか?」

「いえ、相変わらずの旅ガラスで、この後直ぐに発ちます。」

「折角良い城が有るのに城主が旅ガラスで滅多に居ないとは勿体ない。」と少し皮肉を言う義兄。

「まあ、その分義兄さんが活用して呉れているので城も寂しくは思っていないでしょう。」とトワイライトも笑いながら言う。

笑顔でおどけながら義兄も「気兼ねなく使わして貰っているよ」と笑う。

「此の城は義兄上の持ち物と思って使って下さい。遠慮は無用です。」

とトワイライトはこの城が良い城である事は判っているが今は住む積もりはない様だ。仲間と旅して、冒険・交易をする方が楽しいのである。

そのトワイライトの義兄である『クリストフ・レイアード子爵』がこよなく愛する此の城『レグルス城』は城の北面に大きな湖があり、南は城下町『レグルスの町』が広がっていている。

町から見るとお城のバックに湖がありその向こうに湖畔から向こうに豊かな森、更に奥に盆地を成している外郭の山々が連なっていて凄く美しい風景なのである。

湖が無ければ日本の信州の北アルプス付近に似た風景が在ったかも知れないとトワイライトは思っている。”また暇が出来たら山登りも良いかもしれない北アルプスに似ているし・・・”

 今、トワイライトと姉夫婦が居る城『レグルス』は元々レイアード家の城ではなかった。

レイアード子爵領の隣接貴族ゲシタム伯爵の領地と居城だった。他人の領地を奪い取ったのである。

 遡る事10年ほど前に先のレイアード子爵、御先代が亡くなった事に端を発する。

レイアードの御先代は武人であり世に武官貴族で名が知れていた。

先代レイアード卿は多くの戦に参加し亡くなる1年前に負った戦傷が徐々に悪化し半年後に寝込みそのまた半年後に息を引き取った。

レイアード家には三人の男子が居り(長男、次男、四男、三男は14才で病死している。)跡目争いの内乱『お家騒動』が勃発する。

だが、レイアード家では御先代子爵が床に伏した頃、つまり亡くなる半年前からこうなる事は皆がうすうす予感していた。”これは荒れるぞ”って。

長男『クリストフ』はレイアード家の主城『アルギエバ城』で葬儀の後始末に忙殺されている最中に弟二人が反旗を翻す。

次男の名はオーウェン、文武両道に長じ理想的な次期当主候補で家臣の中でも人気が高い。その次男が「自分こそが武家レイアードに相応しい」と主張してレイアード領第二の都市『アルテルフ』で蜂起。

四男の名はネタバレ、母の里が武官貴族のゲシタム伯爵で領地が隣接している。そのゲシタム領近くの砦で蜂起。

その内乱に乗じて四男に助力をする名目で隣接する武官貴族ゲシタム伯爵が介入してきた。

当時のレイアード子爵領よりゲシタム伯爵領は1.5倍の広さがあり、経済と軍事力の両方で上回っていた。

レイアード子爵側の動員可能兵力は城や砦の守備兵を除いて最大約四千人程に対してゲシタム伯爵が派遣した兵力は五千人。それでも補給線も確保し余裕を残した出兵数。

更にレイアード家は相続・跡目争いで兵力も三分しており長男『クリストフ』は主城『アルギエバ城』が有るとは言え忠臣騎士とその従兵で構成される近衛隊千五百で、主城の守備兵も含めると二千三百が限界。

 次男の『オーウェン』は能力や見た目の良さから家臣団の中にも推す者も多く容易に兵が集まり二千、領内の第二都市と周辺の砦の守備兵を含め二千五百の勢力。他の介在が無ければ本命だろう。

