【001】勇者召喚
戊辰戦争最後戦場で戦死寸前の土方を勇者召喚の光が包んだ。
閻魔様に会い土方歳三は恩恵やギフトを受け取り異世界に向かう。
2022/05/21::: 改行を増やし段落編成をして多少読みやすい修正しました。
ここはとある国の王宮、大きな広間で中央に赤い絨毯が一筋轢かれている。入り口の扉から玉座の前まで続いていおり、幅は人が二人並んで歩ける広さ。
正面奥から縦に三メートル横四メートルのステージで一段高くなっておりその真ん中に玉座が据えられている。でっぷりした肥満体型の男が座っている。
王冠を戴いており身に着けている派手な衣装から国王が座っているのだと分かる。
一段高いステージから三段の小さ目の階段で下がると広間全体の高さになる。下がってすぐの右側にまた太った初老の身なりのいい男達が三人ほど居りその者達と何やら話している。
身なりからして国の重臣だろう。豪華な衣装だが太った体型が衣装の良さを打ち消している。王も重臣もやや渋い顔をして相談している。
「で、魔女は始末出来たのだろうな?」
「は!今朝報告書が上がってきてました陛下。」
「うむ。残りは二名か?」
「はい。一人はローグらしいのですが全く手がかりがつかめません。もう一人は辺境伯の長男で『シェイクスオード』と申す男です。現在逃亡中で、二個大隊を派遣して捕縛、領地の接収に務めております。」
「王都に居る間に捕まえられなかったのか?」
「はい陛下。衛兵が駆けつけた時には既にもぬけの殻だったとか・・屋敷は押さえましたが・・。」
そこに、豪華な鎧の中年の騎士が現れ「失礼します陛下。」
と一礼をして国王に近づき胸に手を当て敬礼をしてから報告する「西の間にて『召還の儀』が整いましたとの報告が来ました。『召還の儀』の許可を求めてきております。陛下」
「その二人も抹殺出来ていれば良かったのだが、致し方ないのだな?」
と国王は重臣に目をやる。
「はい。あと3時間後には将来数十年間『召還の儀』の行える星の並びは参りません。」
「ふむ。分かった・・・『召還の儀』を行うよう伝えよ。」
「はは!!」とお辞儀をして中年の騎士が王の御前から退出した。
十分ほどして王宮の西の建物から光の塊が空に発せられた。
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日本の上空に突如として光の塊が現れた。しばらくして北に向けて動き出した。
導火線に火が走る光景に似ているが違う、空中であり、煙も出ていない。
目標を見つけたのかグングンと速度が上がる。津軽海峡を越えて北海道の上空に入ると速度が落ちだした。
眼下には蝦夷地と呼ばれる北海道の広大な大地が広がっている。
グングン近づいて行き函館の町と星形の城塞|五稜郭≪ごじょうかく≫が見えてくる。
五稜郭のすぐ側、平屋建ての家が建ち並ぶ市街地で煙が上がっている。銃声も聞こえる。
この地で戊辰戦争最後の戦い、明治新政府軍と旧幕府軍との激戦 函館戦争があった。
時に西暦1869年・明治2年5月11日函館戦争も|既≪すで≫に終盤。
新政府軍は五稜郭周辺の戦場ほとんどで優勢。乱戦に成って押され気味なところがここ土方歳三の率いる部隊と闘っている戦場である。
光の塊が近づきつつあるなか、馬上から指揮官土方歳三が落馬した。
腹に流れ弾が当たったらしい。落馬したというより体勢を崩して馬から下りた感じである。
土方に新政府軍の兵士が群がり襲いかかるが、下馬した土方も剣豪と呼ばれるほどの手練で傷を負いながらも次々と襲い来る敵兵をバッタバッタと切り倒し鬼神の如き剣撃で手の付けられない無双状態。
周囲の護衛と共に何とか敵兵を押し返しはしたが指揮官土方歳三は、膝から崩落る。敵兵を押し返した事で緊張が解けたのだろうか、気がつけば弾を食らった腹が熱い。
他にもかなりの刀傷を負っている。
だが顔には薄笑みがあった。心の中には”闘いきった”との想いがあるのかもしれない。息遣いも荒くなって地に伏した瞬間上空から光の塊が到達。土方は光に包まれ次の瞬間光と共に土方は消えていた。|享年三十四歳??かな?
