科学は農薬を生み出すが、それを使うなとは言ってくれない
12月に入ってから第3次元のマーリンのお宅を伺った。
残念ながら、今日はエレインが使い魔(というか式神に近いらしい)を使ってあちこち見て回るのに忙しく、地下室に籠っていると言うので、エレインの邪魔は出来ないと言う事で、エレインとの再会は次回にお預けだ。
「久しぶりじゃのう! 本当に久しぶりじゃ!」
第11次元に渡り、既に1年近く経過している。第3次元との時間差など考えたくもない。
それでもやっぱりマーリンとエレインは変わりなく。お屋敷も変わりなく。しかし窓の外は変わり果て。
ミナは何となくガンダムのコロニー的な金属っぽい未来を想像していたのだが、現実は猿の惑星に近い。
「実はのう、1500年ほど前に戦争が起きて、結局またもや絶滅の危機じゃ」
ミナは第3次元を去る際、ベトナムの財団と山姫の医療機関を合併するように言って、双方に研究資料を残した。その為にウイルス自体は100年以上の時をかけて、絶滅にまで追い込んだらしい。
そこからしばらくは平和な世界が続いたが、やはり、人間はどこまで行っても人間だったようで、どこかが戦争を始めると、その気流に乗って至る所で戦いが始まり、第3次第4次と繰り返された。
折角世界中継の際にミゲルがハッキングしてパァにしてやった各国の核発射プログラムも、結局はその場凌ぎで新たなものを作られてしまっては仕方がない。
「それ以上に、人類はとうとう、恐ろしいものを作り出してしまったんじゃよ」
核爆弾より怖いもの。真空状態でしか存在できず、この世の物質、あらゆるものに接触すると対消滅を引き起こし、微量で数十キロに及ぶ大爆発を引き起こす物質、反物質。
ミナが第3次元にいた頃は、理論上は精製可能だが、現実的には無理だと言われていた。それを、人間たちは研究に研究を重ねて、作り出してしまった。
世界は崩壊した。反物質を作った国の敵国や、作った国すらどさくさで消えて失せた。大陸ごと吹っ飛んだのだ。生態系が狂い、僅かながら自転軸も狂ったようで、気象にも大きな変化が起きて、夏に、雪が降る。
わずかに生き残った人間は、僅かに残された文明とわずかに残された土地で、閉塞的かつ封建的な社会を作り上げ、子孫を残し生きている。
「きっと、今の人間たちは世界がこんなに広い事を知らんのじゃろうなぁ」
山に住む者、地下都市に住む者、水没した孤島に住む者。今の人間の子孫たちは、自分達が住んでいる環境が全てで、それが世界だと思っている。
その内また数百年経てば、人口も増えて、領土を拡大しようとか、他の地域に行ってみようとか、そう思うかもしれない。
「じゃが、これでいいかもしれんの。下手に他の人間と接触すれば、きっとまた殺し合うんじゃろう。それが、人間じゃからのう。それに、今のこの星は美しい。見てみぃ。ミナが前来た時は、こんな景色じゃなかったろう?」
マーリンが指差す窓の外は草原が広がり、青々とした草の隙間から花と一緒にキツネが顔を覗かせている。このフランスにも戦火が及び、マーリンの屋敷の前も爆撃されて、町は破壊され人が焼夷弾に焼き尽くされた。
家の裏手の図書館の蔵書に火が燃え移って、先人の知恵が詰まった館が燃えるのを見て、マーリンはとても悲しく思ったのだ。
本は、世界の文明の宝なのだ。それがどんなにつまらない悪書だとしても、その時代その地域で息づいていた文明を証明してくれる。
「人の生み出したもので価値がある物は、赤子と学問と芸術くらいじゃ。作り出された物に罪はないが、作り出した人間に、使う価値がないんじゃな」
ベトナムの研究者の言葉を思い出した。
―――――我々は正しい事をしている。間違っているのは、正しい物を正しく使えない者です。
