第1話 玄関に立ちはだかる双子、彼氏候補は即退場
私には、どうしても彼氏ができない。
理由は単純で、しかも最悪だ。
――双子の弟たちが、シスコンすぎる。
同じ顔で、同じ声で、同じタイミングでため息をつく二人。
「姉ちゃんに近づく男は全員アウト」
それが彼らの合言葉らしい。
恋愛禁止?
門限?
そんな可愛いものじゃない。
玄関、学校、スマホ、時には空気まで監視される。
私は自由恋愛がしたいだけなのに、弟たちは今日も本気だ。
「姉ちゃんが泣く未来は、俺たちが全部消す」
「そのためなら、嫌われ役でも構わない」
……重い。
愛が、重すぎる。
でも、嫌いになれないのが一番の問題で。
優しくて、頼りになって、私のことを一番に考えてくれる。
ただし、恋愛に関してだけは、世界一の敵。
これは、
双子の弟に人生最大の壁として立ちはだかわれた
私の――恋愛奮闘記である。
私には双子の弟がいる。
顔はそっくり、中身は真逆、そして――どちらも重度のシスコン。
「姉ちゃん、その男だれ?」
「名乗れ。職業、年収、血液型」
玄関先で仁王立ちしているのは、双子の弟・悠真と蒼。
私はただ、クラスメイトと帰ってきただけなのに。
「ちょ、ちょっと二人とも!? ただの友達だから!」
そう言った瞬間、二人は同時にため息をついた。
「“ただの友達”から始まる恋が一番危険なんだよ、姉ちゃん」
「統計的に見てもな」
いつ調べたの、それ。
結局、クラスメイトは「今日は帰ります……」と逃げるように去っていった。
私は玄関で膝から崩れ落ちる。
「まただ……また彼氏候補が消えた……」
⸻
双子は昔からこうだった。
私が髪を切れば
「短いのも可愛いけど前の方が好きだったな」
「誰に見せるために切ったの?」
服を変えれば
「露出多くない?」
「風邪ひくよ」
……彼氏じゃないよね? 弟だよね?
⸻
ある日、私は決意した。
「ねぇ、二人。私、ちゃんと恋愛したい」
真剣に言うと、双子は一瞬だけ黙った。
「……姉ちゃんが幸せなら」
「俺たちは反対しない」
――え?
希望が見えた、その直後。
「ただし条件がある」
「俺たちの面接を通過したら、な」
やっぱりダメだった。
⸻
それでも私は負けない。
なぜなら――
「姉ちゃん、今日の夕飯なに?」
「一緒に食べよ」
こんな弟たちだけど、
誰よりも私を大切にしてくれているのは、事実だから。
……ただ、シスコンすぎるだけで。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
この物語は、
「家族の愛がちょっと(だいぶ)重かったらどうなるんだろう?」
そんな素朴な疑問から始まりました。
双子の弟たちはシスコンで、行動も言動も過激ですが、
根っこにあるのは「姉に幸せでいてほしい」という、
とても単純で、まっすぐな想いです。
一方で、姉は姉で、
守られるだけではなく、自分の足で恋をしたい。
そのすれ違いが、この物語のドタバタと少しの切なさを生んでいます。
もしかしたら読んでいて、
「ここまで干渉されたら嫌だ!」と思った方も、
「ちょっと羨ましいかも?」と思った方もいるかもしれません。
でも――
誰かが本気で誰かを想う気持ちは、
形を間違えると、こんな騒動になるのかもしれません。
彼氏ができる日は来るのか。
それとも双子の面接は、永遠に突破できないのか。
その答えは、
もう少しだけ、彼らを見守っていただけたら嬉しいです。
最後まで読んでくださって、
本当にありがとうございました。
また次のエピソードで、お会いしましょう。