西暦1869年5月この日より数日後五稜郭・函館政府・旧幕府軍は降伏し戊辰戦争は終了した。
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どれ|位≪くらい≫気を失っていただろう。意識は戻ったがまどろむような状態でもあり、酒に酔った時に似ている。
|辺≪あた≫りを見渡してみる。薄暗く霧が濃い。熱くも無く寒くも無く湿っぽくも無い。
ふと気が付き自分の体を見てみた。左肘より先二十センチぐらい、手首の下辺りから先がない。
右足も膝下10センチぐらいから下がない。乱戦の時にやられたのを思い出した。痛みは無い。右手で腹を触ってみる。手のひらに血が付いたが、血が流れ出ている様子はない。痛みも無い。”俺は死んだんだ”と悟った後悔は無い。
「三途の川の付近か?ふん・・・花畑じゃない・・聞いていたのと違うな」
|仕様≪しょう≫もない事を気にしてる自分を鼻で笑いながら独り言を言ってみた。
足下から|茎≪くき≫・|蔓≪つる≫が伸びてきて花が咲いた。あっという間に辺り一面花畑。
あまりの光景に|唖然≪あぜん≫とする土方に若い女性の声が掛かった。
顔を上げるといつの間にか正面3メートル先に若い女性が座っていた。床は見えず右上から左下へと続く大中の球が繋がり捻れておりまるで遺伝子の構造模型の様にも見える。その大きさの異なる球の連なり捻れて凸凹になっている所に腰掛けてる様に見える。
女性は口元に少し笑を浮かべながら「花畑がお好きなのですか?」と問う。
スラリとした長く美しい足を組んでおり組んだ足の膝付近に肘を置き興味深そうに|覗≪のぞ≫きこんでいる。
目の覚めるような美しい女性なのだが、土方の心は半分麻痺した感じなのですっと「美しい」とつぶやいた。
「あら、女性に対し良い挨拶ですわ新撰組鬼の副長土方歳三」
「閻魔様が美しい女だったのは驚いた。ここはあの世か?」
「閻魔ではありません・・・女神です。|此所≪ここ≫はあの世の手前。|貴方≪あなた≫は死にました。最後まで戦って武門の誉れの様な死に方でした・・・」と賞賛を込めて告知をしている。
その横から別の女性の声で「先輩、先輩。この人まだ死んでません。」と訂正が入る。
|螺旋≪らせん≫の連なりに腰掛けている美女の左下辺りに別の女性の姿が浮かび上がった。
暗闇でスマホやノートパソコンを使っている時のようにアッパーライトの薄い光で上半身がぼんやり浮かび上がった。正面の美しい女性は「え゛?」驚いたようだ。
口を横に開いたまま一瞬固まる。同時に隠していたはずの左手に酒の入ったジョッキが見えてしまった。
「転生じゃないの」
「はい。心臓が辛うじてまだ動いていたみたいです。まだ生きてますので転生ではなく召還です。処理の変更を要します」
「あらーー。そうですか、死に損ないですか・・召還の処理と手続きをお願い。」あらーーの後は別の事を考えながらだろうか、言葉でるのががぽつぽつとだった。
死に損ないと言われた土方は事実だから腹は立たないが、嫌みの一つぐらい言ってやりたかったが「悪かったな」しか出てこなかった。
左下の女性も一見やはり美人で眼鏡を掛けており操作中や喋っている最中に光の反射で眼鏡のレンズが浮かび上がる。
「召還の処理を行います。先輩、召還時の告知を」
正面の女性は姿勢を正し改めて
「貴方は元居た世界とは別の異世界に勇者として召還されました。現在移行の為の処理とスキル等の変換構築を行ってます。その間にテンプレ通り恩恵スキルを選択して貰います。」
「異世界って何だ?勇者?テンプラ?何言ってるか分からん。」
正面の美しい女神はもう一人の女神を見る。もう一人の女神は処理画面を見ながら「江戸時代末期には無い単語ですね」
「解った。概念インストールを行います。」と喋りながら右手の先に光のコンソールを呼び出し操作をする。操作中一瞬口元がニヤとした様に見えた。
