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逃亡は計画的に……


はい、前回ご紹介しましたとおり、

「判子ギブミー!」「おっけー!」

……ってな感じで、魔王様たちの外出を見守り、旅行や貿易の書類を魔王様たちのかわりに片付け、偶に魔獣狩りに行き、家に帰ってお養母様お手製の料理を食べて、寝て起きてまた仕事っていう生活をして、私は楽しく過ごしていたわけですよ。魔王様たちが帰って来るのを待ってたわけですよ。


そしたらこれは……なんて事でしょう。

私より優秀な技術者を連れて帰ってきたのだと思ったらまさかの英雄。魔王様と一騎打ちして相打ちしたあの人でした。しかも何?私が改良した魔方陣、その人のパートナーを見つける為のものだった?え?魔王様それだけのために人間領に通いまくってたの?マジで?人間領の隅から隅まで調べたけど、いるはずのパートナーがいなかった?だから魔族領に少なからず人間がいるかもしれないから、魔族領で魔法を使ってみよう、だって?え?それって、もしかして。……もしかして、数ヶ月前に不自然に私の手の甲に出来た印と、関係あったりします?あまりにも不自然に出来たから、呪いか何かかと思って普段は魔法で隠した上に手袋をして肌を物理的に隠しているんですけど。


「まあ、リーンフェルトの手に印が付いたってことは、間違いなく存在してるって事だし、魔族領に人間がいない訳ではもうないからな。試してみるのもアリかなと思ったんだよ」

「魔王領にいる人間はこちらで把握しておりますから、該当者がいない気はするんですが、5年前以前に魔族領に住み着くことができるような人間なら、記録はありませんから、いるかもしれませんし……」

「そこでだ、確実性を増すためにも、魔方陣に転移機能をつけたくてな。それでどの部分を変えればいいのか考えてたんだ。ルゥは俺たちのいない間魔族領の仕事をこなしてくれてたし、これ以上負担をかけるのは嫌だったから声をかけなかったんだ。ごめんな、ルゥ」


英雄の手を盗み見ると、どうにも私の手の甲についてるのと同じような模様が。

申し訳なさそうにしている魔王様。


……ええ、それはいいです。もうどうでもいいのです。それよりも私は早いところ此処から出て私の作った魔方陣の効果の外に出る用事があるのです。何で私あんな化物クラスの効果範囲の陣を作っちゃったんだ!私のバカ!眠すぎて危機管理能力が落ちてたとはいえそれが自分の首を絞めることになるなんて!というか何で英雄自ら結婚相手なんて探してるのさ!!


「転移機能、付けられるよ。魔王様。いつまでにやればいい?」

「本当か⁉︎もう出来次第試すから早ければ早いほど嬉しいんだが!」


……魔王様、そんなにキラキラした笑顔で見ないでください。……ああ、何で転移機能をつけられるなんて言ったのかって?だってそれで期限が知れるじゃん?それに合わせて逃げりゃいいじゃん?と思ったら、まさかの出来次第と来ましたか。


「……わかった。明日の昼までには何とかする」


何で昼かといえば、昼に作り終えれば、夜まで魔王様は動かないからです。多分範囲を広げた魔方陣にした関係で、取られる魔力が多くなったりました。人間領程度なら、昼間の魔王様でも余裕で魔法を使えるけど、魔族領は別。人間はある程度固まって住んでいるけど魔族は基本気ままで、どこかに定住してる人の方が少ないのですよ。だから下手をすると人間領の数倍魔法をかける範囲を広めなきゃいけない。もしくは範囲を区切って力を使うとかね。此処からが肝心なところで、魔王様が強い力を使えるのは、やっぱり夜ですよ。魔族っていうのは夜にこそ真価を発揮するのですよ。流石魔族。だから魔族を相手に戦いを挑む人たちは大抵昼間とかにやって来てたみたいですね。5年前の戦いの資料とか、ばっちり時間帯も書いてあったから間違いない。


…さてと、そういう訳で魔王様は夜もしくは夕方までは待つはずだから、その間に私は頑張ったから!ってな事でお出かけしようと思います。


「最初は魔王城を中心にしたこの都市部を含む中央領全域でやる予定だ。昼に陣が出来るなら、やるのは早くて夕方だな。それまでリーンフェルトは自由に過ごしてくれ。フィルト、一応護衛な」

「承知しました。魔王様。よろしくお願い致します、英雄殿?」

「こちらこそ。将軍閣下」

「……魔王様、その陣もらってく」

「ああ。疲れてるとこゴメンな?」

「別にいい」


魔王様、飼い主だし。魔王様は嫌いじゃないし、これはひいては私のためです!……正直な話、サボる時間を貰ったのですから。……実を言うと陣に転移機能つけるなんて、この私にかかれば2秒で足りますよ。それを半日後まで伸ばすのは、私の脱走計画の為です。


「宰相閣下、今日は城でずっと研究する。お母さまによろしくいってて」


落ち込む宰相にそう声をかけて、私は部屋から退散いたします。


何が何でも逃げてやるんだから!


何でそんなに見つかるのが嫌かって⁉︎嫌に決まってるでしょ!

英雄のパートナーだとかそう言うのは置いといて、見つかったら私が人間だってバレちゃうんだから!そして最悪、殺されるかもしれないんだからーーー!!!

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