 四男の『ネタバレ』は領境の町・砦で五百の兵を集め守備兵も含めて七百とショボイ兵力だが、先代レイアード子爵の第三夫人がゲシタム伯爵の妹君で『ネタバレ』の母親。

この母親がくせ者でレイアード家の内情、兵力の配置等の情報をゲシタム伯爵に流していた。

更にこの夫人が先代レイアード卿に毒を薬と偽って盛ったとの噂がある。

このゲシタム伯爵は腕に自信の有る歴戦の武闘派貴族で戦好き。兵五千を率いて自ら可愛い甥っ子『ネタバレ』の助力に駆け付けた。戦がしたくてウズウズしていたのだ。

与し易しと見たゲシタム伯爵は息子(長男・初陣)を連れてきた。

常識で考えればレイアード子爵の長男の兵は二千三百、次男の集めた兵力二千五百、纏まって戦えば五分に戦えたかも知れないが内輪揉めで割れている。

それぞれに対して二倍以上の戦力差があり二倍の戦力差は圧倒的で余程優れた指揮官でもないかぎり覆す事は出来ないだろう。

更に評判通りなら長男の『クリストフ』は戦が超苦手で、少年期に戦争の話しを聞くだけで部屋に引き籠もってしまった過去がある。

”長男の『クリストフ』は後回しでよかろう、最後に城を囲めば降伏しそうな腰抜けと聞く。長男を先に叩いて敗残兵が次男に合流するのは面白くない。腰抜けの長男は放って置いても、自分に背いた弟(次男)に援軍を送る事は無いだろう。”

”それよりも次男の『オーウェン』を先に叩こう。利発で武芸にも秀で優秀と聞くコレに兵が集まると厄介だ。更に先代レイアード卿が戦陣に何度か連れてきていた事から無能ではない事は明らか。兵が集まる前に、各個撃破で死んで貰うにかぎる。”

段取りを間違えずに正しく対処すればゲシタム伯爵は十に一つも負ける事はないと確信している。赤子の手を捻る程と見て舐めていた。

数日の後に、次男のオーウェン軍と四男のネタバレ・ゲシタム伯連合軍がレイアード領第二の都市『アルテルフ』手前で対峙する。


四男のネタバレは武芸に自信有り自尊心の高さと猛々しさは一人前だが、戦争の経験は無く戦に関しては全くの素人。実際にネタバレ・ゲシタム連合軍を掌握して差配しているのはゲシタム伯爵親子。

ネタバレは数の多さを示し正面から堂々と次男のオーウェン軍を叩き潰そうと提案するが、ゲシタム伯の長男でさえ

「オーウェンは賢く優秀と聞く。そのうえ戦の経験も有る。倍ほども有る敵勢に野戦で正面から挑む愚か者の選択はしないだろう。勝てないと判断されれば町の城壁の中に籠城するのが当然。そうなると我々は攻城戦を強いられ我軍の被害も大きくなります。」

と答え、ゲシタム伯は息子の戦術的に正しい見方に嬉しそうに相づちを打ち

「そうだな、此方の援軍を少なく偽り1500程、総勢2000と情報を流し数を騙すのだ。町の守備兵まで使えば勝てる数字にして、守備兵の残数を減らすのだ。後で制圧が楽になる様にな」

と流石に歴戦の武官貴族、二手、三手先まで考えている。

「その上で、本体の2000を昼間に発進させてユックリと進ませる。残りの兵を夜中にコソコソ出発させて兵を隠せる場所の近くで陣を敷き、接敵後伏兵を以て包囲殲滅する。」

と作戦を立ててネタバレ・ゲシタム伯連合軍は戦場に向かった。


一方、長男の『クリストフ』はトワイライトの提案でゲシタム伯爵が領境を越えた辺りで『国王陛下に戦の仲裁』をお願いする書状をトワイライトに託し派遣した。

この時にトワイライトが一般人だと国王陛下に取り次いで貰えないので、幼くして病死した三男ダンを名乗らせて早馬を走らせ王都に派遣した。

”仲裁が上手く行けばそれに越した事はない。だがダメなら『機械化歩兵』戦術を使ってゲシタム領を盗る戦いをする。こうゆう輩は生きている限り何度でもチョッカイ出して来るからな、潰せる時に潰さないと厄介だ。”とプランは頭の中で出来ている。

 参考までに『機械化歩兵』とは大まかに言えばトラックや歩兵戦車、兵員輸送車等の車両類を装備し機動力を上昇させた歩兵の事を言う。第二次大戦から特にアメリカ軍で多く見られる様になった。日本の南方戦線で『銀輪部隊』も立派な機械化歩兵と言って良いと思う。

