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コントラクト 3 ―宿命の契約―  作者: 時任雪緒
第4章 新天地で四苦八苦
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事件の影に女あり


「所長おはようございます」

「おはようございます」

「・・・・・おはようございます」

「どうしました?」


 出勤早々暗い顔のミナ。余計な真似をしてしまったが為に喰らった大目玉。アレが相当重度の罰で、加担者はみんなミナと同じ顔をしている。

「聞いて下さいよ、陛下ってばひどいんです! 6か月ですよ、6か月! しかも減給じゃなくて無給! どうやって生活すればいいんですか!」

「6か月無給・・・・・厳しいですね」

「双子くんたちもですか?」

「二人は加担してなかったから免れましたけど、子供の給料当てにして生活するなんてできませんよぉ」

「まぁ、そうですよね」

 研究所で仲間の博士たちに愚痴っていると、ちらほら博士たちも暗い顔になって、溜息を吐きはじめる。

「えー、じゃぁ所長スイーツもお預け?」

「・・・・・ごめんなさい、そんな余裕ありません」

「おつまみは?」

「無理です」

「えー、もう、所長の差し入れが楽しみだったのにぃ」

「給料入ったらいっぱい差し入れますよ。それより日々の食が・・・・・」

「貯金、あるでしょう?」

「ありますけど。官房長官はともかく、私薄給なのに!」

「パートと変わりませんものね」


 首都圏の平均年収は70万前後だが、閣僚であるアンジェロは100万を超えている。が、ミナは最低賃金からのスタートで、最近やっと年収20万になりそうなカンジだったのだが、この分だと10万円台になりそうだ。勿論“陛下の恋を応援する会”会長だったアンジェロも無給になってしまい、更に6か月休みなしで強制労働と言う罰だ。

 そもそもこの国はかなり物価が安い(日本と比較すると10分の1)、かなり切り詰めて生活すれば単身者世帯ならそれでも何とかなるし、アンジェロが高給取りなので貯金もたくさんあるのだが、今後の為にも可能な限り生活費で貯金を使いたくはないし、子供にたかりたくもない。

「でも、所長はいいじゃないですか。所長が薄給でも官房長官は沢山もらってるんだし」

「そうですよ。あたし達も所長と同じ給料ですけど、夫婦で同じ金額ですからね!」

「ここが日本なら、所長は専業主婦で十分だと思いますけどね」

「そうですけど、無駄遣いしたら官房長官に怒られちゃうんです。貯金か、イベントか、使うべき時にパッと使うみたいなのじゃなきゃ」

「使うべき時って?」

「えと、こないだ市庁舎に氷室作ったんです。もう暑いから文官さん達の休憩所になる様にと思って。そう言うのは喜んでましたけど、日々の生活で贅沢しようと思ったら超怒るんですよ。市民に反感買ったらどうすんだ! って」

「あー、まぁ、でしょうね」

「ていうか、所長って結構面倒見いいですよね。差し入れ持ってきてくれたり、氷室作ったり、人にお金かけますよね」

「だって、喜んでくれたら嬉しいじゃないですか。官房長官はそう言うのは許してくれるんです。私がいい顔してれば政府の評判も上がるからって」

「腹黒いな・・・・・」

「所長の長所も、官房長官にとっては政治の武器なんですね」

「元からそう言う人でしたけど、今は余計ですよ。陛下の下で直で働いてますから」

「あぁ、多大なる影響を受けそうですね」

「そうなんですよ。たまに報告とかで王宮に行くでしょ? 私が用があるのは大体フォンダート大臣の所が主ですけど、たまに陛下にも謁見したりするんですけど、なんかもう、あの二人が揃ってる時の雰囲気が怖い!」

「怖いって?」


 先日、経済産業省と国防省と農務省と提携してやっていた“モクモク農園”の報告に行った時のこと。

 未開の地を開墾して、そこに広大な畑を作った。労働者は解放された奴隷たちを雇用主が放棄してしまったので、元奴隷を雇い入れた。プラス軍人。アディルフから仕入れた品種で畑を作り、それを製品化して国営で販売しようと言うことにしたのだ。その製品は、煙草だ。

