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魔物のち暗雲

ぼちぼちやっていくと言いながら、なかなか更新出来なくてすみません…。


読んでくださる方に感謝です。

そしてよろしくお願いします。


今日はやっと試作品が完成しました!いぇい!

英雄が私の研究室に入り浸ってくれたお陰で気が散って仕方が無かったこの日々も終わりです!

今私は魔王様の執務室で、魔王様や宰相様(案の定フェルトと英雄も来ている)に試作品の通信魔道具を試してもらってます。通信可能距離は理論的には魔王城から人間領の中域まで声を届けられるレベル。尚且つ、今回はより少ない魔力で使える様にする為に頑張ってみた。

やっと納得のいくレベルになったんです。それを披露目していた所に、猫が走ってきた。あのいつもの気の抜けそうな声の猫です。


「ルチェ様ぁ〜〜!!ものものいっぱいでたにゃ〜〜!!!」


魔王様達もこっちを見る。大丈夫大丈夫。いつも通りに終わらせればいい話ですよ。


「……どこに?」

「川の向こうにゃ!」


……思考停止。今、聞き間違いでなければこのネコ川の向こう側っていいました?おかしいですねぇ。このネコに監視させてるのはあくまでも魔族領。まあ確かに魔族領の河岸をしっかり見ていたら、川の反対側の人間領も見えるには見えますけどまさかそんな。と、自分に言い聞かせていたら先に英雄が動いた。


「川の向こうとは、人間領のことですか?」

「にゃ!」

「では私が行きます。人間領と聞いては、行かないわけにはまいりません」


英雄が名乗りを上げた。魔王様がどうする?と言わんばかりの視線を向けてくる。勝手にさせればよろしいと思います。だって英雄はその辺の魔物程度に負けたりしないでしょうし。ただ、仲良しこよしで一緒になんて行かない。


「……先に行く。勝手にすればいい」


私はそのまま窓に向かって、枠を蹴って飛び降り、着地。……というか、着竜?私の相棒、ホワイトドラゴンさんがきちんと待機しててくれてるから飛び降りたんだからね。良い子は真似しちゃダメですからね!


「さて、行こうか」


そして早く帰って来ましょう。かなり迅速に。……誰にも会わないうちに。




空からそれらを見たとき、初めに思ったことといえば牛追いです。牛追いというか、……先導?牛型の魔獣が1人の少年を追いかけている様なんですよ。少年は脇目も振らずに彼が住んでいるであろう村の方向に逃げています。少しは頭を使えばいいのに。村に逃げ込んだら村ごと皆牛の餌食ですよ。あ。でも私が作った結界のギリギリ中なのか。……そもそも、魔獣が、多すぎないですか?気のせいじゃなければ、この間討伐した魔獣と同じくらい数がいます。アレより酷いかも。百はいないけど、数十はいる。


まあいいか。どうでもいいです。

今にも追いつかれそうになっている少年が転んだので、仕方ないですね。

結界の魔法で囲い、その前に降り立ち、衝撃波を放ちます。風を使った魔法ではあるけど、広範囲なせいで効果は弱いです。だから全て頭に向けて放ちます。

頭はどんな魔物にとっても、……人間であっても急所だから。頭を、中の脳を揺らしさえすれば、平然と立ってられるはずもなく、魔物は1匹残らず倒れます。痙攣している。

後はまた起きちゃう前に始末するだけ。穴に落として焼いちゃうのが一番早い。という訳で、着々と土魔法で特大の穴を掘ってそこに魔法で牛を運んで落として……キャンプファイヤー!


……けほん。まあ、なにはともあれ、お仕事完了。目を白黒させている少年の周りの結界は解いてやると、我に返って悲鳴を上げて逃げていきます。


「……顔も見せてないけど、コレだもんなぁ」

「ありがとうございます」

「……ああ。……きたの」


フィルトが魔狼に乗ったまま、案内役のネコを肩に乗せて穴の中を覗き込んでるのを背景に、英雄がすぐ近くまで来ていました。


「あの少年の代わりに私が感謝を申し上げます。そして、申し訳ないです。貴女は助けてくれたのに、あの様な態度……」

「……べつに。なれてる」


一度友好的に近付かれて、後から掌を返されるくらいなら、最初からあんな感じの方がやりやすいですよ。

笑顔でお礼を言われる事を期待した訳じゃない。


「……人間なんて、そんなもの」


少し英雄が悲しそうにした。……まあ、うん、英雄は人間だけど、私にありがとうなんて言ってくれたし、それはまあ、うん。……少し罪悪感。


「……ただ、そのお礼の言葉は、受けておく……」

「!……はい」


ああなんで、そんなに嬉しそうにするのやら。私は言葉を受け取るよっていう意思を示しただけなんですけどね。

ネコがまだいると騒ぎ始めた。今度は英雄がちょっといってくると言って、すぐ側の森に入って行きましたが……まあ大丈夫でしょう。フィルトも何も言わないし。


その後、焼け具合を見て鎮火と土を被せるタイミングを測っていたら、隣にいたフィルトに急に抱き抱えられました。何かと思えばさっきまで私が立っていた所に布が巻かれた石が飛んできたではありませんか。フィルトが私を背に隠す様に立ち、石が飛んできた後方を睨み付けます。魔狼も威嚇しまくりです。


まあ一応、私は自分に結界張っていますから、物が飛んで来ようが魔法が飛んで来ようが私にぶつかる事もなく落ちるだけなのですが。


「魔族!この悪魔共め!!」


少し離れた所に来ていたのは、恐らく村人であろう男たち。皆武装してる。よくみた景色だ。


「やはり和平など嘘だったんだ!」

「魔物の大群に村を襲わせようとしていたんだな!?この子が大急ぎで知らせに来たぞ!」


その後も王都の連中は何もわかってないとか、

魔族領の近くに住む民の恐怖を知らないとか、色々言ってたけど、うん。


「それはうちの魔王様が、人間風情を殺す為の何とも無駄な時間を取る暇がある。と……そう侮辱しているのかな」

「ルチェちゃん落ち着いて。流石に理不尽な受け取り方だよ。まあ、……温情深くも、わざわざ人間領の魔物討伐に君を送ってくれた魔王様が未だに魔物を送り込んでいるなどどいう荒唐無稽な言いがかりを信じている人間がいるというだけで、腹立たしくはあるけどね」


私とフィルトの怒りのオーラにたじろぐ村人たち。臨戦態勢のような空気。そこに森の中から颯爽と、英雄が現れた。

読了ありがとうございます。

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