真理はたいまつである
早速捕虜を連れ帰ったアンジェロが、リザードマンをアルカードの前に引き立てた。勿論、寝ている間にちゃんと拘束している。
さすがに状況的に反抗しようとはしないが、リザードマンは憎々しげにアルカードを睨みつけている。
―――――なんだ・・・・・? これは、憎悪か?
リザードマンからは恨みや憎しみと言った感情が窺えた。が、ハッキリ言ってアルカードにはリザードマンに恨まれる筋合いは全くない。
「その方、名と役職は?」
「ゴア・・・・・大隊指揮官ダ」
「そうか、ゴア将軍。私が聞きたいのは、お前達の勢力でも能力でもない。ただ単に、そちらの要求を伺いたい。なぜこの国に侵攻してきた? 攻撃を仕掛けてきた理由は?」
その問いに、ゴア将軍は一層顔を歪ませて、アルカードを睨みつけた。
「何ヲ言ウ・・・・・先ニ攻撃シテキタノハ、ソッチジャナイカ」
「なんだと?」
明らかに、辻褄が合わない。考え込んでいたアルカードは、クリスティアーノに目配せをして、クリスティアーノはリザードマンの背後に立った。
「こちらが攻撃したとは、どういうことだ?」
「シラバックレル気カ! 許サン! コノ恨ミ、晴ラサデハオカヌ!」
体を怒りと憎しみに震わせて、そう恨みを語るリザードマンの肩から右手を離したクリスティアーノは、信じられないと言った顔をして、アルカードを見た。
「何か、わかったか」
「いけません。これは・・・・・」
クリスティアーノがすぐにアルカードに左手で触れ、すぐにアンジェロや山姫にも左手で触れた。
一同は顔色を変えて、狼狽えた。
「陛下・・・・・」
「いかん。何という事だ・・・・・早急に、戦いを止めなければ」
「しかし陛下、所長がもう既に戦地でかなりの数を・・・・・」
「・・・・・山姫、すぐに軍に事情を説明して、制圧軍を用意しろ。小僧、すぐに軍を戦地に派遣し、戦いを終息させろ。まともな準備など出来ていなくて構わない、すぐにだ」
「はい」
「かしこまりました」
二人が出て行った部屋で、アルカードは大きく溜息を吐いて、ゴア将軍に視線をやった。
「ゴア将軍、そなたたちは大きな誤解をしている」
「貴様ラノ口車ニナド乗ランゾ! カクナル上ハ・・・・・!」
ゴア将軍は口を開けて舌を出した。それを見て舌を噛み切る気だと悟ったクリスティアーノが、すかさず自分の腕をゴア将軍の口にねじ込んだ。
「グッ・・・・・!?」
「っ・・・・・ゴア将軍、自害などなさるな。あなたには、やって戴きたいことがあるんです。我々は、あなた方の敵に回るつもりなど、毛頭ありません。後生です。私の腕に免じて、陛下の話を聞いていただけませんか」
クリスティアーノの行動と言葉に驚いたゴア将軍は、ゆっくりと口を開けて、クリスティアーノの腕を解放した。しかし、思い切り噛んだ顎の力で、突っ込んだ肘の手首側は千切れて落ち、二の腕も千切れ、皮一つで繋がっているような状態になってしまった。
「インザーギ外務大臣、無茶をするな」
「今、ゴア将軍の命は、私の腕よりも重いのです。私の腕一つでゴア将軍が聞く耳を持ってくれると言うのなら、もう一本の腕も捨てましょう」
ゴア将軍は困惑した。憎らしい敵に一矢報いる事が出来たのは喜ばしく思っていいのかもしれない。しかし、自分が自害することを止めてまで、聞いてほしい話とはなんなのか。
敵の国王が直訴するような事なら、聞いておかなければより重大な問題に発展するのではないか、そう思って、自害することも、怒りに任せて相手を呪う事も、一旦は引き下がることにした。
「我々ガシテイル誤解トハ、何ダ」
「全てだ」
「ナニ?」
アルカードはゴア将軍に、状況と現状、事実と嘘、全てを語り始めた。
