表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

毎日楽しく生きてます


事実は小説よりも奇なり。

人生とは波瀾万丈。

渡り船に送り船。

……最後のはちょっと違う気がするけど、つまりなにが言いたいかといえば、世界は驚くほど理不尽で、同時に予想外の贈り物をくれるってことです。え?よく分からないって?大丈夫。私もよくわかっていません。


これまでの人生、色々ありました……。

人間領のどこかの夫婦の元に生まれて捨てられたらしく、孤児院で育ってお礼がわりに稼ぎを殆どそこに下ろしていましたが、急に国から来たお願いを命の危険を考えて断ったら、特に優しくもなかったけど世話は一応してくれてた孤児院の人達に捨てられてしまいました。しかもその後、魔力が強すぎるのと魔族みたいに真っ黒な髪だったから、魔導姫なんて名前をつけられて、有る事無い事噂されて、変なやつらに絡まれて撃退すれば私の悪評となり……とうとう魔族領に放り込まれて……まあ、魔族は皆髪が黒色だから、私は紛れましたし、別にいいんですけどね。魔族の方が正直優しかったので。

放り込まれてすぐ、森を彷徨っていたら魔族の夫婦に会いました。果実の収穫に来ていたそうです。

ご飯をも分けていただき、ボロボロだったからか、娘さんのお古だという服を譲ってくださいました。お礼に私も収穫を手伝い、紙袋1つ分ほど果物をもらってしまいました。心配する魔族の方と別れて進み、時に助けて助けられ、夜はどこからともなく現れる鳥魔族の羽に包まれて眠り、どうやら私の魔力は魔王に匹敵する膨大さだと教えてもらい、そして私は気付きました。


あれ?どこが人の住めない魔族領?私にとってはこっちの方が住みよくない?前よりよっぽど良い暮らしが出来るんじゃない?と。


服は貰ったり、物々交換したものがあるし、汚れても魔法で綺麗になります。

水辺に居るため、身体を洗ったり、飲み水も魔法で浄化するので、問題ないです。

寝床(鳥さん)はありますし、食べ物もそこら中からとれます。こういう時、孤児院の近くで野営していた経験が役に立ちますね。

魔族はどうやら強い者に逆らわないが鉄則らしく襲われる事はなかったです。

魔獣は出ますが、今まで通り駆除して素材は近くの町に降りて売れば問題なくお金も手に入りました。むしろ魔王領の方が数が少ない分強い魔獣が多く生息していたので、前より疲れずに多く稼げてます。

髪が黒いからという理由で嫌厭される事もなく、森の魔獣を駆逐しているせいか、近隣住民の方々(魔族)からは感謝される事もしばしば。


そんな感じで楽しく過ごしていたある日。通りかかった、動物の一切いない変な森が一瞬で消え去るという恐ろしい現実に直面しました。いつも寝床代わりになってくれてる鳥さんが猛スピードで飛んできたと思ったら、つまみ上げられ、お空へと急上昇し、何事かと見下ろせば足元にある森が焦土と化していたのです。危なかったー。ありがとー、と鳥さんに言えば、一鳴きして私を離してくれたので、私も私で地上十数メートルから綺麗に着地。森に動物がいなかったのは、危ないって分かって皆逃げたからでしたか。さて、森が焦土になった原因はー?と首を振って探せば直ぐに見つかりました。だって人影が2つ倒れていたので。あれ?死んでる?巻き込まれちゃった被害者?それともあの2人が原因?どちらにせよ危ないからさっさと何処かに行った方が賢明ですね。でもどうやら魔力切れで死にかけてるご様子なので、気を失っている間にとりあえず魔力を分けてあげて、では、さようなら!

……という事もあったりしました。あの時は妙にその2人の魔力量が馬鹿でかくて、特大タンクに水を注水するかのごとく私の魔力を変換して送り込み……あそこまで魔力を消費したのは後にも先にもあの時くらいでしょう。というか、そうであってほしいです。疲れたので。


のちに私はアレが魔王対人間領の第二王子の頂上決戦だった事を知りました。魔王様ご本人から。補充する時かなり魔力を注ぎ込まざるを得なかった理由に納得です。それから巻き込まれてたら焼け炭だった。鳥さん、助けてくれて本当にありがとう。


そんなこんなで数年後、私は魔王領と人間領の狭間の川をぷかぷか浮かんで流れて遊んでいたところ、雇い主……魔王 シュアード・カルナバル に拾われました。あの時の魔王様ものすごく微妙な顔してましたねぇ。折角の美形が台無しって思った記憶があります。

魔王様の右腕の宰相の右腕ってポストをもらい、いいのかなーと思いつつ、起きて寝て研究して魔獣の駆除してという楽しい毎日を送らせて頂いてます。恵まれましたね。

寿命の長ーい魔族にとって、私の15という年齢は赤ん坊にも等しいため、みんな過保護です。人間領だと一応成人なんですが。まあ、多少育ちの問題で人間としても私は小柄すぎるらしく、未だに10歳前後に見られる事多数ですが。見た目も相まって過保護なんだとは思うけど。あ、名誉のために言わせてください!でるところはちゃんと出てます!!魔王様も宰相もいいもの食わせてくれるので!!!


……まあ、そんなこんな、生きている毎日です。

最近は魔王様と宰相が人間領に出かける事が多いので、人間領に出かける魔族も増えました。私は見つかったらマズイので、絶対行きたく無いですけど。国からのお願い事断ったせいで国外追放され、黒髪だったので人間領から追い出された。正直、いい気分ではないですから。

あ、魔王様出かけるの?宰相さま、お土産よろしくお願いしまーす!

おやそちらの方、人間領に旅行ですか?分かりましたー通行手当ですねー。はい、良い旅を。次の方ー、ハンコが欲しけりゃ並んでくださいねー。


事務手続きの客が増えてきたので、これにて失礼します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