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コントラクト 3 ―宿命の契約―  作者: 時任雪緒
第2章 悪魔の二次関数
28/96

友とぶどう酒は古いほど良し


 受話器を持って聞き耳を立てるミナ。電話の相手は、こちらに戻ってきてから何度連絡しても電話に出た試しがない。

 しかし、かなり鳴らしていると、呼び出し音が途切れた。

「あっ、もしもし、つばさちゃん!?」

≪うん?≫

 電話口から帰ってきたのは男の声。第3次元から離れて40年も経っているのだ、電話番号が変わってしまったのか。

≪俺はつばさではない。アレスだ≫

「なんだ! アレスさんか!」

≪お前は誰だ≫

「私、ミナです!」

≪ミナか! 今どこにいる!?≫

「日本です! つばさちゃんは?」

≪つばさはあちらにいる。あちらで仕事があるからな≫

「あ、そうなんですか。なんでアレスさんだけこっちに?」

≪お前達から連絡が来ているかもしれないから、たまにつばさと交代でこちらに来ている≫

「あ、なるほど。ていうか、教えてくれてありがとうございました。あのままだったら100年くらい経ってたかも」

≪いや、話していなかったこちらも悪い。つばさを呼び戻すから、近いうちに落ち合おう≫

「わかりました」



 そして一週間後、東清京はアレスが働いていたバーの跡地。このバーのオーナーはつばさの幼馴染で、エンジェルには感染したもののその時は既に高齢で、発症することなく天寿を全うしたそうだ。

 今はカフェになっているこのお店で、ミナとアンジェロと双子、そしてアルカードとミラーカも一緒に待っていると、ベルが鳴ってつばさとアレスがやってきた。

「つばさちゃん!」

「ミナ! ごめんね!」

 やはり若々しい姿のつばさ。ミナ達を待つために、異次元で待っていたようだ。

「ゴメン、話しておけばよかった。こんなことになるなんて・・・」

「ううん、つばさちゃんのせいじゃないよ。教えてくれてありがとう」

 つばさは責任を感じているらしく、アレスと共に浮かない顔をして腰かけた。そして、ミナ立を呼び戻すに至った経緯を語り始めた。


「実はさ、もうずっと昔に、異次元に行ったことがあって・・・」

 会社で課長に昇格したつばさ。お祝いに、とアレスの上司である皇帝が、宮中に招いてくれることになった。

 盛大な宴を満喫して、翌日休みだったこともあって、その日は第11次元に泊まることにして、翌日目が覚めてから第3次元へ戻ってきた。

 その足で、祝ってくれたお返しにと、何か面白いものがないかと秋葉原に散策に来たところでミナに再会した。

「えっ、じゃぁ」

「そ。その時は既に10年くらい経ってて、家を出る時は気付かなかったけど、郵便受けはイッパイだし、会社からは除籍されてるし、電気も水道も止まってるし、途方に暮れたね」

「うわぁ、でも、マンションでしょ? 家のお金はあったの?」

「あぁ、マンション代は給料口座から直接引くようにしてたし、生活費は別に管理して、給料口座を貯蓄用にしてたから、何とかギリッギリ10年分は払ってた」

「よかったねぇ」

「だからあの時、ミナからお金貰ったじゃん。マジ助かったよ。あと、迷惑料も」

「つばさちゃん、言ってくれれば融通したのに」

「本当、今思うとね・・・」

 つばさはミナ達に迷惑をかけるわけにはいかないと思い、黙っていたようだった。

 家だけはあったので、再就職先を探して、何とかありつけた。つばさの実績は実に輝かしいものだったので、そこまで職探しに苦労はしなかったようだ。

 そして、ミナ達に貰った大金でマンションの残りの代金を支払い、何とか住処だけは取り留めた。何よりつばさの住む部屋はあちらとこちらのドアなので、手放してしまうわけにはいかなかったのだ。

 しかし、当然不審に思われる。10年も行方をくらませて、年齢の割に若々しく、友人や知人になど会えるはずもない。

「だから結局、あたしは第11次元に行くことにしたの」

「つばさちゃんも大変だったんだねぇ」

「や、それ以上に慌てたよ。アンタから来たメール見た時」

 第11次元と第3次元の時間差は十分わかっていたため、ミナ達の事もあるし度々第3次元に戻ってメールなどのチェックはしていた。

 すると、前日にミナから来ていたメール。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

TO:つばさちゃん

 これから第11次元に遊びに行ってくるね! 一週間経ったら帰ってくる! お土産楽しみにしててね!