ミナは、一旦状況を見渡そうと、再び城壁の上に上った。そこへ、さっき助けた老人がヨタヨタと歩いてくるのが見えた。
「あ・・・・・おじいさん」
声をかけると、老人は顔を上げた。顔面は蒼白で、生気を失った顔を。
老人は、ミナを睨みつけて、言った。
「お前がヨナを殺したんじゃ」
「・・・・・」
「何故わからん。わしのような年寄りよりも、ヨナを助けるべきだったんじゃ」
「・・・・・」
「ヨナ、ヨナは、まだ8歳じゃぞ! まだ8歳じゃと言うのに、もう死んでしまった! お前が見殺しにしたから、死んでしまった!」
「ごめんなさい・・・・・」
「謝って済むと思っとるのか、小娘。お前は、ただ殺しているだけじゃ。ただ、ここに殺しにやって来ただけじゃ。お前は何にもわかっとらん! わしはもう、生きる意味を失った!」
叫んだと同時に老人は城壁に向かって走り、城壁の上から、飛び降りた。
急いで下を覗き込むと、首の折れ曲がった老人の頭部から、じわじわと血が広がっていくのが見えた。
老人の言う事は、尤もだと思った。あの状況で、自分の身を危険にさらしてでも助けようとした少年を、ミナは助けなかった。その為に少年は死に、老人まで死に追いやって、結局どちらも死んでしまった。
「ごめ・・・・・なさい」
ただ、殺しているだけ。誰も助ける事は出来なかった。
その事に、ミナは悔しくて、悲しくて、自分を呪った。
「君のせいじゃない。君は、よくやったよ」
城壁の弓兵が、そう言って慰めてくれた。
「戦いなんて、理不尽なものだから、何をしたって、誰かしらには責められるものだ。君はよくやったよ。君の為に助かった命だって、大勢あるんだ。それも、事実だよ」
「・・・・・ありがとう、ございます」
「戦うことが、嫌になったかい?」
「はい・・・・・」
「それなら、城門の守備に回ってくれないか。君は防衛線だと言ったね。その役割は十分に果たした。あとは砦の門を守ってくれれば、十分だ」
ミナは涙を拭って、立ち上がった。
泣いてばかりもいられない。ミナには防衛と言う仕事がある。殺しに来たわけじゃない。この砦を守りにやって来たのだ。
倒すことはもう、十分にした。もう後回しで構わない。
とにかく砦が突破されることだけを防げばいい。それだけを考えればいい。
「ありがとうございます。いってきます」
「いってらっしゃい。アウェパトリオータ」
「アウェパトリオータ」
弓兵に敬礼を返して、再び降り立って、門の前に走った。
いくつかある砦の城門、その内一番大きな中央門の前では、少しずつ開かれた城門から、少しずつ市民が流れていく。が、大勢の市民が詰めかけ、その周りを兵が守護するように立ち、リザードマン達と激戦が繰り広げられていた。
ミナは剣を握りなおして、歩み寄った。
今更、殺しに意味はない。ミナに勝てないと思わせれば、それで十分だ。
握りなおした剣に、「斬らない」と念じた。
一気に突っ込み、思い切り剣を振った。ミナの剣に触れたリザードマンが、数人宙を舞い、近くの民家に激突して動かなくなる。
そうして20人ほど戦闘不能にすると、リザードマン達は攻撃を止めて、じりじりと下がり始める。
砦の兵たちの前に立ち、リザードマンに剣を向けた。
「この剣の届く範囲に入ってきたら、容赦なく攻撃する。死にたくなければ、退きなさい」
ミナの言っていることが理解できているのかは、わからない。しかし、脅迫されていることくらいはわかるはずだ。
怯んでいるリザードマンを見て、すぐに兵に耳打ちした。
「今の内に城門を解放して、負傷者と市民を」
「わかった!」
後ろで門があくゴゴゴという木と石のきしむ音が聞こえ、一斉に市民たちが中に雪崩れ込んでいくのが窺えた。