しばらくすると土方にとってさっきまで解らなかった単語が突然理解できる様になった。
「ほー。すごい解ったよ。うん。|貴女≪あなた≫たち女神の事もね。今まで綺麗な遊女が閻魔を|騙≪かた≫ってると思っていた。(笑)」
「遊女って失礼ね」正面の女神もユーモアとして会話と土方の驚きようを楽しんでいる様で薄笑みを浮かべていた。
「土方さん、|貴方≪あなた≫には祈りが届いています。」
「祈り?」
土方の前の空間が急に暗くなり一瞬の後に映像が流れ出した。
とある神社正面を斜め上から見下ろしている。鳥居の向こうから着物を着た女性が歩いてくる。お賽銭箱の前に立ちお賽銭を入れて上から垂れている綱を揺すり根元に付いている大きな鈴をコロンコロンと鳴らしパンパンと|二拍手≪にはくしゅ≫して祈り始めた。
横顔のアップになり、その顔は土方にとって見覚えのある顔。口を閉じたまま心の中での祈りがこの女の音声と共に流れてくる。
”北の地で歳三さんが最後まで戦って亡くなったそうです。歳三さんの|御霊≪みたま≫幸せでありますようにお願いします。次生まれ代わったら、|御上≪おかみ≫の事やお役目忠勤なんか関わらずに、綺麗な景色や珍しい物、楽しい事探して楽しみながら心わくわく暮らせますように・・・。”
祈り終わると音声も止まり映像も消える。
「優しいじゃないの、この女性に心当たりありますか?」
「ある。馴染の|芸妓・・・『君つる』だ。その話・・・以前に軍艦奉行の勝安房守様の身辺警護した時に、安房守様の弟子で用心棒の・・何て言ったかな?。そう、坂本君という男だ。
人懐っこい男で聞きもしねぇのにエゲレスの煙を吐く鉄の馬車、メリケンの雲より高い所から落ちてくる滝、暑い砂だらけの国の山ほどデカイ墓石とか勝安房守様の受け売りだろうが、酒を飲んで日本の外の世界の世にも奇妙で面白そうな話を子供の様に目を輝かせて語っていた。
その話を聞いてるとその様な珍しい面白いモノを見て回るのも楽しそうだと思った。と『君つる』の処で酒を飲みながら喋った事が有った。今の「攘夷、攘夷」と物騒な世の中が落ち着いたらお前も一緒にどうだって・・・そんな話をした事が有った。」
左斜め上の何もない虚空を見上げながら土方はシミジミと懐しんだ。
正面の女神が「貴方は、その祈りを受けますか?」と真っ直ぐに見つめながら問う。
不意を突かれ怯んだ土方にもう一度女神は問う。
「土方歳三は、貴方を慕う真心の篭もったその祈りを受け止める度量をお持ちですか?」と挑発も込めてたたみかける。意図があり受けさせたい様だ。
「そこまで言われて引き下がったとなりゃぁ、男が立たねぇ受けてやるよ。」勢いに任せて口から出た。
土方の意志であるが酒に酔ったような精神状態で頭がややぼーっとした余り多くを考えられない警戒心の無い状態。
正面の女神の口元かすかに笑みが|滲≪にじ≫み聞き取れないほどの小声で「チョロい」と漏れた。
そして堅い口調で「貴方の意志に敬意を!!」と讃えて左下のもう一人の作業中の女神に視線を送った。
「貴方は祈りを受け入れた事により、好奇心+3(工夫&|閃き)、珍しい物面白いモノ美しいモノ・景色・人柄等により感動したり好奇心を満たした場合に特殊経験値を得てレベルアップすることが有ります。
その際|其≪そ≫れでしか得られないスキルを取る事ができます。ペナルティ条項として、王や国家への忠勤や依頼を受けるとペナルティが発生します。頭痛、腹痛、関節痛、生理痛、二日酔い、吐き気、下痢、悪寒、インフルエンザによく似た症状等々が科せられます。」
「んん〜〜。まぁ良っか」
左下のもう一人の女神は”かる”と率直に思った。
「ただなぁ、友達の為や一般市民など弱い者の為の場合は勘弁して欲しいね。」
もう一人の女神は”前言撤回”と思う。
正面の女神はちょっと考えてから「良いでしょう。免責事項として登録」
