転校するのは弟じゃない
少し遅れましたが何とかまとめました
蛍が眠りにつくのをまって部屋を出た。
一階のリビングに降りると、父親と花梨さんが待っていた。
「蛍は眠っています」
「そうか。驚かせたな」
「お薬を飲んだから、明日には元気になると思うわ」
「‥詳しく教えて貰えますか?蛍の事‥」
「実は私自身、詳しく分かっていない所もあるのだけど、できるだけ話すわ‥」
花梨さんはぽつぽつと今までの事を話し始めた。
「譲ちゃんも、もう知ったと事だけれど、私と蛍は普通の人と違う所があります」
「急に成長する事?」
「そうね。あと普通の人よりも少し、歳を取るのが遅いわ」
「どのくらい?」
「私の母、蛍の祖母は140歳で亡くなりました」
確かにそれが本当なら、最高齢記録を塗り替えていたはずだ。
「それは‥周りの人はどうだったの?」
「母は戦後の混乱で戸籍とかも無くしていて‥だからその事を知っているのは私と蛍と‥」
「俺だけだ」
「じゃあ蛍‥も?」
「寿命に関してはまだ分からないわ。祖母より前の先祖がどうだったかも分かってないの」
「そうなんだ‥」
「ただ、急に成長する体質が遺伝してると言うことは、恐らく‥」
「問題はこれからなんだが‥そう言う人達を迫害したり、排除しようとするヤツらが居る」
「なんで‥何も悪い事して無いのに?」
「馬鹿馬鹿しい話だが、未知への恐怖‥なのだろうな」
普段怒らない父親が吐き捨てる様に言った。
「だから私達はずっとこの事が知られないように、引っ越しを繰り返して暮らしていました」
「やっばり‥」
子供の頃、蛍が急にいなくなったのはやはりそれが原因だった。
「でも、もうそれも止めにしようと思って」
「父さんはそれを知ってた?」
「最初は驚いたがな」
「それで、これから蛍をどうするつもり?」
「それが問題だ。本来、成長の時期はもっと先のはずだった」
父親は思案するように腕を組んだ。
「え、そうなの?」
「進学のタイミングなら隠せると思っていたのだけど‥」
「今は転校するしか無いかも知れん‥」
「そんな!せっかく皆と仲良く成ったのに‥」
何か方法は無いか。
蛍の成長が違和感なくなる方法は‥。
「花梨さん、蛍の男装っていつまで続けなければならないんですか?」
俺は訊ねた。
男装を止めて女子の服装になれば、急な成長を誤魔化せると思ったからだ。
「古いしきたりだけど、18になるまでね‥」
それはまだ数年先だ。
「今すぐ男装を止めてはいけないんですか?」
「そうね転校するよりは‥」
花梨さんはまだ迷いがあるようだ。
「もし理由が必要なら‥俺がなります」
俺は意を決して言った。
今回は少し短いですが、ここまで。
次回更新をお待ち下さい