リザードマン達がさらに狼狽えて一歩前に出ようとしたのを見て、ミナも一歩前に進んで、剣を構えた。
「私の服は、本当は真っ白だったのよ。青いのは、何故だと思う?」
そう言って白衣の襟をつまんで見せた。
リザードマンはミナの行動の意味を察した。全体的に青く染まった白衣とブラウス。よく見ると、襟の下や腋の下、部分的に染まっていない白い部分が残されている。
―――――あぁ、あの青は同胞の血が染め上げたものなのだ。
それに気付かないほど、リザードマンも愚かではなかった。
この数時間で、連合軍の部隊がいくつも壊滅させられたとは聞き及んでいた。門の前に到着するまでに、氷漬けになった同胞の氷壁を見かけた。
目の前に立ちふさがるミナが、剣を向けて威嚇している。同胞の血を吸った蒼衣を纏った娘はいかにも憎いが、この娘一人で部隊を壊滅させてしまった。
雨がミナの髪を伝って滴るたびに、髪にこびりついた青い血を溶かして、青い雨がポタリと零れ、更に白衣を青く染めていく。ミナの足元にある水たまりが、青く染まっていく。
―――――恐ろしい、この娘はまるで、アバドンのようではないか。
アバドン、復讐の女神、災厄の女神。復讐の為に徹底的に敵を駆逐し、世界を滅ぼす災厄を振りまく女神。復讐の女神の君主、アバドン。
ミナの所業、ミナの眼光は、まるで敵を射抜くかのごとく黒い瞳はより深みを増す。
ガキン、と剣を足元に突き刺し、沈黙して強く視線を送るミナの瞳には
「ここから先は、絶対に通さない」
そう言う意思がはっきりと表れていて、時折目に入った雨水を拭う仕草が、まるで同胞の血の涙を流しているように見えて、濡れた黒く大きな瞳に吸い寄せられてしまうような気がして、リザードマン達は一層恐怖を感じた。
しばらく睨みあっていると、兵の一人が、市民の避難が完了したと告げてきた。
「そうですか、ありがとうございます。じゃぁここの守備はお願いできますか? 他の門の制圧にも行きたいので」
「あぁ、ありがとう。ここはもう、俺達に任せてくれ」
「ありがとうございます」
ミナは突き刺していた剣を抜いて2・3歩進んだ。リザードマンが構えると、門の右端から左端に、ぐるりと剣で線を引いて、ガツン、と線を刺した。
「ここから一歩でも入らないことね。入った瞬間、射抜かれて死ぬわよ」
城壁の上では、リザードマンに向かって弓が引かれている。ミナの言葉を聞いて、守備兵は剣や槍を構えた。
ミナはリザードマンに一瞥をくれて、すぐに別の門へと走った。
そうしてミナがいくつかの門から市民の避難を成功させ、時々戦闘を挟んで門を死守していると、急に騒がしくなってきた。
見ると、国軍の兵装をした隊列が、あちこちで展開していくのが見えた。
「あ・・・・・!」
「援軍だ! こんなに早く!」
「やった、これでもう、大丈夫だ!」
砦の守備兵たちは一気に活気づいた。国軍の隊列を見ていると、何種類かの軍旗を見かけた。
枸橘の葉の紋章、秦皮の葉の紋章、藤と澪標、三月と黒ウサギ、そして、竜のウロボロス。
「国王親征軍!? 陛下までここに!?」
ミナの言葉に、守備兵までも狼狽えた。ミナが守備する門の前に秦皮の軍がやってきて、すぐにリザードマン達を制圧し、捕縛した。
「アウェパトリオータ。所長、御無事で何より」
「アウェパトリオータ! 秦皮将軍、陛下まで来てるんですか?」
「えぇ、来てますよ。制圧軍の指揮を全面的に執っておられます」
「なんで、わざわざ、陛下が・・・・・」
「詳しい話は、太政大臣か官房長官から窺ってください。あなたが戦う必要は、もうありません。さぁ、参りましょう」
「はい」