一部では『移動力を向上させ戦車に随伴させる』事までしなければ機械化歩兵とは言えないと言う説もある。

 この世界に未だ機械化歩兵の考え方は無く、歩兵の移動は徒歩・時速3キロが常識である。

戦いに於いて一方に機動力が優れていたなら、各個撃破やヒットアンドウェイ等戦術の幅が広がり断然有利なのである。

例えは、徒歩の敵軍で1部隊が何かの都合で本隊から遅れたとする。その部隊に本隊から援軍を送っても時間が掛かる距離であれば、機動力を活かして自軍を当てていきあっと言う間にはぐれた部隊の数倍の兵力を集めて殲滅する。敵の援軍が来る頃には機動力を活かして退散する。

簡単に相手の隙を突けるのである。

話しは戻る。

トワイライトは貴族の家族と言う肩書きで国王陛下に謁見し口頭で『紛争の仲裁』を願い出た。

言質と取る為である。

「御家の内の揉め事である。王国が関与する事ではない、当事者同士で決着を着けよ。ゲシタム伯爵もまた亡くなられたレイアード卿夫人の実の兄、親戚である。王国がどうこうせよと言ぬ。家中の事は家中で決着を着けよ」

要約すると『決着を付けてから王国に報告せよ』との内容の返書を預かってトワイライトは帰った。

トワイライトは『ゲシタム伯爵が王国の大臣達に事前に根回しをしていた』との情報を事前に入手していた。

先代レイアード子爵が寝込んだ頃に既にこうなる事をゲシタム伯爵は予想していて国王に仲裁に入られては困るので根回しをしていた様だ。

実際にゲシタム伯爵と仲の良いタベラ枢機卿の王様への助言で今回の『レイアード家の御家騒動』は王国としては傍観する事になった。

四男の『ネタバレ』とゲシタム伯爵の連合軍は次男『オーウェン』の軍を野戦で撃破し。次男『オーウェン』は戦死する。

次男オーウェンは文武両道に優れ取り分け達者な武芸、戦場での指揮も合格点、更に容姿端麗な上に人に好かれるタイプで最も後継者に推したくなるタイプの候補と言っていい。

しかしトワイライトの様に狡くイカサマ師でも、策士でもない。トワイライトは前世の記憶と経験がある上に策士でイカサマが得意。ゲシタム伯爵の謀を見抜けたカモ知れないが、オーウェンは策士的な才能は無い。

ゲシタム伯爵の策を見抜けずノコノコ野戦に出て来て討ち取られたのである。

ネタバレ・ゲシタム連合軍の次の目標は次男『オーウェン』が拠点としていた第二の都市『アルテルフ』。

主の居ない拠点は目だった抵抗もなく、オーウェンに与した者達は朝霧の消えるが如く離散して消えていた。

ネタバレ・ゲシタム連合軍は『アルテルフ』の町の降伏を受け入れ占領し体勢を整えて4日後に主城アルギエバに向けて進軍を開始する。

レイアード領の主城『アルギエバ城』に向けて幹線道を威圧するかの様に威風堂々と進んでいたが、『アルギエバ城』まで残り三分の一(行軍二日分の)手前でまさかの奇襲を受け四男の『ネタバレ』をはじめゲシタム伯爵親子共々討ち取られて死亡。大将を討たれた軍勢は壊滅、総崩れ。ゲシタム伯爵の兵と騎士は崩走中に追撃を受け多くの者が戦死。

この時指揮を執ったのが三男ダン・レイアードの名を騙ったトワイライトである。

隣接のオガミ家のシェイクスオード(トワイライトのマブダチ+勇者パーティの仲間)に

「桶狭間をやるから手伝って呉れ、兵も貸してくれ。それと馬車を150台以上貸してくれ」と援軍を頼み

シェイクスオードも「面白そうだな混ぜて貰おうか(笑)。」の返事で即駆け付けた。

250台の馬車にオガミ領自慢の食料を一杯に積んで駆け付けた。

トワイライトは「え・・・?食料は頼んでいないけど・・」と驚き顔。

シェイクスオードは「え?違うの?」とコッチも驚き顔。

トワイライト「馬車は電撃作戦に兵員輸送に使うんだけど・・。」

シェイクスオード「あっ・・そっち?ロンメルか?」とその後二人は大いに笑った。

領主親子と兵力の大半を失ったゲシタム伯爵領には、その敗報が届く前に領地の境を越えたレイアード軍の実施した電撃作戦に為す術がない。

(秘密裏にトワイライトの要請でオガミ辺境伯の軍勢が加勢している。全体指揮を執っているのはトワイライトだが先鋒の指揮はシェイクスオードに頼んだ。)