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 慌てて引き留める旨を記したメールを送信しても、当然前日なので帰ってこない。シャンティに電話をすると、とっくに行ってしまったと言う。

 そこですぐさま第11次元に行って、ヘルメスの飼い鷲である赤鷲に手紙を運ばせたと言うわけだ。

「あのトリはヘルメスさんのペットだったんだ」

「そうだよ。あの赤鷲に魔法をかけて、鷲の目で見た物を見えるようにして、探し回った。そしたらアンジェロが市長だとかいうビラを見かけたから、市庁舎に飛ばしたの」

「なるほど・・・」

「海峡越えもしなきゃいけなかったし、おかげで時間かかっちゃって、本当、ゴメン」

 道理で、と納得した。つばさの手紙には10年と書いてあったのに、実際には40年経過していた。赤鷲が海を越えてミナ達を探し回っている間に、何日も経過してしまったのだろう。

 つばさは申し訳なさそうに頭を下げる。つばさは何も悪くない。ミナ達を必死になって探して、連れ戻してくれた。

「つばさちゃん、頭上げてよ。つばさちゃんのおかげで帰れたんだから。つばさちゃんは何も悪くないよ。つばさちゃん、ありがとう」

「ミナ、アンジェロも、本当にゴメン」

「いーって。助かったよ。ありがとう」

 アンジェロも同調してそう言っても、つばさは辛そうに顔を歪める。

「あたし、許せない。アンタ達を騙して、その間にこっちの世界の人間を滅ぼそうだなんて」

 その言葉にアレスも頷く。

「全く、悪魔はロクなものじゃないな。戦争吹っ掛けるか」

「あの、アレスさん、アレスさん達が戦争してもあんまり意味ないんですけど」

「む。確かにな」

 

 好戦的なアレスに少し引いたが、この様子をずっと黙って聞いていたアルカードが口を開いた。

「つばさ、久しぶりだな」

「ご無沙汰してます、伯爵」

「え? 初対面じゃないの?」

 つばさに向くと、力なく笑う。

「そりゃ、伯爵が帰ってきてこっちでは30年経ってんだよ。伯爵が帰ってくる時期は聞いてたし、その時期に合わせて一回戻って、一度会ったことがあんのよ。その時にミナ達が騙されて第11次元に来てるから、すぐには帰ってこれないってことは言っておいたの」

「えぇ、でもじゃぁつばさちゃん、あっちとこっち行き来して大変だったねぇ」

「ま、そんくらいはね。ていうか、ヘルメスのがクタクタだったけど」

 時間に押されての移動だ。つばさのマンションの異次元ドアは、あくまで通じやすい場所として利用している。それ以外の場所に通じさせることも可能だが、魔力の消耗が激しいようだ。

「ヘルメスさんにもお礼しなきゃ」

「いらんいらん」

 なぜかアレスが断った。


 とりあえず、とアルカードが身を乗り出した。そして、話すように促され、第11次元にいた間の事や、革命の事、そして戻ってきてからミナが契約してしまったことをつばさ達に伝えた。