 ミナの研究所も、農業技術や灌漑整備、製造化の手段なんかでその事業に関わっていて、クラウディオや虎杖たちと一緒に報告に行ったのだ。

「市場を拡大しようと思ったら、やっぱり葉巻か刻み煙草ですね。紙巻はそもそも紙がありませんし、この辺は昔から噛み煙草を常用してたみたいですけど、ウッカリ誤飲すると急性中毒になって危険ですし」

 それで、とりあえず製品として上がったのが葉巻と刻み煙草(パイプや煙管)だ。山姫の部下たちは日本人が多いので、喫煙者のほとんどが煙管派になったが、西洋人は葉巻に移った。

 葉巻と言っても、それまでが紙巻だったので、紙巻と同じくらいの細さで、本物の葉巻ほど着火に手がかからないように、中には巻いた葉よりも刻んだ葉を多く入れている。

 試作品としてアンジェロにあげたスリム葉巻は結構気に入ったらしく、そもそも忙しくせっかちなアンジェロは、着火に手間がかかる葉巻は嫌いらしく、しかも途中で飽きたりするらしいので、他の葉巻派のメンバーにもスリム葉巻は好評だった。

 煙管の方も、煙管に刻み煙草を詰めるだけなので、道具さえ持っていればいい。海の向こうの大陸にある大国、閨秀けいしゅう国から仕入れた竹で羅宇を、錫で吸い口、火皿、雁首を鋳造した。

 錫はある程度の強度がありながら比較的低温で加工がしやすく、古代から珍重されてきたものだ。青銅なんかは銅と錫の合金である。青銅の冶金は第3次元でも5000年以上前から存在していたもので、青銅自体はVMRにも古来から存在した。


 ただ、葉巻にせよ煙管にせよ問題点があって、葉巻はその葉を巻く技術、煙管は冶金と加工の技術で、職人を育成するところから始める必要がありそうだ。

「そうか、まぁ嗜好品だし、私は煙草を吸わないから、事業が上手くいかなくても、どうでもいい」

 陛下は乗り気じゃないらしい。が、ここで喫煙者たちが頑張る。

「紙巻煙草と違って、こちらはアディルフ葉100%なんです。こう言った煙草はコーヒーやチョコレート、酒とも相性がいいのですよ」

「これらの製品も製品化して、一緒に売れば一気に市場が拡大します」

「どれもこれも嗜好品だな」

「仰りたいことはわかります。ある程度経済が発展して、市民生活が安定しなければ嗜好品に手を出す余裕はないでしょう。しかし、これが経済発展の足掛かりになると思うのです」

「確かにそうだな。まぁ良い。認めよう」

「ありがとうございます!」

「しかし、優先すべきは穀物や農作物の方だ。嗜好品は片手間程度で構わない」

 確かにそうだな、と俄かに落胆していたら、ずっと話を聞いていたアンジェロがアルカードに営業スマイルを向けた。


「陛下、御存知ですか? 煙管は麻薬の吸引にも使われるんですよ」

「麻薬・・・・・麻薬は敵だろう」

「えぇ、そうですね。煙管を製造して、阿片やマリファナと一緒に、ロダクエ(南米)に輸出すると言うのはどうでしょう? 莫大な金が手に入り、かつロダクエの住人たちを廃人にできますよ」