秦皮に手を引かれて、秦皮の後ろに乗馬した。すぐに馬を走らせて、秦皮は指揮の陣営へと連れて行ってくれた。
ミナが到着して馬から降りると、市街の状況を兵がアルカード達に説明しているところだった。
「酷い有様でございます。人間もリザードマンも、数えきれないほどの死体で・・・・・街道には四肢がばら撒かれ、中央広場には数えきれないほどの、首のないリザードマンの死体が。市街の路地は、赤と青で染まっています」
「・・・・・そうか。今は制圧が最優先だ。死体の処理は後回しで構わない。ゴア将軍にも協力を要請してある。ゴア将軍を徹底的に守備しつつ、市内の鎮圧を急げ」
「はっ」
ふと、アンジェロがミナに振り向いた。
「ミナ・・・・・無事、だったんだな」
「うん。それより、わざわざ陛下までこんな所まで来るなんて、一体どうしたんですか?」
尋ねると、アルカードは大きく溜息を吐いて、横目でミナを見やった。
「後で話す。お前は、まずその服を着替えろ。服は燃やして捨てろ」
すぐに山姫が着替えを用意した。アンジェロが来た時に、ミナが血まみれになっていることは聞いていたようだ。
アンジェロと山姫が幕を張ってくれて、その内側で着替えて、着ていた服は言われたとおりに火をつけて、濡れていて中々燃えにくかったが、何とか時間をかけて燃やした。
国王親征軍が入城して、3時間ほど経過した。既にミナが戦闘に入ってから、半日以上が経過している。
日も暮れはじめて、あちこちに松明が焚かれ、かがり火が灯され始めた。ようやく制圧が完了したと報告が入って、リザードマンを捕縛していると言う中央門前広場に、アンジェロの馬に乗って、一緒に向かった。
広場の前では、枸橘と秦皮が馬上からリザードマンを見下ろして、アンジェロが捕虜に連れて行ったリザードマン―――――ゴア将軍が、リザードマン達に必死に何かを語っている。
その言葉は彼らの言語らしく、ミナ達にはわからない。が、話を聞いて、リザードマン達は驚き狼狽え、頭を抱え、悔しがり、中には泣き出す者まで現れた。
「なにを、話してるの?」
アンジェロの背中に問いかけた。アンジェロはミナに振り向きもしないし、問いに答えようともしてくれなかった。
「ねぇ、アンジェロ」
「・・・・・お前、真実を知る勇気は、あるか?」
「え?」
アンジェロは前方から視線をそらさず、ミナに振り向かないで、そう言った。
「俺は、お前に知ってほしくはねぇけど、知るべきだとは思う。命令したのは陛下だけど、実行したのはお前だ。この戦いは、俺たち全員に責任がある」
「・・・・・何、言ってるの?」
アンジェロの物言いは、まるでミナが悪いことをしたかのように聞こえて、急に焦燥と恐怖が募ってくる。
アンジェロは知ってほしくはないと言った。きっと真実は、ミナを苦しめるのだ。だけど、知るべきだとも言った。それはきっと、この国を担う一員であるミナの責任なのだ。
「・・・・・教えて、この戦いの、本当の意味を」
この戦いには、両国になんの意味もなかった。そう前置きをして、アンジェロは語り始めた。
一年程前、リザードマンの国の端で、戦火が上がった。突然侵攻してきた何者かが、何の躊躇もなく、ただただ国民を虐殺した。
国軍は必死に抵抗した。しかし、元々鎖国していた為に、まともな戦力も装備も持っておらず、すぐに先遣隊は壊滅させられた。
それでも戦いをやめるわけにはいかない。国と国民を守らねばならない。ありあわせの軍を組織して、何とか戦地に赴いた。
すると、驚いたことに、敵兵は一人もいなくなっていた。そこに広がっていたのは荒廃した町と、殺された市民と、処刑されて磔にされた、身分のある衣装を纏った、誰か。