左下のもう一人の女神がキーを打ちながら登録していってる様だ。
作業で少し時間が過ぎてから「ピロリーン、ピロリーン」と音がする。
正面の女神が「この間にスキルの移行ができてきてるようね。」
正面の女神の横に枠が開きスキルが列挙されだした。左下の眼鏡の女神が説明する。
「剣術10が10+2(MAX)に成ります。ちなみにスキルは10が人の到達できる最大レベルです。+2は優遇加算で召還時保持スキル特典+1とそのスキルが高レベルの場合+1更に加算されます。」左下のもう一人の女神が事務的な口調でスキルを読み上げていく。その中には、『剣技9+2、体術6+1、回避・体捌7+1、戦術8+2、狙撃6+1、銃撃5+1、気配隠蔽3+1、危険察知6+1、気配察知4+1、乗馬2+1、追跡5+1、思考加速2+1、機動加速2+1、陣地・罠構築6+1、捜索5+1、農耕・栽培3+1・・・・』と結構なスキルの羅列があった。
「本当に戦闘と暗殺系が凄いわねぇ」
「新撰組は戦いと捜索に明け暮れたからなぁ・・・改めてスキルにすると凄いって事かな?閻魔様」口元に笑みが|滲≪にじ≫んでる。
「閻魔じゃないって」笑ってあしらう正面の女神。
左下の眼鏡を掛けた女神が「ただし、現状左手首手前より欠損の為に、剣術系のスキルに−4の修正、DX(器用さ)−30%の修正さらに、HPとSTR(筋力)−15%、両手武器使用が不可となります。右足膝下欠損により移動・回避系スキルに−5、HP−15%、AG(敏捷)−60%の修正と回避力、移動能力の低下が加わります。」
土方は鼻で笑って他人事の様に「スキル意味ね〜な。宝の持ち腐れってヤツか?閻魔様。物見遊山ができるだけ儲けモノってことだな。」
「閻魔じゃありません。(笑)」
会話の切れ目で左下の眼鏡を掛けた女神が、”まだこちらの話が終わってません”と言いたげな顔で説明・注意事項を喋り出す。
「それと、システム移行処理の関係でHPが一旦最大値に戻りますが出血等が続けば徐々にHPは減っていき死に至りますので召喚完了後に治療を受けて下さい。今出血が止まっているのは、ココは時間が止まっているからです。
向こうに着いたら早めに処置をお願いしますね。・・人の居ない所だと、死ぬわね・・。薬持ってそうな人の近くに着くように座標をズラしとくね」
土方は思い出した様に自分の手足を見つめ、ふっと我に返りゴソゴソし出した。
正面の女神は我慢しきれず無意識に持っていた酒の入ったジョッキを一口飲んだ。飲みながら土方を見ながら首をかしげながら、「何してんの?」
「止血だよ止血」
土方の素直な行動に。”あ、なんか意外”と思い意地悪を言ってみる。
「普通は手足が無くなったをシミジミ悲しむんじゃなぁい? ピカ一のスキルも使えず悲しむものよ!!」
土方はマイペースに「そ、切られた。残念だ〜(棒読)で、基本だよ基本。切られたら止血だぜ閻魔様。」
正面の女神は”反応が面白くない”と悪戯っ子の表情で「閻魔じゃありません。」左下のもう一人の眼鏡の女神も作業しながら笑いを堪えてる。3度目の「閻魔」で可笑しく成ってきた様だ。
そこで鳴り響く『パララララッタッタター』の後にアナウンスが流れる「笑いの初歩の課題『ギャグ3度押し』を達成しました。」
土方は目が余計に横長になり辺りを見渡す。正面の女神は座り直しながら「お?レベル上がった?0から1へ?」その言葉に左下の眼鏡を掛けた女神は「0から1って、先輩!!インストールの時に仕込みましたね。これ性格変わる人いるから取扱い注意だって・・・、あと神界でのレベルアップで、魔力とMPに+αが加算されました。」
「あら、何の事かしら?」としらばくれている。
左下の眼鏡の女神は手元のモニター確認しながら「笑いの初級1+1があった。神界恩恵付いてる(汗)」横向きながら顔の横に文字で ”どげんしょー?いいのかなーー?”
