作戦成功?ボスの意外な素顔
パニス町のレストラン、プラチナグリルは、歓楽街の中心で火花を散らす戦場のような繁盛店だ。
厨房の熱気は、まるで鍛冶屋の炉の鼓動。
そこに、将来有望のコックが彗星の如く現れた。
新人コックの肩書なんてどうでもいい。
彼の包丁捌きは戦士の刃だ。
野菜を切り刻むスピードは、敵の急所を突く剣技。
フライパンを操る手つきは、戦斧を振り上げる豪腕。味付けは一発で決める。
まるで拳が標的を捉える一撃。
「カイン君…君は素晴らしい…!!」
シェフの叫びは、リングサイドの歓声のように響いた。
コックたちは目を奪われる。
まるで最強の格闘王を見つけた観客のように。
「これくらい誰でも出来んだろ。」
カインの声は、戦いの後に吐くタバコの煙。
一方、エンディは苦戦していた。
白いコックコートが汗で濡れ、皿の山に埋もれていた。
洗っても洗っても皿は割れてしまう。
まるで戦場で折れる刀のように。
「お前は何やらせてもダメだな…皿洗いもまともに出来ねえのか?さっきから何枚も皿割りやがって!カイン君を見習え!」
シェフの怒号は、コーチの厳しい指導。
エンディが叫ぶ。
「はい!すみません!!」
声は大きいが、胸は重い。
店に迷惑をかけてる自覚が、鎖のように足を縛った。
「ちくしょう…おれなんでこんなことしてるんだ??」
エンディの呟きは、負けたリングでこぼす汗の滴。
シェフがカインに目を輝かせる。
「カイン君、君は次期料理長決定だな。期待してるぞ?」
「勝手に決めるなよ。」
カインの拒絶は、挑戦者を一瞥するチャンプの冷静さ。
一方ホールは、戦場の最前線。
客の声が銃弾のように飛び交う。
サイゾーは動きがキレていた。
接客はまるで敵陣を切り裂く暗殺者の身のこなし。
新人教育係のベテランのおばちゃんを感心させた。
「サイゾーくん、あなたって仕事の出来る男なのねえ?人手が足りない時にあなたみたいな方が来てくれて助かったわ?」
「いえいえ、とんでもないですよ。」
サイゾーは褒めちぎられ、すっかりその気になっていた。
その笑みは、戦場で隠すナイフの輝き。
だが、おばちゃんの視線がクマシスを突き刺す。
「それに比べて…あのクマシスって方は何なの?」
クマシスはガチガチに緊張していた。
体が鉄板みたいで、料理を6回も床に落としてしまう。まるで戦場で弾をこぼす新兵のように。
「あなた、いい加減にしてくれる?もしお客様の服に料理こぼしたら許さないわよ?」
おばちゃんの叱責は、銃口を突きつける隊長の声。
クマシスはムスッと黙る。
まるで不発弾の静けさ。
厨房から、突如爆音が響いた。
「ちくしょ〜!やってられるか!」
「おい待てエンディ!!」
シェフの叫びは届かない。
エンディはコックコートを翻し、裏口からパニス町の夜のネオンへ飛び出した。
「もう耐えられねえよ〜!もういい、おれのやり方で調べる!!」
その叫びは、リングで吠える敗戦者のようた。
まるで野犬の勢いで眠らぬ街を突っ走った。
「エンディ…あのバカ…。」
サイゾーの呟きは、戦場でヘマをした部下を見送る兵士の吐息。
ホールで、ガラの悪い小太りの客がクマシスに噛みつく。
「おいオカッパ!豚足持ってこいや!」
「お前が豚肉食ったら共食いじゃねえか…。」
クマシスの毒舌は、ナイフをチラつかせる牽制のようだ。幸い、客には聞こえない。
「あ?なんか言ったか?この店には豚足も置いてねえのか!?」
サイゾーがスッと近づく。
悪党の匂いを嗅ぎつけた猟犬の鋭さだ。
「お客様、申し訳ございません。どうされました?」
謝罪の裏で、目が標的をロックオン。
クマシスは横柄な態度のその客を睨み、指をポキポキ鳴らした。まるで殴り合い前のファイターの準備。
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一方、エンディは不貞腐れた様子でパニス町の闇をフラつく。
行く宛もなく途方に暮れる野良犬のように。
そこへ、ロゼの仮面が浮かぶ。
「お〜ま〜え〜、なにしてんだあ?」
「うわっ!ロゼ王子!?」
「しっ!ばか、デカイ声出すなよ。お前仕事は?」
「……抜け出して来ました。おれ料理なんてしたことないから無理です…。それに、厨房からじゃマフィアの動向なんて探れないですよ。」
エンディの声は、リングのロープに凭れる弱音。
ロゼは咎めず、優しく笑う。
「そっかそっか、厨房に行かされたのか。まあよ、人には向き不向きがあるからな、しゃーねえよ。」
その言葉は、トレーナーの肩を叩く励まし。
エンディの目に火が点る。
まるで再戦を誓うファイターの輝き。
「実はさっき、マフィア共に連行されるダルマインの後を追跡してたんだが…プラチナグリル近辺で見失っちまった。」
ロゼの苛立ちは、獲物を見失ったハンターの唸り。
エンディが拳を握る。
「見失ったって…じゃあこの近くにアジトがあるってことですか!?」
「そういうことになるな。ちょっと探すの手伝ってくれねえか?」
ロゼの誘いは、リングに上がるゴングの響き。
エンディが吠える。
「はい!やります!!」
その気合は、戦場に立つ拳の誓い。
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その頃、ダルマインはノヴァファミリーのアジトに引きずり込まれていた。
薄暗い空間は、まるで地下闘技場の檻。
ランプの光だけが、血と汗の匂いを照らし出す。
「ボス、ダルマインを連れて来ました。こいつ町で暴れてたんで問い詰めたら、仲間に入れて欲しいとか言い出して…どうします?」
ランプ男の声は、リングの審判の宣告。
ダルマインが震える。
「え?ボスって…え?」
その動揺は、試合前の新人の汗。
カツカツと足音が近づく。
まるで死の拳が迫る鼓動だ。
ランプの光に浮かぶのは、オレンジ髪の小柄な少年だった。
だが、その目はラスボスの殺気が宿っていた。
しかし、ダルマインは相手の力量を測れず、ボスの少年をとことん舐め腐ってしまった。
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