「あぁ、それはいい。そうしよう」

「ありがとうございます。その際VMRでの使用は禁止に致しましょう」

「あぁ、輸出限定として製造し、国内の市場に出回らせるな。国内での使用者は即死刑だ」

「かしこまりました」

 あっさり可決。嗜好品があったら嬉しいな、程度で思いついた“モクモク農園”プロジェクトだったが、阿片戦争の引き金になりそうだ。



 話を聞いた研究仲間たちはドン引いた。

「陛下怖っ!」

「官房長官怖っ!」

「ていうか、あっさりOK出すんですね。そんな恐ろしいこと考えて」

「あの二人は敵を倒すのに手段を択ばないタイプだから・・・有効な手段なら卑怯でも非道でも飛びつきますよ」

「スゴイですね。陛下や官房長官が敵国の人じゃなくて良かった」

「本当に。味方でいるうちは、これほど心強い味方っていないと思いますけど、たまに、なんで官房長官と結婚したのか、わかんなくなる時がありますよ」

「あー・・・・」

「確かに。所長って結構普通の人なのに、陛下も官房長官も、ある意味カリスマですよね」

「ついていくの大変そう・・・・」

「滅茶苦茶大変ですよ。まぁ、官房長官は家ではマイホームパパですけど」

「それ、全然想像つかないんですけどね」

「そうですか? 双子も可愛がって、まぁ厳しくしてますけど、結構仲良しだし、ラブラブですよ」

「ぜんっぜん、想像つかないです」

「そうですか?」

「だって官房長官、女の扱いが・・・・・」

「え!? なんですか!」

「いや、そういうんじゃないんだけど・・・・・」


 環境担当の主任であるレオナルドが、インフラ整備に関わる予算の事で経済産業省の金座担当クライドに相談に行った時のこと。話が終わって二人で廊下でお喋りしていたら、角を曲がったところでアンジェロの声が聞こえた。話しかけようとすると、アンジェロとクミルと、文官補佐として就いていた事務員(女2名)がいた。

 ふと、アンジェロがふらついて壁にもたれて、持っていた書類をばら撒いた。

「官房長官、大丈夫ですか?」

 咄嗟にクミルが駆け寄ると、大丈夫、と言って離す。溜息を吐きながら、事務員たちも書類を拾うのを手伝っていたのだが、アンジェロはまだ元気がない。

 事務員Aがアンジェロに尋ねた。

「お加減が悪いんですか?」

「いえ、大したことはありませんよ。休みなしで最近多忙だったものですから、少し疲れが溜っているだけです」

「どこかで少しでもお休みになられてはいかがですか?」

 事務員Bの言葉にアンジェロは物憂げに微笑み、

「いえ、この調査書類は今日中に統計をとらなければならないので。心配してくれているんですね。ありがとうございます。ですが、大丈夫ですよ」

 そう言って事務員2人に優しく微笑む。普段強い男がちょろっと弱いところを見せると、女性はキュンキュンくるものである。

 事務員Aが書類を奪い取った。

「これは私達が致しますから。統計くらいなら私達にもできますので」

「官房長官は、どうかお休みになってください」

 事務員Bが仮眠室に行くように、クミルに促す。そう言われてアンジェロは

「ありがとうございます。では、少しだけ」

 と言って、優しく微笑みクミルと立ち去って、事務員2名は心配そうに見送っていた。

 角を曲がってレオナルドとクライドに遭遇したアンジェロ。

「あぁ、お疲れ様です。珍しいですね」

 ぜんっぜん、普通だった。わかっていたのか、クミルは呆れたようにして溜息を吐いている。

「官房長官、今の、なんスか」

「私は仕事が忙しいので。他の人より仕事量多いですし。あぁすると女がやってくれるんですよ。ジュリアーニ主任とバロウ頭取もやってみるといいですよ」

 そう言って、アンジェロはスタスタとクリスティアーノのオフィスに遊びに行った。



「・・・・・」

「腹黒い・・・」

「官房長官、そういう人だったんだ」

「・・・全く、あの人は・・・」

「クミルは秘書だし、パパ友ママ友ですからね。その辺分かってるみたいですけど、アレを常々目の当たりにするのは嫌そうでしたよ」

「でしょうね・・・・・あの人そんな手を使ってサボッてたんですね。長時間労働してるのに、やたらタフだと思ったら・・・・・」

「昔はそんなことなかったんですけどね。仕事モード入ったら仕事に熱中してたんですけど。今と昔では仕事内容が違うってのもあるでしょうが、今は仕事量が多すぎるのと、女性事務員がいるし、元々あぁ言う性格ではありましたから、余計でしょうね」

