ロイド視点
あの日、先生に呼ばれて言われたのは――
「王子殿下のペアに君を推薦したい」という、一生に一度で済ませたいほどの重いひと言だった。
俺は伯爵家の五男。家は継げない、地位もない、だから十四の頃から冒険者になった。
実績を積み、功績で男爵位を得て、今は“爵位持ちの生徒”としてこの学園にいる。
でも。
(それと“王子とペアを組む”のは話が違うだろう!?)
「……あの、それ、罰ゲームですか?」
つい出たその一言で先生の目が笑ってなかったのは今も忘れられない。
で、組まされて。
第一の課題――精神問答系。
(あ、これ思ってたより地味に辛いタイプのやつだ……)
殿下は「答えは空白!」とか言い出すし、止めたら今度は真剣に答え始めるし、
途中で“これはただの課題じゃないな”と肌で理解した。
その後、温室へ向かい――あの二人と鉢合わせた。
(あの瞬間の空気、マジで……魔物より怖かった)
クラリッサ嬢の無言の微笑。
アリシア嬢の静かな沈黙。
そしてなぜか、その二人の圧が真っ先に俺に向けられる。
(俺、なにもしてないよな!?)
それでも課題が始まり、意見を出し合い、少し落ち着いてきたと思った。
思ったのに――
「“初対面だったし……”」
「“仲間って感じでさ!”」
殿下、やらかしすぎです。
(口を開くたびに火力が上がっていく……まるで自動地雷設置魔法だ)
そして最終的に。
クラリッサ嬢は静かに絶望し、アリシア嬢は笑顔で勝利フラグを立てていった。
残された俺は、椅子に沈みながら静かに祈った。
(殿下、お願いです。今後、発言前には確認をお願いします)