「ミナ、お前、なんてことを」

「アンタ、それじゃアンジェロが契約した意味がないじゃない」

「・・・うん。わかってる。だからせめて、願いの力で“エンジェル”を治す」

 そう言うと、つばさは眉を顰めた。

「アンタ、相手は悪魔だよ。そう簡単にいくわけないでしょ。病気が治ってハイお仕舞じゃ済まないよ」

 つばさの言葉を聞いて、アルカードも会話に入ってくる。

「そうだな。間違いなく第3次世界大戦が勃発する。国連を脱退すればいいだけの話だからな」

「それに、病が治れば堰を切ったように犯罪が横行する」

「それはわかるけど。じゃぁどうすればいいの? ウイルスを消さなきゃ、人間は絶滅するんだよ」

 混乱した世界か、絶滅か。当然絶滅するよりは戦乱の世の中の方がマシだ。しかし、好ましくはない。

 頭を悩ませていると、つばさが言った。

「ミナ、大きな用件で悪魔に頼るのは、もうやめた方がいい。何が起こるかわからないからね」

「うん。でも、ウイルスが・・・」

 解析は不十分。研究の成果は表れない。努力するつもりでいるが、効果が全く現れないのだ。

 不安げに見上げるミナに、つばさは真っ直ぐ見つめて言った。

「ヘルメスから助言。例の“エンジェルウイルス”だけど、もしかしたら科学だけでは解明できないかもしれない」

「うーん、確かに何十年も研究してるのにわからないし、私が調べても、全然・・・なんていうか、辻褄が合わないの」

「おそらく、悪魔の呪いか何か、魔力が絡んでるんだと思う。で、こっちの魔術師の彼、あの人に相談してみたら、って」

 つばさの言葉にハッとして、すぐに最強の魔術師、マーリンが浮かんだ。

 その様子を見て、つばさは雑誌を取り出す。

「ゴシップ誌で、信憑性は薄い。この患者の勘違いだって言われてるけど」

 その雑誌の記事にはこうあった。


【奇跡の回復。“エンジェル”を克服した、神の加護】


 その記事に載っていたのは修道院の修道女。感染後、他の患者が耐えかねて、彼女を襲った。そして発症したが、彼女は神に祈りを捧げ続けた。そして、どういうわけか彼女の症状は快方に向かっていると言うのだ。

 当然、そんな非科学的なことなど誰も信じない。面白がられているだけで、本人は本当は感染していなくて、襲われたトラウマで発症したと思い込み、似た症状が出ているだけだ、という精神科医もいる。

 どちらかというと、その精神科医の方が医学的にも説得力があるので、ゴシップ記事なんかに載っているのだ。

 しかし、可能性はゼロではないと思い、つばさはこの記事を見せた。そして、つばさはアンジェロに向いた。

「もしコレがウソじゃなかったら、アンジェロの出番じゃない? お祈りなら十八番でしょ、ジェズアルド司教」

 誓う者、祈りを捧げる者、勧告する者。エクソシストの語源である。クリシュナが言っていた。今や発症しないのは聖職者位であると。それは生殖行為が禁忌であるから、というだけではないのかもしれない。

