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ウチの弟が弟じゃない  作者: てんまる99


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11/13

引っ越し先は弟じゃない

ここから新展開(?)です

外伝的な話になるかもです

俺達は木枯らしが吹く道を下校していた。

ここは東京郊外の住宅地。

右隣には蛍、左には鈴。

話題は来週行われる期末試験だ。


「転校してすぐに期末試験は厳しいよなぁ」

俺は愚痴をこぼした。

「護、苦手な科目って?」

「全部でしょ」

「面目ない‥」

蛍は文系、鈴は理系が比較的得意だ。

しかも、それ以外の科目もそつなくこなしている。

俺は最近ずっと二人から勉強を教えてもらいっぱなしだった。


あれこれ話しているうちに、俺達が暮らしているマンションについた。

もちろん、俺達だけでこんな所を借りれる訳は無くて、蛍の叔母さんに手配して貰った。

叔母さんは諸々の事情を承知の上で助けてくれている。

と言うのも叔母さんが日本の神人の頭目であり、内々で政府機関と話をつけてくれたからだ。

もちろんタダと言う訳ではなく、ある条件が有るのだが‥。

蛍が避難している間、世話になったのもこの人だった。



家に入るとリビングのテーブルに座り、とりあえず科目の教科書を眺める‥しかし、一度躓いた勉強はなかなか挽回出来ない。


「護、分からない所、教えるよ〜」

言いながら蛍が肩口後方から覗き込んで来た。

耳元に柔らかい吐息がかかる。

思わず振り向く。

「って、なんでそんな格好‥」

「楽なんだ、もーん」

蛍は帰宅するなり、さっさとロングT“だけ”に着替えていた。

当然その下には下着すら着けていない。

家ではその格好で抱きついたり、キスを求めて来たり‥。

俺だって思春期だから、もう色々と限界ギリギリだった。


「蛍、勉強教える気無いでしょ」

そう言って鈴が反対側の椅子に座る。

鈴は鈴で下着にキャミを着ただけの格好だ。

「す、鈴?」

「わ、私だって色々覚悟して‥」

言いながら身体を寄せてくる。

「ままま、待て。嬉しいけど‥ほら、まだ日も高いし‥」

いや、何を言ってるんだ俺。


「じゃあ、夜に成ったら?」

真剣な表情でたずねる鈴。

「いや、それは‥前向きに検討しない事もなくも無い‥かな」

「やった、これで今夜はカレーライス、だねっ!」

喜ぶ蛍。

「何故にカレーライス?」

「あれ、チャーハンだっけ?」

首をかしげる蛍。

「もしかして赤飯と言いたい?」

「そう、それ!」

「それは意味が違う‥」


さすがに美少女二人の誘惑の中で勉強できるはずもなく、俺は自室に退散したのだった。



数日後、俺達はその叔母さんの屋敷に呼ばれた。

「何度目かだけど‥デカいよな」

俺は門の前で辺りを見回した。

ずっと向こうまで白い壁が続いている。

「昔の庄屋屋敷なんだって」

叔母さんの家は敷地に蔵がいくつもあるほどの屋敷だ。


その、屋敷の中の板張りの広間で叔母さんと正座して対面する。

叔母さんは見た目60歳ほど。

花梨さんの姉にしては歳が高い様に思うが、この人達は見た目と年齢が合わないからなぁ‥。


「やや子作りの最中で申し訳ないけど‥少し仕事をしてもらうよ」

この人は、結婚=子作りだと言う考え。

何でもそれが一族では当たり前らしい。


「叔母様、それが‥まだ」

申し訳無さそうに蛍。

事情は把握しているのか、叔母さんはこちらを睨む。

「なんだって? この、甲斐性なしが」

いきなり叱られてしまった。


「せめて学生の間は‥勉強優先で居たいのですが‥」

「なんだい、その弱腰な考えは! 勉強なんて後からいくらでもさせてやるよ。ウチには優秀なのが幾らでも居るんだからね」

ズバリと本音を言い当てられて、ぐうの音も出ない。


「まぁ、今日はそれより仕事の話だ」

叔母さんは居住まいを正すと、何枚かの写真を見せた。

「この屋敷の後片付けを頼むよ。何か見えるかい?」

俺を見て訊ねる。

「2階の左手‥ですかね‥影がみえます」

写真を見て俺は答えた。


どうも俺には、人には見えない物を見る才能があるらしい。

前から目端が効くほうだと思ってはいたが‥。

この叔母さんにやり方を教えてもらったら、随分とはっきり見えるように成った。

ただ見えるだけで、何も出来ないのだが‥。


「ふぅ‥ん。私にも何も見えないんだがね‥恐らくそれだろ‥蛍?」

「明日、行ってきます」

俺達は顔を見合わせた。

仕事、が決まったのだ。


「今晩はこっちに泊まって行くといい。明日、家の者に送らせるよ」

「はい」

「晩ご飯は精の付くもの沢山出すから、頑張るんだよ」

叔母さんはじろり、と俺を睨んで言う。

これは明日の事か? それとも今晩の?

「部屋ははなれだから、少しくらい声出しても遠慮要らないよ」

どうも後者のようだ。

「‥あはは」

笑って応えるしか無かった。

新展開はいかがでしょうか。

お楽しみ頂ければ幸いです

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