それが人間なのだ、と改めて思い知った。反物質はノアの方舟だったのだ。正しい者だけを選別し、悪しき人間を滅ぼす為の。
人間を根絶し、浄化された世界では、こんなにも緑と生命が息づいている。人間はこの星を支配するのに、ふさわしい生物ではなかった。
そう考えて、やはり第11次元の自然環境や生態系は保持するべきだと、強く感じた。
「ミナの科学者としての在り様は、どこにある?」
マーリンに問われ、少し思案して答えた。
「今は、国民の生活文化の向上、が一番です。勿論、環境に配慮した科学を模索してはいますけど、難しいです」
「そうじゃろうな。破壊と創造は表裏一体じゃ。ミナ、もしあちらの世界で発電や武器の精製、あらゆる科学を発展させようと思っておるなら、その技術は門外不出にするんじゃぞ」
「え? どうしてですか? 人のための科学なんだから、広めなきゃ意味ありません」
「広めれば、この世界の二の舞じゃ。その科学を金で買いたいと言ってくる奴もおるじゃろうが、頑として売ってはならん。人に教えてはならん。科学を魔術と同じにとらえるんじゃ。悪用されては困るじゃろう。人の為にその技術を行使しても、技術を広めるのは避けるべきじゃ」
マーリンの言う事も、わかる。確かにあちらの世界においては、科学は魔術や錬金術の様に不思議で、便利なものだ。熟達した科学は魔術と見分けがつかない。マーリンの言う通り、科学術とでもして広げるべきではないのかもしれない。
シンプルな弱肉強食の戦乱の世界で、科学の力が猛威を振るったら―――――そう考えると、第11次元の未来も見えてしまった気がして、自分の頭に収まっている物が、破壊の力になることを恐ろしく思った。
「そうですね、そうします」
「それがいいじゃろう、のう、アルカード」
「あぁ、既に研究所は国家機密機関として、関係者以外は立ち入り禁止だ。王宮の人間ですら立ち入りできないようにしてある。侵入した者は即死刑だ」
ミナは知らなかったので驚いたのだが、言われてみれば研究所周辺で同僚以外を見たことがない。
が、矛盾を発見。
「こないだマニが来ましたよ?」
「マニは卒業後研究所に就職希望だ。今は何を見てもサッパリわからないだろうし、勉強になるだろうと言う事で許した」
「あ、そうなんですか、ていうか、そうなんですか」
マニが科学に興味があるとは知らなかった。
クミルからアンジェロが話を聞いて、アンジェロが許可するようにアルカードに頼んだらしい。
なぜかここで、クミルは今は独身だし、パパ友ママ友として仲良くやってる風な事に嫉妬したが、今は関係ないので忘れることにした。
それで、重大な報告を思い出した。
「マーリンさん、聞いて下さいよ! 重大発表ですよ!」
「お、なんじゃ。また妊娠したのかね?」
「違いますよ! そうじゃなくて、でもおめでたいことです。何だと思いますぅ?」
少しもったいぶる風にニヤニヤ言って、マーリンも少しワクワクし始めたようだ。
「なんじゃろうなぁ」
と考えつつも、ミナが言いたくてうずうずしているのはバレバレらしく、すぐに
「降参じゃ」
と言って、ミナに答えを促した。
ニヤニヤしてアルカードに視線をやると、既に機嫌が悪い。ちょっと怖かったので、派手に発表するのはやめてマーリンの傍に寄って耳打ちした。
「実はですね、アルカードさんの正妃に、ミラーカさんが立后しました」
ミナの言葉を聞いて、マーリンはのけ反って言葉を失い、口をパクパクさせている。
―――――そんなビックリするんだ。まぁ、確かにビックリなんだけど。
「お、おぉ、ここ数百年で一番の驚きじゃ。お前さん達、いつの間にそんな仲に?」
やっとのことで声を取り戻したマーリンが尋ねると、腕組みをして溜息を吐いたミラーカが嫌そうに答える。