 敗軍の将兵は徒歩の者が多く、敵に見つからない様に隠れながら落ち延びていくので中々領内に帰り着けない。

一方馬車で機動歩兵化したレイアード軍は敗残兵を追い抜きゲシタム領に攻め入った。何も知らず迎撃準備が出来ていない関所はイチコロで突破される。足止めも出来ない。

ゲシタム伯爵領の『レグルス城』のみ辛うじて敗戦の報が早馬で届き混乱状態に陥っていた。他の大小三つの町は何も報せなく無警戒だった。

主要な町一つとゲシタム伯爵の居城『レグルス』と城下町は防備を固める前にレイアード軍に乱入され混乱の中で呆気なく陥落。

残り二つの町も近隣に住む亜人達(主にドワーフ)の協力もあり碌な抵抗も出来ずに陥落。

ここに親戚・隣接貴族を巻き込んだ『レイアード家のお家騒動』は終演する。

「他人の領地を盗ろうとするんだ、盗られても文句は言えんだろう。」とトワイライトはゲシタム領を占領し実効支配を開始した。

戦後長男の『クリストフ』が父の跡を継ぎレイアード子爵となる。ゲシタム伯爵領の四つの町は『御家騒動』の結末としてダン・レイアードがその後も駐留し実効支配を続ける。

そして一年半の後に王国は南から敵国の大軍勢の侵攻を受け窮地に立つ。

その時にダン・レイアードがレイアードの兵七千を率いて参戦。そして敵を壊滅させる戦功を上げて恩賞として男爵位とゲシタム伯爵領の支配を正式に許される。

後に病気を理由に、領土の管理を兄に頼み爵位を返上しようと王国に申請したが却下された。

以後ダン・レイアード男爵は病気を理由に公式の場にはほとんど姿を見せずレグルス城で長期療養中という事になっている。

クリストフ新子爵の弟、本当のダン・レイアード男爵は幼少の頃に病死して実在せず、名を騙ったトワイライトは「冒険者業と交易で遊び回りたいのに仕事が増えた」とぼやいていた。

事実上、トワイライトに旧ゲシタム伯爵領を治めるだけの家臣・スタッフは居ない。急場で傭兵も雇ったりしたがその程度で間に合う筈もない。

なので、レイアード家の官僚を借りなければ運営出来ないのは判っていた。トワイライトが選択したのが、事実上の併合。

表面上はダン・レイアード男爵領とクリストフ・レイアード領は別々として於きながら、管理・運営はクリストフ・レイアード家、つまりトワイライトの姉『パピリオ』がレイアード家の家臣・官僚を配置し統治・運営してくれている。

「ここ、レグルス周辺は景色も美しく情緒タップリだ。義兄さんの別荘として使えば義兄さんも喜ぶのでは?」とトワイライトが姉の『パピリオ』を口説きその気にさせた。

実際に義兄はレグルス周辺を気に入り大喜びで「さすがはゲシタム伯爵だ」と賞賛し一年の内の半分以上はこの城で夫婦共に優雅な時間を過ごして楽しんでいる。

トワイライトは、自領と義兄領の両方の軍事・諜報部門を担当する事にした。

ゲシタム伯爵領の占領直後から軍の体制を改革・刷新し二ヶ月で再稼働させる。

まず最初にレイアード領の義兄クリストフに反旗を翻しその後降伏していない勢力に対し掃討作戦を実施。二ヶ月で平定する。

更に旧ゲシタム領の降伏していない勢力の掃討作戦を二ヶ月掛かって平定。改革した軍組織の良い訓練にはなった。

トワイライトが陣頭指揮を執り二つの貴族領の反対勢力の掃討作戦を半年程で完了してしまうあたり指揮官としてまあまあ優秀と言える。

トワイライトに言わせると「シェイクの方が俺より上手い。それに最高峰と言える奴が居るのも知っている。確か・・転生前はオーケストラの指揮者だったとか。あいつはバケモンだ。

