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困ったなぁ


急いで魔王城に帰って、部屋に入ってきっちり鍵をかけた。一度学習したことは、忘れず実行しますとも。


「なんなの、……なんなの。…………なんなの……⁉︎」


仮眠用ベッドにダイブして、フッカフカのクッションの上でバタバタする。


あの皇子、自国の貴族に相手はいくらでもいるだろうに、何故に魔族(まだバレてないからね!)の小娘に興味を持ちますか⁉︎


今まで女の人皆興味津々だったの⁉︎アピールヤバ目だったの⁉︎絶対私と似たような貴族子女居たでしょ!探せば居たでしょう⁉︎自己評価の低い引きこもりがちで尚且つ私なんかでは皇子と結婚なんて無理ですーって逃げ出す系探せばいますよ!というか、人間領を虱潰しにしたら絶対いた‼︎


まさかとは思いますが、皇子の見た目が美しすぎてボーッとしない令嬢とかがいなかった……?……それはあり得そうですね。え?私?魔王様の美しさ舐めんなよ。皇子と並んでも劣らない魔王様のご尊顔を拾われてからずっと見てきたんだから、耐性ついてるわ。拾われたばっかりの頃は朝から晩まで一緒にいたのでね!というか風呂とかトイレ以外は常に一緒でしたよ。それで慣れないとお思いで?


……あー、まあいい。それは今はどうでもいい。兎に角、今は逃げる事を前提に明日の昼の準備です。準備。

ベッドからのろのろ起き上がり、空間拡張魔法をかけた、何でも入るという超便利な魔法鞄に、食糧やおやつや飲み物や服を入れていく。え?今食べ物が2つあったって?ご飯とおやつは別でしょうが。


そんな忙しい私の部屋の扉がノックされた。ガチャって音がしたから、また返事も待たずに開けようとしたな。


「ルゥ!いるかー!」

「なーにー?」


魔王様だ。勿論鍵はきっちりかけてあるので、ノックと同時に踏み入ろうとした魔王様は掛かっている鍵に驚いた事だろう。いつもならかけないから。

扉の近くまで行って、隠し扉から魔王様以外に誰もいないのを確認。鍵を開けて魔王様が入ったらすぐにまた鍵をかける。

防犯対策です。他意はありません。


「……ルゥ、どうしたんだ?」

「だって皆、ノックと同時に入ってくるんだもん。ノックの意味ある?」

「それは……すまん。で、どうだ?進み具合は」


どきり。実は悩まずともすぐに出来るんですけど、逃げたいので期限を伸ばしましたーとは言えない。


「うーん。そうだなー。どうかなー」


イェスともノーとも言わない作戦でいこう。魔王様に嘘つくのやだしね。


「魔方陣完成させたら魔王様がご褒美に、その後すぐ外出許可くれるって創造主に誓うならもっと頑張るのになー」

「ルゥ……。可愛い妹のお強請りなら喜んで許可ぐらい出すんだが……その前に……」

「前に?」

「何故リーンフェルトをあんなに避けるのか、聞いておいていいか?」


笑顔の魔王様に対して、私も笑顔で向き合うだけの沈黙の数秒。……うん。


逃げるが勝ち。


そう判断した私の行動は迅速でした。転移魔法で魔王城のある中央区から脱出、この間魔力をあげて仲良くなった子供のホワイトドラゴンの背中に乗せてもらい、このまま何処かへ空の旅!


「旅行に行きたかったのか?ルゥは口下手だな。外出許可じゃなくて、旅行の許可が欲しいって言ってくれれば、すぐに許可出して俺も同行したのに」


あっれ〜?何で魔王様が一緒にドラゴンに乗ってるんだろう。


「言わないとわからない事だってあるんだぞ?怒らないからお兄ちゃんにちゃんと話しなさい」


うーん。「魔王様、実は私人間なんだ。えへへ」……なんて言えるか!どうしたものかな……。

黙って魔王様を見上げる私。見逃してちょーだい?いつぞや自覚したんだけど、どうにも下から見上げられつつ目を潤められると、魔王様は弱いんですよー。ほら、その証拠に魔王様はたじろいでますよ。

あともうひと押しが欲しいところだけど……あ。


「魔王様、皇子が城に帰ってきたみたいだよー。人間だし、客室で休ませた方がいいんじゃないかなー」


魔族の活動時間は夕方を過ぎてからが本番だからね。私はこっち側の活動時間に合わせているから問題ないけど、人間にはキツいんじゃないかなー。


魔王様は私を見て、暫く頭を悩ませて、最終的には、本当に困る前に絶対に言う事!と言って魔王城へと先に戻っていきました。


「言えるわけ無いよねー」


ねー?と言えば、キューっと可愛い鳴き声が返ってきた。はあ、癒されますね。

既に本当に困ってる場合はどうすりゃいいんでしょうね。


魔王様を騙していた罪で、魔族領を追放……で、済めばいいけど。あ、でもそうすると、既に人間領を追放されてる私はいく場所無いんだよなぁ。強いて言うなら、人間領と魔族領を分けるように流れている大きな川だけど、流石に川の中で生きてくのは魚じゃ無いと無理だしなぁ。


困ったなぁ。

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