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輪廻の風  作者: 夢氷 城
第1章
35/50

作戦成功?ボスの意外な素顔


パニス町のレストラン、プラチナグリルは、歓楽街の中心で火花を散らす戦場のような繁盛店だ。


厨房の熱気は、まるで鍛冶屋の炉の鼓動。

そこに、将来有望のコックが彗星の如く現れた。


新人コックの肩書なんてどうでもいい。

彼の包丁捌きは戦士の刃だ。


野菜を切り刻むスピードは、敵の急所を突く剣技。

フライパンを操る手つきは、戦斧を振り上げる豪腕。味付けは一発で決める。

まるで拳が標的を捉える一撃。


「カイン君…君は素晴らしい…!!」


シェフの叫びは、リングサイドの歓声のように響いた。

コックたちは目を奪われる。

まるで最強の格闘王を見つけた観客のように。


「これくらい誰でも出来んだろ。」


カインの声は、戦いの後に吐くタバコの煙。


一方、エンディは苦戦していた。


白いコックコートが汗で濡れ、皿の山に埋もれていた。


洗っても洗っても皿は割れてしまう。

まるで戦場で折れる刀のように。


「お前は何やらせてもダメだな…皿洗いもまともに出来ねえのか?さっきから何枚も皿割りやがって!カイン君を見習え!」


シェフの怒号は、コーチの厳しい指導。


エンディが叫ぶ。


「はい!すみません!!」


声は大きいが、胸は重い。

店に迷惑をかけてる自覚が、鎖のように足を縛った。


「ちくしょう…おれなんでこんなことしてるんだ??」


エンディの呟きは、負けたリングでこぼす汗の滴。


シェフがカインに目を輝かせる。


「カイン君、君は次期料理長決定だな。期待してるぞ?」


「勝手に決めるなよ。」


カインの拒絶は、挑戦者を一瞥するチャンプの冷静さ。




一方ホールは、戦場の最前線。

客の声が銃弾のように飛び交う。


サイゾーは動きがキレていた。

接客はまるで敵陣を切り裂く暗殺者の身のこなし。


新人教育係のベテランのおばちゃんを感心させた。


「サイゾーくん、あなたって仕事の出来る男なのねえ?人手が足りない時にあなたみたいな方が来てくれて助かったわ?」


「いえいえ、とんでもないですよ。」


サイゾーは褒めちぎられ、すっかりその気になっていた。

その笑みは、戦場で隠すナイフの輝き。


だが、おばちゃんの視線がクマシスを突き刺す。


「それに比べて…あのクマシスって方は何なの?」


クマシスはガチガチに緊張していた。

体が鉄板みたいで、料理を6回も床に落としてしまう。まるで戦場で弾をこぼす新兵のように。


「あなた、いい加減にしてくれる?もしお客様の服に料理こぼしたら許さないわよ?」


おばちゃんの叱責は、銃口を突きつける隊長の声。


クマシスはムスッと黙る。

まるで不発弾の静けさ。




厨房から、突如爆音が響いた。


「ちくしょ〜!やってられるか!」


「おい待てエンディ!!」


シェフの叫びは届かない。


エンディはコックコートを翻し、裏口からパニス町の夜のネオンへ飛び出した。


「もう耐えられねえよ〜!もういい、おれのやり方で調べる!!」


その叫びは、リングで吠える敗戦者のようた。

まるで野犬の勢いで眠らぬ街を突っ走った。


「エンディ…あのバカ…。」


サイゾーの呟きは、戦場でヘマをした部下を見送る兵士の吐息。




ホールで、ガラの悪い小太りの客がクマシスに噛みつく。


「おいオカッパ!豚足持ってこいや!」


「お前が豚肉食ったら共食いじゃねえか…。」


クマシスの毒舌は、ナイフをチラつかせる牽制のようだ。幸い、客には聞こえない。


「あ?なんか言ったか?この店には豚足も置いてねえのか!?」


サイゾーがスッと近づく。


悪党の匂いを嗅ぎつけた猟犬の鋭さだ。


「お客様、申し訳ございません。どうされました?」



謝罪の裏で、目が標的をロックオン。



クマシスは横柄な態度のその客を睨み、指をポキポキ鳴らした。まるで殴り合い前のファイターの準備。


---


一方、エンディは不貞腐れた様子でパニス町の闇をフラつく。

行く宛もなく途方に暮れる野良犬のように。


そこへ、ロゼの仮面が浮かぶ。


「お〜ま〜え〜、なにしてんだあ?」


「うわっ!ロゼ王子!?」


「しっ!ばか、デカイ声出すなよ。お前仕事は?」


「……抜け出して来ました。おれ料理なんてしたことないから無理です…。それに、厨房からじゃマフィアの動向なんて探れないですよ。」


エンディの声は、リングのロープに凭れる弱音。


ロゼは咎めず、優しく笑う。


「そっかそっか、厨房に行かされたのか。まあよ、人には向き不向きがあるからな、しゃーねえよ。」


その言葉は、トレーナーの肩を叩く励まし。

エンディの目に火が点る。

まるで再戦を誓うファイターの輝き。


「実はさっき、マフィア共に連行されるダルマインの後を追跡してたんだが…プラチナグリル近辺で見失っちまった。」


ロゼの苛立ちは、獲物を見失ったハンターの唸り。


エンディが拳を握る。


「見失ったって…じゃあこの近くにアジトがあるってことですか!?」


「そういうことになるな。ちょっと探すの手伝ってくれねえか?」


ロゼの誘いは、リングに上がるゴングの響き。


エンディが吠える。


「はい!やります!!」


その気合は、戦場に立つ拳の誓い。


---


その頃、ダルマインはノヴァファミリーのアジトに引きずり込まれていた。


薄暗い空間は、まるで地下闘技場の檻。


ランプの光だけが、血と汗の匂いを照らし出す。


「ボス、ダルマインを連れて来ました。こいつ町で暴れてたんで問い詰めたら、仲間に入れて欲しいとか言い出して…どうします?」


ランプ男の声は、リングの審判の宣告。



ダルマインが震える。


「え?ボスって…え?」


その動揺は、試合前の新人の汗。


カツカツと足音が近づく。

まるで死の拳が迫る鼓動だ。


ランプの光に浮かぶのは、オレンジ髪の小柄な少年だった。


だが、その目はラスボスの殺気が宿っていた。


しかし、ダルマインは相手の力量を測れず、ボスの少年をとことん舐め腐ってしまった。


---

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