正面の女神が白々しく驚き顔で「初めてじゃない?ここでレベルアップするのを見たのって」
左下の眼鏡を掛けた女神も「私も初めてです。・・・」笑いを堪えながら
「恩恵が付いた事で付帯事項、天然と大ボケが付きました。・・・ツボった・・・天然と大ボケって」ゲラゲラ笑い出した。笑いを堪えるのも限界を超えた様だ。
笑いも収まりかけた頃正面の女神に小声で「あ、『笑う門には福来たる』が付いた・・。笑いのスキルや恩恵付けちゃうとヘタしたら性格変わっちゃいますよ?いいんですか?」
「いいのよ、イケメンは笑いのセンス、ユーモアの有る方が価値か格段に上がるのよ。それに、堅苦しいばかりだとまた新撰組の二の舞だわ!!見てて面白くない。彼の余生はもっと笑って喜んで楽しんで、笑う門には福来たるよ。(笑)」
左下の眼鏡を掛けた女神は|呆≪あき≫れ顔で”先輩は面白いイケメンが好みだったんだぁ・・・”と思った。
「先輩!飲み過ぎです!!」
土方も美人の笑い、|貶≪さげす≫みで笑われている訳ではないので悪い気はしない。やれやれって顔で手足の止血をやり終えた。
正面の女神は姿勢を正し「土方歳三あたなは勇者として召還されました。勇者とは神の使いとして魔王と戦い世界に平和と繁栄をもたらす者、・・・本来はね。で、勇者は鑑定スキルとアイテムボックスが付与されます。」
「神の使い?上司はあんたかい?」
「まあ、そうね。貴方を見守り応援してるわ。」
「美人で酒好きの女神か・・・酒を探してお供えすればいいのか?」冗談半分で言ったつもりだったが、
「分かってるじゃないの(嬉)いい子ね。美味しい良いお酒よろしくね。働きを期待して加護を授けておくわよ。」
子供に飴を見せる様な言い方こっちが上手伊達に自称女神は名乗ってない。
「それと、もうアイテムボックス使えるはずだからそのいかにも重そうな荷物仕舞ったら?」
「ん、これか?」土方は自分の身を見渡し”あ、こんなの有ったなぁ”って顔をした。
両肩から反対の腰に大きめの|雑嚢≪ざつのう≫が掛かっている。
右手で右腰に有る雑嚢から麻袋を取り出す。
「さつま芋、じゃが芋、稲穂、麦穂、何かの種・・・・新政府軍から奪った兵糧だったはず」頭をひねりながらの上に「?」を数個出しつつ。アイテムボックスの使い方は何故か解る。
アイテムボックスに雑嚢を入れる。刀(大和守源秀國)も入れる。背負ったリュックを背から下ろし|其≪そ≫れも入れる。肩に掛かる重さが消え身体が軽くなった様な気がした。ライフル型の長い銃だけだけは仕舞ってない。口許で愛想笑いしながら「このエンピールは杖代わりにと思って・・・。」使い込んでいるがしっかりと手入れされて鈍い光を放っているエンフィールド銃で愛着があるのだろうか、大事に扱っている。
「一応言っておきますが、銃を開発生産する。譲渡する事は禁止です、禁忌になります。ただし、個人が使用する、つまり貴方が自身で使う限りに於いては適用除外されます。が、銃等火薬砲、蒸気機関、内燃機関等は世界の有り様を変えてしまいます。決して開発生産をしないで下さい、しようと思わないで下さい。天罰・天誅成る事必定ですので。」
”天誅か・・懐かしいな。この言葉口走ってた奴等をどれだけ刈ったっけなぁ”と想いながら「分かったぜ、閻魔様」と言おうか迷っている間に機を逸した。口元が苦虫を噛みつぶした感じになった。
