動き出す
@放課後―北高2年廊下
授業も終わり、放課後の廊下は未だ賑わっていた。
その中陽真と魅風は人とぶつかりながら歩いていた。
「もうこいつら邪魔くさいよ・・・。さっさと帰ればいいのにー・・・」
「魅風、それ結構ひどいよ。それにしてもわさわさ居るね、帰ればいいのに。」
「陽真こそひどいと思うけどな!」
時折毒舌な陽真に魅風が突っ込みをいれる。
いつもの光景である。
そんな時、誰かが後ろから陽真の肩をトントンと叩く。
2人が振り向くとそこには進藤が居た。
「進藤先生じゃないですか。どうしたんです?」
あぁ、と進藤は困った顔をしてしばらく唸っていたが、意を決したように真面目な顔になった。
そして―
「雪澤、世界救わねぇ?」
「「は」」
気の抜けた声が陽真と魅風から発せられた。
こいつ大丈夫か、と言いたげな表情をしている陽真の横で魅風は笑いを堪えながら
「ぷっ・・・!・・・頭おかしくなった?」
と罵った。
進藤は苦笑いした。
「そう思われてもしょうがないんだけどねぇ・・・。先生は本気なんだよね。」
進藤は真剣な表情をした。
それを見た2人も真剣な表情になり、陽真が進藤に言った。
「もう少し詳しいお話聞かせてもらえません?」
@放課後―北高会議室
進藤が麦茶を少し飲み、話す。
「お前らはもう立派な高校生だからわかるだろ。この世が壊れてるってこと位はさ。」
2人は目の前に置かれた麦茶を見つめながら聞く。
「まぁ先生はそれが気に食わない。この世が崩壊しかかってるのに何もできず見てるなんて反吐がでる。だから戦おうと思う。でも先生は知ってる通りどこにでも居そうなただの理科教師だ。今世間を騒がせているような能力なんて持ってないさ。」
「そんで、私たち能力者が・・・必要と?」
そう、この2人―加賀野魅風と雪澤陽真は能力者なのだ。
陽真の能力は「サイコロジー」。
あらゆる物の情報、相手の心、情報がよめる能力。
魅風の能力は「トライス」。
空間を一瞬で移動できる、所謂瞬間移動能力だ。
普段は能力者であることは伏せてあるが、学校や親は知っている。
進藤が知ってるのもおかしいことではない。
「そういうわけなんだよ。お前らの親にも許可とってあるし。」
「許可、されたんですか?」
陽真が不安げに聞く。
「おう。社会のために役立てるなら嬉しいと親御さんは言ってたぞ。後はお前らに判断を任せるらしい。」
「学校側にも許可はとったんでしょ?」
進藤は苦笑いしながら話した。
「校長先生からお許しのお言葉がでた。お前らの教育をきちんとするならいいとな。だから安心だ。残るは・・・お前らがどうするかだよ。」
沈黙が訪れる。
考え込む2人に進藤が優しく笑った。
「今はまだ答えを出さなくていいさ。考えてみてくれ。」
じゃあな、と言って進藤は会議室を出た。
@夜―雪澤家
「陽真」
陽真の母、がソファーで横たわっていた陽真を呼ぶ。
「何?」
「今日ね、進藤先生から聞いたの。―陽真の答え、聞きたくて。」
「僕は・・・。」
母の不安な気持ちが陽真に伝わってきた。
能力故、不安でいっぱいの母に本当の気持ちを伝えるわけにはいかなかった。
「いいのよ、陽真。行きたいんでしょ?」
「っ・・・!僕は・・・この能力が・・・役に立つなら・・・!」
陽真の青い目から涙が一粒、二粒と流れていく。
「僕だって不安だけど・・・!役に立ちたい・・・っ!」
「うん、分かった。応援してるから、ね。」
母が陽真の短い髪を撫でる度、涙が誘われるように流れていった。
@朝―北高玄関前
「陽真!」
声をかけられ振り向いた先には魅風がいた。
「陽真は・・・決めた?」
「決めたよ。僕は、先生と戦おうかなって。魅風は?」
陽真は笑顔で答えた。
魅風は微笑んだ。
「私も。」
職員室の前に行き、進藤を呼び出す。
「おう、お前らおはよーさん。・・・答えは出たか?」
2人は顔を見合わせ代表するかのように陽真が言った。
「僕たちは、戦いますよ。」
進藤はニヤッと笑い、陽真の頭をポンポンと撫でた。
「そうこなくっちゃな。」
皆さんこんにちは泰葉 湊都です!
第二部できました!
今回も進藤先生の言葉で終わりましたねなんてこったい
あ、ちなみに進藤先生おっさんです。30代くらいです。
作者の趣味ですすみません
次回は新キャラがわさわさ出るつもりなので頑張りますw
閲覧ありがとうございました!