軍神と言って良い。」

と認めた人の良い処を絶賛している話しぶり。謙遜ではない様だ。

掃討作戦が終了し領内が落ち着いて、組織の微調整改編、人材のポストの微調整が終了し平常的に安定して回りだしたのは『レイアード家のお家騒動』から一年が経っていた。

その頃には組織的にも整いだし、トワイライトが居なくてもある程度の異変にも対応出来る体制に仕上げた。

そして漸くトワイライトも冒険に復帰出来たのである。諜報部門を充実させてトワイライトが何処にいても容易に『報連相』(報告・連絡・相談)が可能になり。旅先で定期的に指示を出している。

日本の令和の初期に流行りだした『テレワーク』を真似してみたのだ。ネット代わりの諜報部門の人には苦労を掛けてますが・・。

過去にそんな風雲急を告げた『レグルス城』にトワイライトが今日の昼頃に到着する事をレイアード子爵夫婦は知ってた。

そして優雅で静かな美しい城の中庭で、トワイライトが好物のサンドイッチと紅茶を用意して姉夫婦がのんびり待っていてくれた。

その姉『パピリオ』が笑顔で三通の手紙をトワイライトに渡す。

トワイライトは一読して手紙をパピリオ姉さんに返して

「有り難う。助かる。あと言うから名前を書き入れて欲しい」と優しい目付きでたのむ。

「OK。最初は?」と姉はペンを持って書く準備をして待つ

「1枚目はトシゾウ、2枚目はポルトス、3枚目がマヤでお願いします」

そう言われて姉は一枚ずつ書類の推薦される者の名を記入していき夫のクリストフに渡す。

クリストフは受け取った推薦状を丸めて端に封印用の茶色の蝋を垂らし大きめの指輪の先に刻み込んである凸凹を押しつけて封印する。

指輪を蝋から離すと、レイアード家の家紋が立体的に象られていた。

トワイライトは推薦状を受け取って、用事が終わったのでくつろいだ感じで紅茶とサンドイッチを食べ始めた。

世間話、経済情報などをお喋りしながら楽しそうな時間は過ぎた。

「以前にこの城で訓練していた兵士達がもっと居た様に思うが、衛兵は居るんだがそれ以外のが・・」

とクリストフは他愛もない微かな疑問を口にした。戦が嫌いなので兵士が少ないと少々心細い様だ。

「あ、それでしたら3個大隊をオガミ家に『災害支援派遣』で出しているはずです。向こうで今難民が4万人ほど出ているのその応援です。」とトワイライトは丁寧に答える。

「あ、そうだった。そうだったな。」とクリストフは妻のパピリオから最近に聞いた事を思い出した。

トワイライトはサンドイッチを食べつつ時折飲み込む為に言葉を詰まらせながら

「今回のは戦時での『援軍派遣』ではなく平時で『災害支援派遣』なので、輸送と工作・建築が中心になり良い災害対応の訓練に成ると思います。派遣手当、特別作業手当・食費等はオガミ家が出してくれるので兵士達には『良い出稼ぎに成る』と言っておきました。」

