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輪廻の風  作者: 夢氷 城
第1章
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不良少年の贖罪

サイゾーは息を切らし、ロゼの居城の玉座の間に飛び込んだ。


広間の石柱が威厳を放つ中、国王レガーロが冷静な瞳で彼を見据えた。


「国王様!大変です!」


「騒々しいな。何があった?」


「エンディとロゼ王子が、インドラに向かって攻撃を仕掛けようと動き始めました!」


「なんだと??」


レガーロの眉がピクリと動き、苛立ちが顔に滲んだ。


「わあっ。ポナパルトとバレンティノが暴れてるー!」


モスキーノが窓から外を覗き、まるで祭りでも見るような楽しげな声で叫んだ。


「どいつもこいつも勝手な真似を…。」


レガーロは拳を握り、声を低くした。


「ロゼ王子が戦地へ立たれた!少し早えがオレたちも続くぞお!!」


「フフフ…楽しくなってきたねえ。」


ポナパルトとバレンティノは、兵士たちを率いて森に突入した。


瞬間、木々がうねり、無数の枝が鋭い刃のように襲いかかってきた。


兵士たちは怯え、涙目になっている者もいた。


だが、ポナパルトが拳を振り、バレンティノが剣を一閃。


すると驚くことに、目の前にあった無数の大木が一瞬にして木っ端微塵に大破した。


この2人の拳圧と剣圧は、災害顔負けの、信じられないほど凄まじい破壊力だった。



更にその力は広範囲に及び、森にまっすぐな道が切り開かれた。


兵士たちは大口を開け、眼球を剥き出しにし、呆然と立ち尽くしていた。


「俺たちがついてる!恐れるものは何もないぜ?」


「フフフ…さっさとアズバールとギルドの首をとっちゃおうか。」


ポナパルトの豪快な声とバレンティノの軽やかな笑みに、兵士たちの士気が一気に燃え上がった。


「この2人がいれば向かう所敵なしだ!!」


「誰が相手でも負ける気がしねえぜ!」


兵士たちは、まるで無敵の軍勢のように突き進んだ。


---


一方、エンディたちはインドラの目と鼻の先まで迫っていた。


「今すげえ音がしたような…。」


「そうか?気のせいだろ?」


エンディとロゼが話していると、エスタが遠くに倒れている影に気づいた。


「おい、あれ給仕のアルファじゃねえか?」


「アルファ!!?」


エンディが駆け寄ると、アルファは血まみれで地面に倒れていた。


「どうしたんだよアルファ!」


「みんな…ごめんなさい…!ラーミアさん、連れ戻せなかった。ごめんなさい…!」


アルファは涙を流し、悔しそうに呟いた。


沈黙が流れたが、エンディは優しく微笑んだ。


「お前、頑張って戦ったんだな。勝てないと分かってて、立ち向かったんだな。すげえかっこいいじゃん!なかなかいねえよそんなやつ!ラーミアは俺たちが助け出すから、安心しろ!」


エンディの優しさに触れ、アルファの顔にかすかな笑みが浮かんだ。


エンディは再び走り出した。


「アルファ、お前歩けるか?」


「はい…なんとか。」


「王宮に戻って治療してもらってこい。俺たちは先を急ぐぜ?」


ロゼはアルファの傷を確認し、冷静に指示を出した。

アルファはフラフラと王宮へ向かい、ロゼたちはエンディを追った。


---


一方その頃ダルマインは、ラーミアを連れてインドラの前に到着していた。


インドラの周囲では、旧ドアル軍の兵士たちが警備に当たっていた。


「あ!てめえダルマイン!」


「ダルマインてめえ生きてやがったか!この裏切り者がぁ!」


「おい待てよ!こいつラーミアを連れてるぞ!?」


兵士たちがざわつき、怒りの視線を向けた。


「ラーミアを連れてきたぜ!これでオレ様の罪はチャラだよな!?」


ダルマインが得意げに言うと、火に油を注がれた兵士たちが激昂した。


「そんなわけねえだろ!」


「お前自分がしたことわかってるのか!?」


怒った兵士たちがダルマインを押さえつけ、縄で縛り上げた。


「ここへ来たのは私の意思よ。ギルド総帥に会わせて!」

ラーミアは力強い声で言った。


兵士たちは彼女を丁重にインドラへ連行した。


大騒ぎをするダルマインは、両手を結束バンドで縛られ、首根っこを掴まれ、インドラ内部の牢屋へ連行された。


その瞬間、突如インドラが「ウィーン」と大きな音を立てて離陸を始めた。


なぜ今?


旧ドアル軍の兵士、演習場に着いたポナパルトとバレンティノ、皆が驚きを隠せなかった。


インドラへ向かっていたアズバールとジャクソンは、自分達を地上に残したまま飛び立つインドラを見上げ、怪訝な顔をした。


「な、なぜこのタイミングで!?」


「ククク…ギルド、あのタヌキ野郎…俺たちもろともバレラルクを焼け野原にするつもりか?まさかな…。」


アズバールは疑惑の目で空を見上げた。


「うおおおおおお!!」

エンディが叫び、地面を蹴った。


そして、地上から50メートル近くは離れているであろう、インドラの機体にしがみついた。


まるで、地上から強大な突風が吹いて、エンディを空へと運んでいるようだった。


なぜ俺にこんな跳躍力が?


エンディ自身も分からなかったが、ラーミアを助けることしか頭にない彼は、何も考えずに機体にしがみついた。


振り落とされないよう、珍しく慎重且つ冷静に、木登りをする猿のように機体をよじ登っていると、やがて小さな穴を見つけた。


身を縮めて穴に入り、モグラのように狭い筒の中を徘徊し、なんとか、インドラ内部へ侵入することに成功した。


そこは燃料室だった。

無数の回線が絡まる狭い空間に、なぜかラベスタがお馴染みのポーカーフェイスでぼけーっと立ち尽くしていた。


「ラベスタ!?なんでここに!?」


「あれ?お前こそ何してんの?」


ラベスタはいつものように、ぼーっとした口調で答えた。


---


下界では、ロゼたちが混乱していた。


「どうなってんだよ。インドラは飛び立つしエンディは見当たらないし…。」


ロゼが焦りを隠せなかった。


「ラーミアを奪って即退散とはね…。」


「大人しく退散なんかするわけないでしょ?きっと光線とやらを撃ち込んでくるわ…。」


ジェシカとモエーネは顔を青ざめさせた。


「おい、誰か来るぞ?」


エスタが剣を抜き、身構えた。


そこへジャクソンが現れた。


「突然だがお前達、これから死んでもらうぞ。」


ジャクソンは剣を抜き、恐ろしい表情で迫った。


「ほう、首狩りジャクソンか。」


ロゼはニヤリと笑い、即座に戦闘態勢に入った。


---


インドラのコックピットでは、ギルドと数人の部下がノヴァに倒され、伸びていた。


操縦席に座り、機体を動かしていたのはノヴァだった。


「部下にミルドニアへ行かせたとき、インドラの設計図のコピーを取らせておいて良かったぜ。」


ノヴァはニヤリと笑ったが、すぐに遠い目をして呟いた。


「あとはどこか人気のないところに墜落させるだけだな…深海旅行も悪くねえ。これが俺にできるせめてもの贖罪だぜ。」


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