 国レベルで生殖行為を禁じる国も現れ始めた昨今、宗教は急速に勢力を拡大している。

 話を聞いて糸口を見つけたのか、アルカードも顎に手をつきながら唸ってみせる。

「確かに、宗教国家が確立すれば、一時的ではあるが第3次世界大戦を免れられる可能性はあるな」

「なるほど。この記事が真実で、エクソシスムで病が治るとなれば、宗教国家なら破綻することはねぇな」

「なるほど! アンジェロはその道のプロだし、やってみ・・・あ、でも・・・」

 急に不安を感じた。ミナの不安もわからなくはない。アンジェロは吸血鬼なのだ。人間だった頃のように、サクラメントなどできようはずがない。

 その様子を見たつばさはニッと笑う。

「当然、吸血鬼のアンジェロじゃ、できないこともあるでしょ。だから、彼に聞くのよ」

「そっかぁ!」

 つばさの持ってきたヘルメスの助言。世界最強の魔術師の存在。悪魔と信仰の戦い。新しい希望。それにミナ達は胸が躍った。


「そうだよね! なんでもかんでも悪魔に頼るのはよそう!」

 そう言って奮起するミナを見ていたアルカードが、急にアンジェロに向いた。

「お前は市長と言ったな。どんな街だ」

「あぁ、あの悪魔の国の首都だ」

「ほぅ・・・」

 なぜかニヤニヤするアルカード。それを見て閃いた顔をしたアンジェロに、アンジェロの思考が伝わったのか、余計ニヤニヤする。

「小僧も面白いことを考えたな」

「まーな。どーせならそっちに願い使おうぜ」

「そうしよう」

 ドSコンビ以外は依然として仲間はずれなのだが、何かが決定したようだ。


 結局つばさ達は第11次元に帰るのだと言う。

「あっちで会えるかな? 敵国だし、会えないかな?」

「俺がエレストルに侵攻してきたら会えるぞ」

「ちょ、つばさちゃんを戦争に巻き込まないでくださいよ」

「そーだよ。アンタと一緒にすんな」

「スマン」

 どうも戦争狂のアレスはエレストルに遠征したいらしい。困ったイノシシ野郎である。

 なぜかアンジェロは難しい顔をしながらアレスを睨んでいる。それにアレスが気付き少し機嫌を悪くしたのだが、アンジェロはおもむろにアレスの首根っこを掴んで、額同志をくっつけた。

「・・・・熱などないぞ」

「そーじゃねーよ。気持ちワリィから静かにしてろ」

「気持ち悪いのはお前・・・・・・・・・!」

 言葉を切ったアレスは驚いたようにして、アンジェロが離してから額を離すと、すぐにニヤリと笑った。それを見てアンジェロも満足そうに息を吐く。

「OK?」

「あぁ。いつだ?」

「まだずっと先」

「そうか。楽しみにしている」

「ハハッ、お前ならそう言うと思った」

 ここでもこの二人以外は置き去りだ。アルカードだけはわかっているようで満足そうにしている。いい加減蚊帳の外な女性陣は不満だ。

「アンジェロ、なに?」

「ヒミツ」

「アルカード、何なの?」

「ヒミツだ」

「アレス、何よ?」

「ヒミツだ」

 男どもの秘密主義にいよいよ女性陣はむくれる。すると、双子がニコニコ笑いながらミナとアンジェロの間に割って入って来た。

「あのねー」

「お父さんはねー」

「バカ! 言うな!」

「「むぐっ」」

 さすがに純血種なだけあって、テレパシーを傍受してしまったようだ。慌ててアンジェロとアルカードで双子の口を塞いで、そのまま双子に二人がかりで「内緒にしていろ」と言い聞かせる。

「「どうして?」」

「悪魔に聞かれたら水の泡なんだよ」

「「あ、そっかぁ」」

「おい、金、黒。これは男だけの秘密だ」

 アルカードにそう言われた双子は、何故か目を輝かせる。

「男の秘密!」

「なんかカッコイイ!」

「そーそー。だからお前らも黙ってろよ。ミナにも内緒な」

「「うん! わかったー!」」

 ハイテンションな双子に、更にアルカードが畳み掛ける。

「絶対に言うな。男同士の約束だ」

「「男同士の約束!!」」

 なぜかはしゃぐ双子。年齢からして、ヒーロー的なものに憧れるお年頃である。勇気だの正義だの男同士の約束だの、ヒーローアクションで頻発する単語は大好きらしい。


 結局男同志で秘密にされてしまって、仲間外れの女性陣。

「ハッ、なんだかんだ男って徒党組みたがるんだよね」

「私達には内緒にして、ズルいわね」

「結局男の人って、男同士でいる時が一番楽しそうなんですよね」

 むくれる女性陣を見て、アルカードがおかしそうに笑う。

「そう拗ねるな。今はまだ時期ではない。その内話してやる」

 それを聞いて、ミナは一層不服に思った。

「そんな事言って、アルカードさん休眠期のことだって、その内教えるって言って教えてくれなかったじゃないですか!」

「当然だ」

「当然って・・・」

「お前に話すとすぐボロが出るからな」

 やはりアンジェロの推論通りだったようだ。

「言ったではないか。ある意味お前が一番信用ならん」

「確かにな」

「ヒドーイ! なんでアンジェロまで肯定すんのよ!」

「そりゃなぁ。お前バカだから」

「仕方がなかろう。バカなのだから」

 ミナを攻撃する時だけ意気投合するところは、相変わらずの様である。こぞってバカと言われてさすがにムカついたが、この二人が徒党を組んだら、とてもではないが勝てる気がしない。