「そんな仲には一切なっていないわよ。ただの便宜上の政略結婚よ」
「あ、あぁ、なるほどのぅ。まぁ、そうじゃろうな」
「そうよ。アルカードと結婚するくらいなら、ジョヴァンニやクリスの方がまだ良かったわ。アルカードに比べたら坊やの方がまだマシなくらいよ」
「前から気になってたんですけど、なんでアンジェロだけ坊やなんですか?」
「坊やは名前負けしすぎて、名前が可哀想で呼びたくないのよ」
「ミラーカさん、ヒデェ」
アルカードにもアンジェロにもヒドいミラーカ。
ちなみにミラーカが今回ついてきたのは、
「いつもあなた達ばっかりマーリンに会いに行って、ズルいわ。私もマーリンとエレインに会いたいわ。連れて行ってちょうだい」
と、駄々をこねたからである。
ある程度予想してはいたが、アルカードもミラーカも不機嫌になってしまって、いっそうギクシャクした。
「でも、私はいいと思うんですけど。なんだかんだでアルカードさんが一番信頼を置いているのはミラーカさんじゃないですか。イタリアの戦争の事も、ベトナムでケンカした時も、その前からだって、いつもアルカードさんを諌めて傍にいて一緒に考えてきたのは、ミラーカさんだったじゃないですか」
「確かにミラーカは特別には思うが、それとこれとは別だ」
「そうよ。それに今更と言うのもあるし、なんて言うのかしら――――勿体ないのよ」
「勿体ない?」
「恋人なんて作ろうと思えばいくらでも作れるわ。だけど、お互いを深く理解しあって家族のように思える友達には、そうそう出会えないもの。そう言う関係を壊してしまう事は、ひどく勿体ないように思えるのよ」
ミナが思っている以上に、アルカードとミラーカの絆は深い。ミラーカはともかく、あのアルカードが、ミナと出会う100年以上前からずっと傍に置いていたのだ。
普通の友情や恋愛などとうに超越した関係で、とくにミラーカは恋愛を娯楽の一種と捉えているようで、そう言う考えの者からしてみたら、友達を恋の相手にすることは、降格に等しいのだ。
なんとなくわかるものの、ミナにはイマイチ理解に苦しむ考え方だ。頭の中で思考を纏めていると、アンジェロが爆弾を投下する。
「でもヤッたん痛ッ!」
即アルカードが殴った。
「貴様らの仕掛けたしょうもない罠に、そうやすやすとかかるわけがないだろう」
どうも寸止めの神が降臨したらしい。というか、“古いしきたり”を山姫が捏造したと言うのを廊下で話してしまっていたので、聞こえてきたアルカードは即正気に返って、さっさとミラーカを解放して後宮に帰したのだった。
「坊やと違ってアルカードは結構しっかり屋さんなのよ、坊やと違って」
アルカードとしては正直なところ、捏造が発覚しなければ、媚薬のせいで割とちょっとどうでもよくなっていたので、ミラーカに同調して自己弁護に回る気になれないようだ。
「なんで二度言うんですか。言っときますけどね、俺だってちゃんと寸止めしましたから! しかも超反省したし!」
「その時は、でしょ。坊やがすぐに盛って困るって、アルカードがたまに泣きついてくるんだから。少しは遠慮して頂戴」
「今は夫婦なんだからいいじゃないですか! 好きにヤりますよ!」
「あぁ、でも、そうね。遠慮しないのも腹は立つでしょうけど、遠慮されたらされたで腹が立つんじゃないの?」
「・・・そうだな。結局小僧はやることなすこと腹が立つ」
「600歳には刺激が強いでしょうしね」
「あー、流石にもう枯れたんじゃねーの」
「年寄り扱いするな。せめて口先を慎めないのか、お前は」
「いや、あの、3人とも子供の前でそんな話は慎んでほしいんですけど」
双子は引きながら話を聞かないように努め、話を聞いて様子を見ていたマーリンは笑っている。