「そっか、同盟を結んでいるオガミ家に行ってるか・・。なら兵達には頑張って貰わないとな。お互い困った時は助け合ってきた相手だ。」とクリストフは理解した顔。

トワイライトも『そういって貰うと嬉し』いって顔で

「取り敢えず守備隊は丸残りで更に、四個大隊(四千人)は残してますので何かあったら即応出来ると思います。」

「じゃあ俺はココで楽しんでて良いのだな?」とクリストフは笑顔で念を押す。

「はい。お邪魔する事は無いと思います。・・・もうそろそろ行く時間です。義兄さん、サンドイッチ有り難う。美味しかった。」

と食い終わったトワイライトは立ち上がり裏口の方向を見ている。

「じゃあ行ってらっしゃい」とパピリオ姉さんは笑顔で手を振る。

義兄も「気を付けてな。無茶はするなよ」と心配なく笑顔で見送る。

トワイライトはユックリと歩き出して後ろ姿で右手を軽く上げて「分かってるって」と言って庭木の影に隠れて見えなくなった。

二十分後町の外壁沿いの駐車場。商人の馬車がボツボツと駐まっている。

トシゾウ、ポルトス、マヤ、Temper、そらちゃんがトシゾウ達の馬車が駐まっている前で集まってお喋りしていた。

其処にトワイライトが加わり、地図を広げて道順を説明する。

「ここが今居る『レグルス』で、この後出発したい。三時頃に北レイアードの『アルテルフ』って第二の都市でトイレ休憩を取ろう。そして今夜中にレイアードの主都『アルギエバ』に着きたいと思っている。」

「このレイアード領って昨日まで居たオガミ領並に広いな。それに此の地図の北東と南で微妙に色が違う」

と地図を見ながらトシゾウが感想を言う。

「ああ。北東の方がレイアードの本領で南の方が新領。元々ゲシタム伯爵領だったんだ。」

しれっとトワイライトが言いトシゾウが相づちを打つ。

「だった?」

「うん。10年ほど前に『お家騒動』があってね、結果レイアード領に併合された。」

「へーー。」とトシゾウは無関心を装う様な返事をしながら、情報を整理する。

情報その1、”トワイライトはレイアード家の関係者言ってたっけ・・”

情報その2、”トワイライトは冒険者レベルも高ければ、戦術・戦略も高そうだ。初日の『シェラ野営場での戦い』でも、先日の『モンスター大行進』でも作戦の立案や用兵は巧みだった。”

トシゾウの経験上、戊辰戦争で北関東・東北の数ある諸藩の中でも優秀といえる戦術・軍略家を見た事がない。軍略家と称する輩は何人か居たが現場や実戦で使える奴は殆ど居なかった。

トシゾウ曰く「俺の方が上手い。俺より下手な奴等が軍略家を名乗っとる」だそうだ。

それほど、戦術の巧い奴は希少価値だとトシゾウは認識している。

只、トシゾウから見ればどいつもこいつもショボく見えて当たり前なのだが、それには気付いていない。

それで、レイアード家にトワイライトがいる。レイアード家が『お家騒動』をきっかけに隣のゲシタム伯爵を攻め滅ぼし併合したってか?。

戦国時代でもない限りトワイライトほどの戦闘の上手い奴はそうそう出て来るもんじゃない。

一つの藩、いや貴族の家中で一人居たら幸運な方だ。

つまりトシゾウはレイアード家がゲシタム伯爵を滅ぼして喰らい尽くしたのなら、トワイライトお前が遣ったのに決まっている。

・・・と目の前でしらばくれていて、いけしゃーしゃーと他人事の様に喋っているトワイライトをトシゾウは面白そうな目で”何時か聞いたろう”と楽しみが増えた。

そして、トシゾウは思い出した様に。

「ところで、トワイライト用事は済んだのか?」

「ああ、推薦状を貰って来た。兄貴は年に一、二何回かアカデミーの美術・音楽の特別講師を遣る超文化人だから、アカデミー側も断れんだろう。」

と言ってトワイライトは推薦状を三通左手で持ち顔の横で振りながら笑顔で”大丈夫だ”と言っている。そして嬉しそうな笑顔のまま

「アカデミーは面白いぞ。あの敷地内には脳筋は勿論、頭のネジが数本跳んでる危ない奴、スパイ、ねたむ君、妄想君にドロドロ貴族、人外魔性も何人か居る。面白そうだろ!ワクワクして良いぞ!」とあくまでくまで他人事目線の発想のトワイライト。

此所にシェイクスオードが居れば「ソコじゃないだろう!。学園生活をエンジョイ、友達作りや派閥争い、授業風景でワクワクだろう。」と言っていた筈だ。

トシゾウは聞くだけで多少気が重くなった。”めんどくさそう”