その土方に正面の女神が笑顔で「駄洒落やボケで滑ると回りの温度を急激に下げますので手当たり次第に滑るギャグを言わない様に。・・・此の格好じゃ風邪引きます。」
「あと、召喚特典のスキルと優遇を選んでもらうわ、基本は3個あと、私とこの娘の加護ね。」
土方は「そうなの?」って分かってない顔してうなずく。
「もう余り時間もないから、まずお勧め挙げるね」
「女神のお勧めか?、それ行こう」
「え?いいの内容を吟味しなくて?」
「どうせ、俺解ってない。」きっぱりと言い切る。
「信用してもらうのって気分いいわ。まず、|文殊≪もんじゅ≫これおすすめよ。|僚友召喚≪りょうゆうしょうかん≫、これらはここでしか取れないスキルなので取っとくと良いわ。近接系は既に揃ってるし・・・もう二つは『Lock』・・て、これ今は明かせないみたい。鍛冶優遇+1と工芸優遇+1、火属性魔法優遇+1がこの娘の加護。」と言って左下の眼鏡を掛けた女神を指さした。
「私のは錬金術優遇+1、死属性魔法優遇+1、氷属性魔法優遇+1ってところかしら・・・ステータスオープンと|呟≪つぶや≫けば目の前にステータスが表示されます。ステータス表にそれらスキルや優遇は載ってますからね、時間ができたら早い目に確認しといて下さいね。」
正面の女神が言い終わる前から立っている足場の辺りが柔らかくなってきた。
そして足が地面にゆっくりと沈み込みだす。
「お?おおお?」土方は泥沼に足を取られる感覚に戸惑いながら
「えっと?お供えは閻魔様宛で良いのか?」
正面の女神はにっこり笑いながら「閻魔じゃないって、・・・レナスよこの娘はヘファイストス」と眼鏡の女神を指さした。
正面のレナスと名乗った女神が、ズブズブと沼に沈んでいく様に床にめり込んでいく土方にニコリと愛想笑いをしながら手を振る
「美味しい酒お供えしてよ。では、心踊る良い旅を!!」その横にはもう一人の眼鏡の女神も居て一緒に手を振っていた。
胸まで沈むと底が抜けた様にドボンと水に落ちた様な感覚。
その後高い所から落ちていく感じに変わる身体が硬直し胸が苦しい。
恐怖心と戦い目を開くと回り一面青空とぽっかり浮かんだ雲。その雲に突っ込んで吹き飛ばし猛スピードで落下していく。
「うわぁぁぁぁぁーーーー三途の川は泳いで渡るんじゃねぇのかよ?。身投げする様に越えるんかーー!!」
関心しつつも落下の感覚が優る。
数秒の間思考も「うわぁぁぁーーー」が脳内で一斉に数十個が駆け巡っている。
落下の恐怖と苦しさの中、硬直には何とか打ち勝った。初めて見る山よりも雲よりも高い位置からの美しい景色があった。あまりの綺麗さに心を打たれた。
昨日まで同じ景色を見ても何も感じなかったであろう自分の事はもう忘れている。
地面が近づいてくると余計に景色が美しいと感銘している。Exp+95p
さあ、冒険を始めよう。
自分は昔の漫画で鈴宮先生の「とっても土方くん」で土方歳三を知ってから、個人的に土方歳三が好きなので函館戦争後に奇しくも、異世界でげんきに楽しく生きてくれるといいな。といった作品が
自分が読みたかったので始めました。アバウトな構想しかないのでどう転ぶか判りませんが
ファンタジーの異世界冒険記の予定です。
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