「ほっほ、女はの、男と出会うと最初親友から始まって、その内恋人になって、別れた後にやっと普通の友達になるものなんじゃ」
その言葉を聞いて、ミラーカがマーリンを睨む。
「なによ、まさかまだ途中だとでも言いたいの?」
「何もそんな事は言っておらんよ。一般的にそう言うものじゃ、と言っておるだけじゃ」
「じゃぁ私はきっと一般の人とは違うから、一般論は当てはまらないわ」
「ほっほ、そうじゃろうのぅ」
マーリンにはミラーカの言い分が希望的観測に映ったようで、可笑しそうだ。それを察してか、結局アルカードもミラーカも不機嫌が直らない。
―――――全くもう、しょうがないなぁ。この二人は相変わらず貴族様なんだから。いっつもご機嫌取りさせられちゃうよ。
そもそも機嫌を損ねたのは、ミナが話を持ち出したせいである。なので、やっとのことで本題に入る。
ここにやって来た当初の目的が、双子が休眠期に入りそうなので、預かってもらいに来たと言う事を話すと、さすがにマーリンもその事はわかっていたようだ。
「15年か。短いのぅ。本当に休眠期なのかね?」
「まぁ、十中八九そうだと思います。夜も眠くなっちゃうみたいだし」
「そうね。休眠期前は時間を問わず眠くなるし、極端に力が落ちて活動するのが億劫になるわね。双子ちゃんもそう言う感じかしら?」
「そうですねぇ」
「聞く限り、双子は休眠期に入るとみて間違いはないと思うが、本当に良いのか?」
「ほっほ、勿論じゃよ。なに、渋ったわけじゃなくての、休眠期でもないのにこっちで暮らす羽目になったら気の毒だと思ったんじゃが、休眠期に入るのはいつかわかるかね?」
「12月25日です。今日は20日だから、残り5日で双子とマーリンさんであっちの話なんかを、と思ったんですけど」
「そうじゃのう。じゃが、残念ながら今日は7月2日じゃ」
マーリンの言葉に、みんなで「へ?」と硬直して、そもそも年号ついでに太陽暦を制定したのは第11次元に渡ってからだった(11次元には太陽暦がなかった!)し、時間差がそんなに綺麗に年単位でずれているはずがないのだと言うことに思い至って、アチャーと額に手をやった。
「・・・この場合、どうなるんですかね?」
「私達が暦に合わせて生きているとは思えないからな、体内時計に合せることになるはずだ」
「あぁ、じゃぁ結局5日後に眠っちゃうって事ですね。あぁ、ビックリした。あと5か月どうしようかと思った」
「わしも少しびっくりしたが、そもそも暦なんてのは人が勝手に作ったものじゃし、今のこっちの世界じゃ、あって無しがごときじゃしな」
「確かにそうですね。マーリンさんから見て、双子の休眠期ってどのくらいだと思います?」
尋ねると、マーリンは双子を手招きして、傍に寄った双子をじっと見つめて、首をかしげる。
「うーん、ハッキリとはわからんのう。30年~60年という所じゃろうか」
「そうですかぁ・・・・・まぁ、でも一応毎日様子を見に来ますよ。だから、10年に1回くらい?」
「そうだな。本当に、いいんですか?」
「勿論じゃ。あっちの話を聞くのが楽しみでのぅ。何があったかは双子から聞くことにするわい」
「話すこといっぱいあるよ。国の事とか」
「学校とか」
「切腹とか」
「鬼族とかホビットとか」
マーリンは愉快そうに笑って、双子の漏らした単語にワクワクしだした。
「わしも行きたいのぅ、見たいのぅ。行けないし行く気もないがのぅ」
「おじいちゃん、どっちなの?」
「一応ね、写真とかは撮って来たよ」
「ほう! そりゃ楽しみじゃ!」
一層盛り上がったマーリンは、すぐにミナに振り向いた。