学園・学校生活を経験しているはずのマヤは無表情で見守っている。つっこみを入れないので寂しいぐらいだ。

「取り敢えず、此所での用事は済んだのでこの後トイレ済ませて出発したいが、さっきの地図で此所が南レイアード領で、北の本領を抜けて王都に続く大街道4号線に抜けて行く予定です。」

とトワイライトは地図を指しながら大まかに説明した。

皆それぞれ「おけ〜」とか「はーい」と返事をする。

トイレを済ませて、トワイライトとトシゾウが馬車から少し離れて小高い駐車場の端、柵があり高台から街並みを見渡せる場所。

直ぐ近くに『下り階段』が有り少し降りると街の道に続いている。

向かって正面に広がる街並みの奥にお城。更に遙か向こうにある湖畔の森、美しい山脈をバックにしている綺麗な風景を二人は見ている。

「トワイライト、ここの風景は綺麗だな。」と感想を漏らすトシゾウの頭上に『Exp+20』『勇者称号レベルアップ特別スキル+1』と表示が出た。トシゾウは”何か上がったなぁ”としか気のも止めない。

トワイライトは嬉しそうに微笑みながら

「ここは確かに綺麗な場所だ高原、高い山岳が多くてね湧き水、山から流れてくる水も美味い。日本で言えば越後の魚沼とか、信州の北アルプス麓の妙高付近が気候的に近いかも。」

「水も美味いのか。」と感心するトシゾウ。

「水が美味けりゃ米も旨くなるんだがなぁ・・・。気候が日本の米の名産地に似た場所なんでね、米が作れれば飛びっ切り旨い銀シャリが作れそうなんだがなぁ・・。はぁー。米の飯が恋しいよ。」

とぼやき乍ら米のご飯が、おにぎりが超懐かしい、凄く食べたいトワイライト。

トシゾウは”この男やっぱり食いしん坊だな”と微笑みそして、頭を傾げて考え出した。

そして、アイテムボックスをゴソゴソ探りだした。

暫くして、汚い背嚢リュックサックを出してきた。トシゾウは背嚢リュックサックの上の入れ口を縛ってある紐を解き、中を覗き込んだ。

「うお!?」と驚いて視線を背嚢の中から左に顔を向けてトワイライトの方に移した。

トワイライトもトシゾウに視線を合わせ同じ様に首を傾げながら

「どうした?何を驚いている?(笑)」と言いながら”冗談で言っているでしょ”って笑顔。

「おい、見てくれ」とトシゾウは半笑いでトワイライトに背嚢リュックの口の端を右手で持ち差し出す。

意外な光景を見て頭が着いていけず半笑いになったトシゾウ。

トワイライトは言われるまま中を覗く。

背嚢リュックの中を覗くと、中は馬車3台分の広さ(会議室の中部屋ぐらい)があり外見と中身の広さのギャップで違和感が強く誰もが目を疑う。

その中にまくらほどの大きさの麻袋(普通の麻袋の六分の一)と手の平サイズのエンフィールド銃の弾薬が一杯に詰まっていた。

トワイライトは背嚢リュックの中から視線を戻し、横にいるトシゾウの顔を見る。

トシゾウは理解に苦しみ渋い顔をしている。函館で戦っている時に貰った背嚢リュックがいつの間にか勝手に出世して『アイテムボックス』の様な機能を備えていた。

トワイライトは左斜め上の虚空に視線を泳がせ記憶を確認して、

「『アイテムバッグ』になっているな。こんな特級魔道具いつの間に仕入れた?」

とトワイライトは普通に喋っているが、相手のトシゾウの方は頭の理解が追い付いて居らず、

「コレはそんな代物じゃなかった。函館の五稜郭から背負って出た背嚢リュックだ。エンピール(エンフィールド銃)の弾薬を入れていたのだが、弾薬は使って背嚢の中身が減り新政府軍からかっぱらった兵糧を一つでも多く持ち帰ろうとこの麻袋(小さい)を一つ入れてたんだが、袋の容量に合わせて増えて・・・えらい事に成っているなぁ(笑)」