援軍の指揮官に、生き残った兵士の数人が言った。
「あの処刑された遺体は、王太子殿下をはじめとした、王子、王女全員です」
「ここだけではありません。ビラク国、アブク国、イティア国、サマハブ国、同胞の同盟国の王子や王女、全員を処刑したと!」
「・・・・・敵は、どこの奴だ」
「敵は、我らが怨敵、悪魔」
「エレストルの、アスタロトです!」
事実、数日前からナエビラクの同盟国の王子や王女が行方不明になっていた。この事は国王とその側近しか知らされていなかった。戦争中に余計に混乱を招かない為だ。
行方不明になっていた王子と王女が全員処刑され、荒廃した町で無残な姿で磔になっている。
その事に兵も国民も激しく慟哭し、同時に、強烈に悪魔を憎悪した。
そして、戦意の高まった国民たちが剣を持って立ち上がり、同盟国で共闘し、エレストルへ報復を仕掛けようと侵攻してきたのだ。
これらの国家は鎖国していた為に、エレストルが既に亡国で、今は吸血鬼が支配する新国家、VMRだと言う事を知らなかった。だから、非道な手段を使ってVMRを混乱させる為だけの、当て馬として利用されたにすぎなかった。
リザードマン達はただただ、非業の死を遂げた国民と王子と王女の為に、人間やミナ達はただただ国を守る為だけに、流す必要のない血を流してしまった。
「そんな・・・・・じゃぁ、私・・・・・」
「本当は、アイツらだって被害者なんだよ。本当は、アイツらも何も悪くはねぇ」
互いの愛国心が、互いに無意味な血を流させた。
アウェパトリオータ! 愛国者万歳!
守りに来た。ただ殺しに来た。
謝って済むと思うな、お前は何もわかっていない。
老人の言葉が、脳裏に繰り返された。
「私・・・・・私、なんてことを・・・・・私は、どうしたらいいの・・・・・」
アンジェロの背中に泣き縋っても、アンジェロも困惑しているようで、返答はしてくれない。アルカードが寄ってきて、溜息を吐いた。
「ミナ、泣くな。お前が泣いたところで、死者が蘇るわけでもない。お前が泣いたところで、誰の魂も救われない。泣くのは止せ。お前の涙は、この戦いの殉死者の弔いにはならない」
ミナが泣いているのを見て、リザードマンはどう思うだろうか。
同胞をたくさん殺したくせに、感傷に浸って泣くくらいなら死んでくれ。
ミナが泣いているのを見て、市民はどう思うだろうか。
家族を守ってくれなかったくせに、泣いて済むと思っているならお前が死ねばよかった。
ミナの涙は、誰の魂も救わない。
必死に嗚咽と涙を押し込んで、涙を拭った。
「彼ら、連合国の王達とは、近いうちに会談を設ける。我々の敵は同一なのだから、敵対する理由もない。和睦を申し入れるつもりだ」
「はい」
「お前もその会談には同席しろ。戦争の責任は、指揮した私、そして実行したお前、この戦争にかかわったすべての者に責任がある。その責任を、果たさねばならない」
「はい」
「ミナ、心しておけ。お前が泣いて救われる者は、ほんの一握りの者達だけだ。多くの者は、他人の涙など嫌うばかりだ。人の上に立つ者は、不用意に涙を流すことは許されない。人を救いたいと思うなら、自分の責任を全うする以外にはないのだ」
「・・・・・はい」
悪魔の策略によって開かれた会戦は、何の意味もなさず、両国に傷を負わせ血を流させ、ミナの心に深い傷を負わせた。
★真理はたいまつである。しかも巨大なたいまつである。 だから私たちはみんな目を細めてそのそばを通りすぎようとするのだ。 やけどする事を恐れて。
――――――――――ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ




