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ウチの弟が弟じゃない  作者: てんまる99


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6/13

病欠するのは弟じゃない

少しづつ蛍の秘密が明らかに成ります。

翌朝の事だった。

部屋で起きた俺は、リビングに向かう途中、蛍の部屋から微かな声が聞こえたような気がした。


蛍の部屋のドアをノックしてみたが返事はない。

「蛍、どうした? 開けてもいいか?」

それでも返事は無い。

「蛍、入るよ?」

どうしても気になって声をかけドアを開けて中を覗いてみる。



ベッドの中で蛍は丸まってうずくまっていた。


慌てて駆け寄る。

「蛍! どうした?!」

声をかけながら顔を見てみると、苦しそうに喘いでいた。

「熱‥いよぉ」

うわごとのように呟く蛍。

思わず額に触れてみる。

‥熱い‥かなりの発熱だ。


俺は慌てて花梨さんを呼びに行こうとした。

だが、その手を蛍がぎゅっと握った。

「譲‥居なくならないで‥居て」

「大丈夫だ。花梨さんを呼んだら、すぐ戻ってくるから」

「やだ‥嫌‥いて」

言いながら、蛍はポロポロと涙を零した。

俺は蛍の髪を撫で、優しく言った。

「本当にすぐ帰ってくるから。俺を信じて。な?」

「‥うう‥本当に、すぐ?」

「約束する。本当にすぐだ」

「少しだけ‥我慢する」

小さく頷く蛍。

答えを聞いた俺はもう一度頭を撫でると、階段を駆け下り、リビングに駆け込んだ。


リビングでは父と花梨さんが朝食の準備を始めたところだった。

「蛍がすごい熱! 解熱剤とかお願い!」

「え?」

突然事に驚く父と花梨さん。

俺はそれだけを言うと、今度は階段を駆け上がり、蛍の元に戻った。

蛍の手を取る。その手は燃えるように熱かった。


「ほら、すぐだっただろ?」

「うん、うん」

蛍は何度も頷き、俺の腕を抱くようにして縋りついた。

その蛍の体温も信じられないほど熱い。

これは尋常な状態ではない。

重度の感染症や病気の可能性が高いだろう。


そこへ花梨さんが薬と水の入ったコップを持って入ってきた。

「蛍! 大丈夫?」

花梨さんは蛍の首筋に軽く触れ、口内をのぞき込んで何かを確認したあと、持ってきた薬を飲ませた。

薬を飲んで10分程で蛍は寝息を立て始める。

少し落ち着いたようだ。

だが、相変わらず熱は高いままだ。


「花梨さん‥」

「心配しないで。悪い病気とかではないから」

「え、でも熱がこんなに‥」

「一旦、実家に戻って薬を取ってきます。それで収まるはずよ」

「医者とかには行かないんですか?」

「ええ、医者ではこれは治せないの」

「じゃぁ、俺が看病してます」

学校を休んでも付き添うつもりだった。


「何を言っている。看病は俺がするからお前は学校へ行け」

部屋に入ってきた父が言った。

「でも‥」

「蛍ちゃんは大丈夫だ。早くいけ。遅刻するぞ」

机の時計を見ると、確かに登校時間ギリギリだった。

父親と2人でここに居ても見守る事しか出来ない。

悩んだ末、父親に任せることにした。

「‥わかった。行ってくる」

俺は残りたい気持ちを抑えて部屋を出た。



そのまま駆け足で登校し、遅刻ギリギリに教室に駆け込んだ。

何とか深呼吸で鼓動を抑える。

それを見て、早速博がからかいに来る。


「譲、今日は”彼氏”と一緒じゃ無いのか?」

「蛍は休みだ。すごく熱を出して‥」

それを聞いて真顔になる博。

「え、大丈夫なのか」

「母親が飲ませた薬で少し落ち着いてる」

「そ、それは大変だな。医者とかは?」

「普通の医者には治せない病気なんだそうだ」

「そうなのか‥心配だな」

腕組みをする博。

隣の席の鈴も心配そうにこちらを見ている。

昨晩の事を思い出すと少し照れくさいが、今はそれどころでは無かった。

「何か有ったら手を貸すから、言って」

鈴は小声で言った。

こういう気遣いが出来るのは鈴の美点だ。

「ありがと」

とは言え、今は勉強以外は出来ることが無い。

ジリジリと焦燥感に悩まされながら、その日を過ごした。


授業が終わり、大急ぎで帰宅する。

掃除の当番だったが博が代わってくれた。

玄関の鍵を開けて、急いで蛍の部屋に向かう。

と、丁度部屋から蛍が出てきた。

「蛍、もう大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫、安心して」

蛍はぎこちなく少しだけ微笑んだ。


と、ここで俺は違和感を感じた。

この蛍は何かが違う‥。

見れば身長が少し高い気がするし、身体つきも少し大人っぽい気がする‥。


「蛍、背伸びた?」

「かも‥」

照れながら答える蛍。

やっぱり言葉遣いも違う。

別人?

でも別人にしては似すぎている‥。

年子の姉妹とか??

でも細い仕草とかを見ると、はやはり蛍本人としか思えない。

「なんか、変わった気がする」

「早く大人になりたかったから‥」

蛍は奇妙な事を言った。

大人に成りたいからと言って、こんな短時間で成長出来る物ではない。

だが、嘘をつくのにこんな言い訳をするだろうか‥。


「あっ?」

歩こうとして躓く蛍。

慌てて抱き止めるとまだ少し熱があった。

別人が発熱まで真似できるとは思えない。

やはりこの娘が蛍なんだ。

「まだ熱があるな。寝てないとだめじゃないか」

「うん‥連れて行って」

蛍はしなだれかかるように抱きついて来た。

パジャマを通して蛍の熱が伝わる。

そのまま扉を開け、ベッドまで抱きかかえてゆく。

蛍をベッドに下ろそうとすると、蛍が言った。

「一緒に‥いて」

「どうした?」

「ちょっとの間で良い‥から」

言葉遣いが変わっても甘えん坊な蛍だった。

「‥少しだけだぞ」

蛍をベッドに下ろし、隅に座る。


「ごめんね‥驚いたよね」

「少し‥それより心配した。急だったから」

「‥私、いつもこんな感じなんだ」

「今までもこういう事が‥?」

「うん、何回か‥。その度に引っ越しして‥」

それを聞いて、子供の頃、ある日突然蛍が居なくなったのを思い出した。

あれは、そういう訳だったのか‥。

「でも、もう嫌‥ここに居たいよ」

「分かってる。心配するな」

俺は蛍の髪を撫でた。


『大丈夫、俺がずっと一緒に居るから』

子供の時の約束を今度こそ守ろうと思った。

まだ試行錯誤で書いてます。

楽しんで頂ければ幸いです

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