 トシゾウもトワイライトも知らない事だが、トシゾウは『勇者召還』で天界を通って女神に会いこの異世界に来た。

トワイライトも異世界転生で天界を通り魂の状態で女神に会った。

ぶっちゃけ、女神に会った事よりも、女神が会って因果を含めたり神託を啓示する為に天界に一時的に招かれた事が大きい。

天界の空気には神通力の元が多く溶け込んでおり『転生』・『召還』はそれに触れて膨大な魔力を得たり、チートスキルを手に入れたりする。

それは、トシゾウが持ち込んだ雑嚢や背嚢にも影響を及ぼし魔道具『アイテムバッグ』に進化させた。天界で進化した物だから神話級のアイテムになった。

無論、トシゾウが神界に持ち込んだエンフィールド銃や愛刀も神話級のマジックウエポンに進化したはずだが、特別な力は秘めたままで未だに現れていない。


トシゾウが背嚢の中からまくら位の大きさの麻袋を取り出して右手の平の上に乗せてニンマリする。

”そうか米が食いたいか?あるぞ。お前には世話に成りっぱなしだからな。喜んでくれると俺も借りが少しでも返せて嬉しい。”

の意図がありトシゾウはトワイライトを仲間として認識しだしている様だ。

「それ米か?」とトワイライトは『お宝発見!』の時の嬉々とした顔で麻袋を指さす。

「ああ。この感触は籾殻付きの米だな。蒔いたら芽が出るぞ」とトシゾウは持った感触で状態が分った。

話の途中でTemperから声が掛かる。

「準備出来たよ!、行こうか」

声を合図に二人は馬車の方に歩き出す。

「トシさん、その袋だけど、次の休憩の時に何袋か貰えないか?」

「ああ、いいぜ。次の休憩で好きなだけやるよ。」とトシゾウは気前が良い。

トシゾウとしてはコチラ(異世界)に来てからメシは普通に食えているし、コチラの食事も不味くはない。

更にまだ米の飯に飢えるだけの時間が経っている訳ではないので未練はない。仲間が喜ぶので気分が良い。

少し機嫌の良いトシゾウは自分の馬車に乗りトワイライトの馬車の後に続いて出発した。

高原で美城が有る美しい景色の『レグルス』から標高の低い北レイアードの第二の都市『アルテルフ』に続く道を行く。街道沿いには農村が多く畑もずっと続いている。

トシゾウは何も考えずボーッと馬車の手綱を握り流れゆく心癒す田園な景色を見流しマッタリしたスローな馬車旅ライフの中にいる。

 本人は自覚していないが、人斬り・戦争で乾いていたトシゾウの心がほんの少しずつ潤っていく。トシゾウの心豊かな青春はコレから始まるだろう。

助手席には小型犬のパピヨンのそらちゃんが座布団の上で丸くなり、同じ様に流れゆく景色を眠そうな目で眺めている。

実はこのそらちゃんも可愛いだけではない。只者ではない。

『シェラ野営場』での戦い前にトシゾウが験しで偶々発動した『悪魔・使い魔召還』という巻物魔術で召還されたサーヴァント。種別はグレーターデーモン。

元盗賊であったラスパ2個大隊の罪深い穢れた魂1800程とその肉体に加えトシゾウの魔力×Mpの積値を供物として召還となった。ただ、召還時の願いや命令は設定されていなかったので、サーヴァントとしての立場上、護衛や番犬的な役割をしているつもりだ。

実際は仲間の安全に気を配ってはいるが好き勝手・野放し状態で、仲間として愛される立場として振る舞っている。

その気になればレベル30代のダンジョンのラスボス程度の戦闘力は発揮出来るが、今はのんびり「ボスとかやっていると命を狙われ敵視を向けられる事が多かったが、仲間に愛される立場で可愛がられるのも悪く無い」とスローライフを楽しんでいる。

のんびりした悪く無い馬車の旅である。偶にはこんなのんびりも良い。

日が傾きだした3時半頃、北レイアードの第二の都市『アルテルフ』が見えてきた。


書き進めていると、最近トワイライトの自己主張が強い。一応ミスターチュートリアルキャラなのですが、トシゾウの主人公の座を奪おうとする勢い。次から頑張ってもらいます。

あと、そらちゃんの設定を出せて良かった。謎の犬のままでしたので。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