 イライラしていると、つばさとミラーカはクスクス笑い出し、ニヤニヤしたつばさがアレスの肩を叩いた。

「じゃぁさ、アレス。あたしには教えてくれるでしょ?」

「あぁ、あちらに戻ったら話そう」

 続いてミラーカがアルカードを見上げる。

「アルカード、私には話してくれるわよね?」

「勿論だ」

 ミラーカとつばさはバカではないので、教えてくれるようだ。当然ショックを受ける。

「えぇぇぇ!? ちょ、私だけ!? 私だけ仲間外れ!? アンジェロ! 教えてよ!」

「やなこった」

「ヒドーイ! もー! 教えてよ! 教えて! 教えて!」

「うるせぇ、バカ。黙れ」

「んもぉぉぉ! ケチ! バカ!」

「バカはお前な」

 結局ミナだけ仲間外れだ。ムキー! と憤慨しながらおしぼりを引き千切るミナを見て、みんながクスクス笑っている。余計に腹が立つ。

 それから何度懇願しても、散々抗議しても

「うるせぇ」

「黙れ」

「ウゼェ」

「鬱陶しい」

 アルカードとアンジェロに、交互に冷たくあしらわれた。


 結局ぶすくれたまま、つばさ達と別れる羽目になった。

「プクク、あぁー面白かった。アンジェロ、伯爵、その調子でミナをイジメてね」

「任せておけ」

「最早ライフワークだぜ」

「最悪・・・」

 確かにアンジェロの言う通り、このドSコンビにはライフワークである。結局イライラさせられたが、久しぶりにつばさと会えたことはとても嬉しかったので、さっさと切り替えることにした。

「つばさちゃん、アレスさん、本当にありがとう」

「んーん。あたしも責任あるし」

「そんなことないよ。つばさちゃんのお陰で早く帰ってこれたんだもん。ヘルメスさんにもお礼伝えておいて」

「うん、わかった」

 そう言って二人で笑顔で別れようとした時、つばさが頭を撫でた。

「ミナ、アンタ、あんまり無茶しないでよ」

「・・・うん」

 恐らく悪魔と契約してしまったことを言っているのだろう。心配させてしまったことを申し訳なく思って俯くと、つばさはポンポンと頭を撫でた。

「ま、過ぎたことはしょーがない。アンジェロもミナも契約しちゃったんなら、二人で散々悪魔をこき使ってやりゃいいわよ。頭の出来で言ったら、伯爵なら悪魔とも対等に渡り合えそうだし、あたしとアレスもいるから。あっちに来ることになったら、何でも言って」

 つばさの励ましに、つばさの友情に、胸が熱を帯びる。自分は周りに恵まれていると、心から思った。

「ありがとう。つばさちゃんも困ったことがあったら何でも言ってね。私にできる事なら、何でもするから」

「うん。ありがとう」

 つばさとは15歳の時から、高校時代からの付き合いで、古い古い友人。長い付き合いになる。

 友情は、長続きしないことがある。特に女はその傾向が強い。それでも長く続く友情は、本物なのだろう。

「つばさちゃんが友達で良かった」

 そう言って笑ったら、つばさも笑った。

「あたしも同じこと思った」


 ミナの為に奔走してくれた。気を遣って、いつも助言をして励ましてくれる。

 持つべきものは、友達だ。


★友とぶどう酒は古いほど良し

―――――――――イギリスの諺


※サクラメント――秘跡

叙階や洗礼、婚姻など、神の恵みを人間に与える儀式のこと。秘跡によっては司教以上の権限を持つものでなければ、施せないものもある。

ちなみにアンジェロ達やアルカード、ミラーカも人間時代にすでに洗礼や堅信などの秘跡を受けている。

また、エクソシスムは洗礼の際に司教以上の権限を持つものによって施される儀式である。

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