見て欲しいだけ
うぅ、急なシリアスごめんなさい。
書いててメンタル削れるぅ。
シリアス苦手。
書いててみうが可哀想すぎる。
見なくても話繋がるから見なくてもいいと思います。
見ない方がいいかも…。
「ねえ、ねえ、お母さん」
「お母さんって呼ぶなって何回言ったらいいの?学習してよ」
「ごめんなさい」
私の母に関する記憶は、そんな会話をしたことしか、なかったと思う。
小さい頃、まだ、片手で歳の数が数えられるくらいの頃。
それ以来、喋ることはなかった。
父との会話も似たようなもの。
『あのさ』
『今、忙しいから、後にしろ』
――いつなら、よかったんだろう。
『ねえ』
『仕事があるから』
――私より、仕事のほうが大事なんだね。
『全部、満点取ったよ』
『そんなこと、どうでもいい』
ーーそっか、どうでもいいんだ。
『この前のコンテストで――』
『喋りかけるな。忙しいんだ』
ーー話ぐらい、話ぐらい聞いてくれたっていいじゃないか。
何回も、何回も、二人の気を引きたくて、少しで、少しでいいから、こちらを見て欲しくて。
私を見てくれなくても、それでもよかった。
優秀な後継者、賢い子、仕事をさせる人間、二人をよく見せる道具でもーーそれでもよかったのに。
6歳になって、二人が家に帰ってくる頻度が、段々減って、毎日、帰ってきていたのに、二日に一度、三日に一度、1週間、2週間。
1ヶ月、1ヶ月帰って来なかった、それでやっと、やっとわかった。
もっと、もっと早く気づいていたと思う。
でも、でも、認めたくなかっただけで。
学校を休んだ、勝手に休んだ、悪いことだってわかってたけど、帰ってきてくれると、そう思った。
ーー帰ってこなかった。
それからは、学校に行く気も起きなくて、家でゴロゴロしてみたり、ネットサーフィンをしたり。
ふと、外に出た。
多分、学校に行く以外で、生まれて初めてだったと思う。
朝、昼、晩、全部デリバリーで済ませていた毎日。
玄関の扉の向こうに、何があるかなんて考えたこともなかった。
外は、まぶしかった。
知らない匂いがして、風の音がして、思ったより人が多かった。
私の目に映る世界は、どうしようもなく“未知”だった。
“知らない“と言うのは怖い。
私は、両親を理解できない、知らない、だから、怖い。
“知らない”は私を弱くする。
理解の及ばないものは、“嫌い”。
初めて、初めて、公園に入った。
広々としていて、どこか心地が良かった。
そのうち、公園のベンチに座って1日を過ごすことが増えた。
朝、ご飯を食べて、公園に行って、ベンチに座って、気づいたら夕方。
そう言う日が多かった。
あの日は、珍しく、夜に徹夜していたせいで朝寝坊した日だった。
公園に着いたのに、いつもと違って人の声がしなかった。
どこか寂しい公園の入り口から、位置も座っているベンチを見ると、先客がいるようだった。
近寄ると顔が見えた。
綺麗な黒髪に、綺麗な金の目。
まるで、黒猫みたいだと思った。
猫は、自由で、閉じこもってる私と正反対の存在。
彼の隣に座るが、ボーっとしているようで、こちらに気づかない。
「君、何してるの?」
と声をかけると、驚いた顔でこちらを見る目は、どこまでも、綺麗だと思った。
その後、迷ってしまっていること、蓮という名前だということ、家族仲が悪いと言うこと、いろんなことを話した。
悪いことだと思うけど、少し、少し嬉しかった。
自分と同じだと思った、でも。
彼は、使用人に迎えられて、帰って行った。
また会えるか、と聞かれたので、いつもここにいると答えた。
公園の入り口まで見送った後、ベンチに再び戻り、手で顔を覆い、手を離し、空を見上げながら、
「ふ〜」
と息を吐く。
その日は、そのまま公園にいても、気分が晴れないように思えたので、そのまま帰路に着いた。
それから、毎日、毎日、うんざりするほど、彼は公園に来た。
たわいもない話を、嬉しそうに話す彼、それに笑顔で相槌を打った。
それから、1ヶ月経っていただろうか、彼は自分の目がコンプレックスだと明かした。
怖いとよく言われると、それに、私は猫みたいで好きだと言った。
そういうと、彼は嬉しそうだった。
その笑顔が私はどうしようもなく、憎たらしかった。
“怖い”そんな、負の関心でも、他の人から、関心が寄せられているのが、羨ましかった。
好きの反対は、無関心。
両親は私に無関心だった。
そのことを、彼ーー蓮といると深く痛感した。
彼と会ってからは、家で暇をしていた時間に、ネットーー電子世界にのめり込んだ。
みうがハッカーをやってる理由みたいなものです。