「双子の事はわしに任せぇ。あぁ、棺はその辺でいいじゃろう。後で移動しておくわい。あぁ、血の心配もいらんぞ。戦時中に保存用として集めておったからの。安心せぇ。あぁ、勿論多少遅れてきても大丈夫じゃ。その間も双子の面倒はちゃんと見るし、代わりにわしの実験の手伝いをしてもらおうと思っておるしの。なんにも気後れすることはないわい」
なんとなく、超絶ワクワクしたマーリンが、早く双子の話を聞きたいからもう帰れと言っているような気がして、可笑しくなった。
「ありがとうございます。じゃぁ双子の事よろしくお願いします」
「あぁ、任せておきなさい」
「二人とも、マーリンさんに迷惑かけんなよ」
「「うん。わかった。お休み」」
「ハイハイ、お休み」
「では、マーリン、またそのうち」
「また会いに来るわね」
「二人も達者での。仲良く仮面夫婦するんじゃぞ。ほっほっほ」
上機嫌のマーリンと、見送る双子に手を振って、アルカードとミラーカは王宮に、アンジェロとミナは市庁舎にそれぞれ戻った。
帰って来た家は双子がいないとなんだか静かだ。二人で少し淋しくなった気がしつつ、でも、それも数日の事だと思いながら上着をポールスタンドにかけて、息をついて、二人でソファに腰かけた。
「なんかよぉ、本当に二人きりってスゲェ久しぶりじゃねーか」
「30年ぶりくらいじゃない? 双子も大きくなったしさぁ、たまには二人っきりの時間作ろ?」
「そーだなー。忙しいから旅行はできねぇけど」
「そもそも休みが合わないしさ、たまには休み合せて、二人でまったりしたい」
「そーだなー。一日中ミナとダラダラすんのも悪くねぇなぁ」
「ホント? じゃぁ月に一回くらいはそう言う日にしようよ」
「ハハ、月1は多くねーか? あんまダラけっと仕事行くの嫌になりそうで怖えぇな」
「アンジェロはいつも仕事最優先なんだから、月に一回くらい私最優先の日があってもいいでしょ?」
「俺はいっつもお前最優先なんだけどねぇ」
「ウソばっかり」
「ほーんとだって」
ウソつきっぽい顔をしてニヤニヤ笑うアンジェロとぱち、と目があって、何故かドキドキしだす。そしてアンジェロはアンジェロで、何故かムラムラしだす。
頬を撫でられて顎を持ち上げられて、目を瞑ると唇が重なった。この家で寝室以外でキスをするのは初めてだったので、妙にドキドキする。
恍惚とした頭でぼぅっとなっていたら、ソファに押し倒されて、相変わらずの手際よさでブラウスのボタンが外されていく。
「ちょ、と、待って。んっ」
首筋にキスをされたり、舐められてゾクリとした感覚が足の先まで駆け巡った。我慢しても堪らず声を上げる度に、自分がアンジェロを歓迎しているような気がして、別に嫌でもないのに抵抗のポーズをとりたくなる。
「アンジェロ、待って、ダメ」
「なんで?」
アンジェロは顔を上げて、何となく薄笑いを浮かべながらミナを見下ろして、左手でミナの頬を撫でる。
なんでと言われても、何と答えればいいかわからず、「えっと・・・」と口ごもっていると、アンジェロが左手の時計に目をやった。
「あぁ、ホントだ」
「え?」
すぐにアンジェロは起き上がって、立ち上がってしまった。何がホントなのかわからないミナはほったらかしで、アンジェロはポールスタンドからパルダンメントウムを取って、バサッと肩に羽織った。
「俺仕事あっから。飯はキッシュが食いてぇ。続きは帰ってからな。行ってくる」
一方的にそう言って、パッと消えてしまった。
よく考えたら、アンジェロは半年無休の罰だ。今日だって双子を送った後仕事に戻ることになっていたに違いない。
―――――んもぉぉぉ! またからかわれたぁー!! もうヤダ! あの劇薬男!
そうしてミナが地団太を踏むのを想像して、王宮についたアンジェロはほくそ笑むのであった。
★科学は農薬を生み出すが、それを使うなとは言ってくれない




