買い物するのは弟じゃない
そろそろラブコメの“ラブ”の方も始まります
放課後、俺と蛍は両親へのプレゼントを買いに、近くの商店街に来ていた。
二人とも式は挙げる気が無いらしいが、幸せになって欲しいと言う気持ちを込め、お祝い位はしたい。
とは言え、再婚の両親に渡すプレゼントとか見当がつかない。
お小遣いの範囲だと、宝石とかも難しい。
隣の蛍に意見を求めてみる。
「何をあげたら良いんだろうな?」
「料理とかー?」
蛍は人差し指を当てて悩む。
「蛍は料理作れるか?」
ちなみに俺は全然だめだ。
「作れるー」
「でも、蛍だけに作らせては駄目な気がするな‥」
「難しい‥なやむむむ」
「悩む少年よ、救って進ぜよう」
後から声をかけられ、振り向くと、そこには白峰鈴がいた。
「おっ、買い物か?」
「まあ。それより何を探してる?」
「両親に結婚祝いをだな‥」
良いものがないか考えながら話す。
「うむ、それはなかなか難しい」
「見当も付かないんだ」
「蛍ちゃんは希望ある?」
鈴は蛍の方を見る。
「喜ぶものー」
「うむ。とりあえず何があるか、見て回ろ」
鈴と3人で商店街を回った。
結局、鈴の勧めもあって箸と茶碗のセットにした。
いわゆる夫婦茶碗だ。
贈り物用のラッピングをしてもらい、紙袋に入れる。
見ると、そろそろ店が閉店し始めている。
いつの間にか結構遅めの時間になっていた。
このまま鈴と別れて一人で帰らせるのは、ちょっと不用心かも知れない。
「鈴、家まで送るから一旦ウチに寄って良いか?」
「だい‥やっぱり頼む」
鈴はちょっと悩む仕草をしから頷いた。
「オケ」
「かえる、かえるー」
蛍は茶碗の入った袋を嬉しそうにかかげ、スキップしている。
「蛍ちゃんは‥女性から見ても可愛い」
ぽつり、と鈴は呟いた。
家まで蛍を送り、そのまま鈴と夜道を歩く。
すっかり暗くなった路肩の草むらで虫が鳴いていた。
「譲は‥女性嫌いじゃ無い?」
星空を見上げながら鈴は言った。
「え、そうだけど? こうして鈴ともツルんでるし」
「‥友達じゃなく、異性として」
「ま、まぁそうだな。嫌いじゃなくて‥苦手と言うか。でも、なんでそんな事を?」
「蛍ちゃんって」
「?」
「女の子、だよね」
「! そ、それは‥」
「結構バレバレ」
鈴はまだ空を見あげていた。
「‥ちょっと、先方の家の都合があって」
「なるほど。でも、良かった」
「何が?」
「女性に興味あるみたいで」
言いながら、鈴は俺の顔を覗き込む。
そして、ちょっと小悪魔っぽく笑った。
「そ、そりゃ俺だって普通に‥」
照れながら言った。
鈴とだとこういう会話も出来てしまう。
「そっか。じゃあ‥」
「ん?」
「付き合ってみない?」
「だ、誰と?」
「この状況で聞く?」
「そ、そうだよな‥すまん」
「じゃないと‥蛍ちゃんと一線越えちゃいそうだから」
「えうっ?」
思わず変な声が漏れた。
鈴はぼうっとしている様で鋭かった。
さすがに蛍と婚約している事までは、気付かないと思うけど。
「私が身を犠牲にして助けてあげよう 」
鈴は腰に手を当て偉そうなポーズ。
「そ、それは‥なんというか」
「意味分かってる?」
「え、えと? どう言う意味?」
「私なら一線越えてもいいよ、って言ってる。む、無理にとは言わないけど」
俯いた鈴の顔が夜目にも分かるくらい真っ赤だ。
「そ、それは‥気持ちは嬉しいけど、さすがにすぐ答えが‥」
「むう、この甲斐性無しめ。そのまま押し倒す位しないか?」
「しないって!」
と、クスクスと鈴が笑い出す。
「え?」
「嘘だ。半分冗談」
「な、なんだ、脅かすなよ」
「ごめん、あんまりに蛍ちゃんに夢中だから、嫉妬した」
「う、これからは気をつけるよ」
「まぁ、返事は何時でもいいから! んじゃっ」
そう言うと鈴は家の方に走って行った。
「‥返事?」
これも鈴の冗談だろうか??
俺はしばしその場に立ち尽くした。
いよいよラブコメ展開‥ドロドロした感じには成って欲しく無いなぁ