「でも! もし事務員さんが官房長官好きになっちゃったらどうしよう!」

「どうもすることないでしょう。官房長官は所長にメロメロですよ。事務員が誘惑して来てもバッサリ断りますよ」

「えー、そうかなぁ。なんか心配」

「大丈夫ですよ。官房長官は外務大臣や陛下に、いつも所長の自慢をして惚気ていると、バロウ頭取が言ってましたから」

「えー、そうなんだ! 嬉しい!」

(所長、単純)

(この単純なところが、腹黒官房長官には面白いんだろうな)

 研究員たちはなんとなくそんな風に分析した。


 当然お喋りしながらも仕事はちゃんとしている。今取り組んでいる課題は、医療機器の製造だ。

 ガラス製品や金属製品は、冶金や鍛冶の技術を磨けば何とかなりそうなのだが、問題は石油製品の問題だ。

「やっぱりゴム管とかあった方がいいですもんね」

「動物の血管や植物の茎ではちょっとねぇ」

「石油、採掘しますか」

「でも、第3次元の温暖化を考えると、あんまり気が進みませんねぇ」

「しかし、石油もあったらあったで、経済効果も莫大なものになりますよ」

「こちらの構成が第3次元とさして変わらないなら、どこを掘ればいいかもわかってますしね」

「けど、この世界もこの国も、綺麗な国だから。汚しちゃったら勿体ないですよ」

 この世界には自然が多い。科学が発達していない分、あちこちに森はあるし、水は綺麗で湖や川は底が透けて見えるほどで、土壌も肥えていて、砂漠などもあるものの、ちゃんとオアシスもあって、本当に綺麗な世界なのだ。

 国民が生活しやすい環境を整えるのが仕事なのだが、出来る限り自然環境を破壊したくはないのだ。

 だから電力も太陽光や酸素や水素に頼ったもので、首都の外の住人達は狩猟を生業にしている者達もいるし、自然と共存していきたい。

 自然とのバランスを保ちながら科学を発展させることは難しい。少なくともミナ達の頭に収まっている科学は、自然を破壊して築き上げてきたものばかりだからだ。

 欲しいと言えば欲しい石油製品。

「加工がしやすくて、潤沢な資源」

「環境に悪影響を及ぼさないで」

「人体にも影響がない・・・・・」

 うーん、と悩んでいると、一人が手を叩いた。

「そうだ、砂漠! 砂漠があるじゃないですか!」

「砂漠? ・・・・あぁ! 珪砂!」

「そっか! 珪素! それなら工業にも建築にも応用できる!」

「樹脂化できれば医療にも使えますよ!」

「そうと決まれば、行ってきまーす!」

「早っ!」


 早速ミナは砂漠出張の許可を貰いに王宮に行った。まずは直属の上司、クラウディオの所だ。

「大臣、研究所のジェズアルド博士がお見えになりました」

「あ、お通しして」

「失礼しまーす・・・・・アレ?」

 クラウディオのオフィスでは、なぜかアンジェロとアルカードがチェスをしている。二人ともたまには息抜きをして遊びたいらしいが、王の間や執務室だと人目があるので、たまに他人のオフィスに逃げ込んで遊んでいるらしい。

 国王が来てしまったせいか、クラウディオは仕事中だと言うのに人払いまでしてある。迷惑な話である。

「おう、ミナ、お疲れ」

「チェック」

「あぁっ! ちょ、待て待て、考えさして」

「5・4・3・2・1・・・時間切れだ。チェックメイト」

「うわ、マジかよ。また負けた! もう一回!」

「お前、それ何度目だ」

「うるせぇ、勝つまでやらせろ!」

「断る。いい加減面倒臭い」

 仲間内でチェスの腕はアンジェロがダントツだったのだが、やっぱりアルカードの方が上なようで、アンジェロは勝つまで戦いたいらしく、しつこく食い下がる。

「いや、あの、何遊んでるんですか」

「お前は仲間に入れねーぞ」

「入らないよ。私はクラウディオに仕事の用事があって来たの。邪魔だから二人とも出てってよ」

「お前、国王に向かってその言い方は何だ」

「遊んでる人に言われたくありませんよ。ホラ、さっさと出てってください! 邪魔です! 何局も対戦したって事は十分サボったでしょ。早く戻らないと怪しまれますよ」

「んだよもー」

「ほら、アルカードさんも早く立ってください。じゃないとまた部屋で媚薬焚きますよ」

「・・・・・」

 二人は渋々部屋から出て行った。全くもう、と溜息を吐いていたら、クラウディオがクスクス笑った。

「サンキュ。助かった」

「もう、ディオも断ればいいのに」

「俺が断れると思う? あの二人を?」

「・・・まーね」

「なんだかんだでやっぱ一番強いのはお嬢だな。あの二人に邪魔とか出て行けなんて言えるの、お嬢か王妃しかいねーんじゃねーの」

「そーかなー?」

「そうそう。やっぱね、強い男ってのは、意外と影で女に操作されてるもんなのよ」

「そーかなぁ」

「そうだよ。そもそもこの国がこういう政策をとっているのは、お嬢と王妃の為なんだから」

「は?」


 実はそうなのだ。政治なんて面倒くさいし関わりたくないと思っていたミナとミラーカ。当然アルカードもアンジェロもその事はわかっていたが、政治の事なんかまったく知らないミナは、当然知らない。

 国の運営は一番忙しいのが建国して安定するまで、そして一番大変なのが安定してからそれを保持すること。

 つまるところ、国政に関わる人物は常に地味に多忙なのだ。一見華やかに見える支配者階級だが、地味で陰鬱で殺伐とした仕事が永久に大量に配給されてくるのだ。

 現時点でVMRは文明も未発達で種族同士が独立して好き放題やっている。正直国と呼べるような代物ではないのだが、それもこれも地味で面倒な仕事を嫌がったアスタロトの放任の為である。

 勿論アンジェロはその国の現状をちゃんと把握しているし、アルカードも支配しようとは考えているが、制圧しようとは考えてはいない。それぞれ種族はある程度の独立は必要だし、習俗や個々の文化を奪う事は、かえって国の発展の妨げになる。


 当然アンジェロやアルカードの性格からしてみれば、異種族の文明開化などどうでもいいし、異種族や悪魔などどれほど大虐殺しても少しも心は痛まないし、そちらの方がはるかに楽だ。

 正直他国との和睦や全土を支配することもかなりリスクを伴うのだが、

「人に優しく、みんな仲良く、みんなハッピーじゃなきゃヤダ!」

 とミナがうるさく言うのはわかりきっているし、

「この国には色んな種族の人間がいて色んな文化があって、芸術品もとても面白いから、たくさん貿易して頂戴」

 と、ミラーカが贅沢病を発揮するのは目に見えている。

 なので、各種族との均衡を図りつつ、国内の情勢を安定させつつ、国力を付ける必要がある、と言う非常に面倒な事をしなければならないわけだ。

 自分達の安息の地を確保し、「ミラーカが文句を言うから」「ミナが嫌がるから」と言う理由で二人はそう言う考えに至ったのだ。


「そうだったんだ・・・知らなかった」

「今の政策も、今お嬢や若や俺達が超多忙を極めてるのも、結局はお嬢と王妃の我儘のせいって事だ」

「そんなバカな・・・・・」

「あはは、案外為政者ってそんなもんなんじゃねーの」

 実際国王が女に振り回されるなんてことはよくある。よくよく考えてみれば、アルカードは昔からミラーカだけは特別待遇だったし、なんとなく我儘を言われたら逆らえなかったんだろうと考えると、

 ―――――ミラーカさん、「パンがなければスイーツを食べればいいじゃない」とか言いそうだな。

 とか思ってしまって、ミラーカが第11次元のマリーアントワネットにならないことを祈るばかりだった。



★事件の影に女あり

――――――――――フランスの慣用句

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